2020年01月25日

【薙刀式】あちらを立てればこちらが立たず

月光のtkenさんが、エントロピーが増えるということで、
言いたかったことはとてもわかる。
「あちらを1個立てたら、こちらが2も3もよくなくなった。
じゃあやんなきゃよかったのに」
が良くあるよね、ということだと思う。


何故だろうか、と考えるに、
配列の設計は、
「整数の有限個並び替え問題」だからだと思う。

まず整数の離散値しか取れないから、
1/2とか√とか出来ない。
そこに、あるかないかしか出来ない。

キーボードの形は変わらない。
(自作キーボードすれば別だが、
それにしても同じキースイッチが並ぶというパラダイムは、
まだ崩れていない)

結局は、その行列に何を並び替えるか、
でしかない問題の性質として、
本質的なのではないかと思う。


配列の設計中、
Aの運指がしっくり来ないな、
と思ってAを改造したとき、
この歪みは有限個内に波及する。

それが一対一のトレードオフならそれは成功。

しかしカナ同士の連接は異なるので、
悪化した部分を予測することは難しく、
ひとつの良化に対して、
いくつの悪化があるか、
評価打鍵するまでは分からない。

結果、Aは良化したが、
BとCとDが悪化だな、
なんてことが起こり、
せっかく良かったBCDが悪くなった。
エントロピーが増えた、
という実感になるのだと思う。

問題は、連接ネットワークの複雑さだと感じる。
二連接だけで見ても膨大なのに、
僕は特定の数連接は見るべきだと思っていて、
そんなのひとつのカナを動かすときに、
全部チェックしきれないわけだ。

ということで、
確率的には、ひとつの改造に対して、
全体悪化のほうがよくあるわけなのだ。


「いい手を思いついたぞ!」
というのは良くあるけれど、
試してみたら、気づきもしなかった欠陥が見つかる、
ということは、ほかの現実でも良くある。
進歩というのは、
その地道の繰り返しでしか起こらないと思う。


だから今日も、
「なんかしっくり来ないな」と、
「思いついたぞ!」と、「試す」の繰り返しだ。

これまでの軌跡で一番良かったものを、
使うしかないよね。


「まだ粘れば出るかも」「もうないかも」
の見極めは大変難しく、
それは作者が決めるしかないと思う。

薙刀式v12はまだ(仮)で、
昨日「ひ」「ほ」を逆転させてみた。
これはこれであるような気がして、(仮)はまだ取れないかも。
切りがないので、良いところで諦めないといけないなあ。
posted by おおおかとしひこ at 15:45| Comment(2) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
曖昧なツイートを上手く解釈していただいてありがとうございます!

配列を最適化し、日本語と指の動きをすり合わせていくことで、どんどん「秩序」が増えていくかと思いきゃ、なぜか別の部分に「無秩序」がどんどん蓄積されていくようなこのモヤモヤする感じはなんだ?以前何かで読んだエントロピーとかいうやつか?……みたいなことを適当につぶやいてしまいました。(^_^;)

30個程度のキーに50〜80個程度のカナを並べるだけなのに、まさかこのテーマを年単位で考え続けることになるとは思いませんでした。

キーボード配列恐るべし!です。((((;゚Д゚))))
Posted by tken at 2020年01月25日 18:58
>tkenさんコメントありがとうございます。

薙刀式で「うまいこといったぞ」と思ったのは、
ほとんど最初に並べたところだけで、
残りの2/3くらいのカナは、ずっと「打ちにくいのをせめてましにする」
ことをやり続けているように思います。
実は中核部分がほぼ変わってないので…

だから清濁別置に、その暗黒部分の正解があるのか、
実は疑問なんですよね。
月光がそのあたりをどう処理するのか、
とても楽しみです。

「が」「で」「ど」「だ」あたりが便利になるのは想像出来るけど、
その他すべての濁音は幸せになれるのか、
エントロピーの負の部分に相当すると思うので。
「び」とかもすごく難しい。
「美人」「ビューティフル」はちゃんと打ちたいし…
Posted by おおおかとしひこ at 2020年01月25日 20:07
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