2020年02月05日

ストーリーとゲームの違い

共通点は、
「その世界の中で想像する遊び」ではないかと思う。
まず共通点から議論しよう。


共通点は想像だ。

ある特殊な世界を設定して、
そこでどんなことが起こるんだろうというワクワクが、
共通している。
(それに飽きたら、終了)

ある人物やアイテムを設定して、
それらがどう絡むのか、
想像してワクワクすることも共通している。
(それに飽きたら、終了)

面白さの正体は、
「設定から立ち上がる想像」である。


ゲームの場合、
「これらを組み合わせてこうすればこうなるのでは?」
と自分で考え、
その通りになると成功報酬がある。

この、予測→成功報酬の小さなループを回すことが、
ゲームを楽しむことである。

ざっくりいうと「攻略」だ。

攻略のヒントは設定にも散りばめられていて、
それを想像することもまた楽しい。

ゲームにおけるストーリーとは、
攻略の連なりでしかない。
「あれがダメならこれをやろう」とか、
「新設定投下につき、また考え直しだな」とか。

ミッション(目的)は、
ルート設定程度のお飾りだ。


そして、映画やドラマの一本道ストーリーだが、
この要素を持っているべきだ、
というのが本題だ。

設定による、想像のワクワク。
ああなったらこうなるのではないか、
という攻略と成功報酬。

前者はわかるだろう。
後者は?
主人公の行動とその結果がそれだ。

つまり、
観客は主人公とともに、
ミッションを攻略しながら見ている、
ということを忘れてはならない、
ということだ。

すなわち、
ある程度のヒントがあること。
それはこれまでの設定や流れから推察できること。
もちろん、わかりやすすぎてもダメだ。
バレバレでは攻略の面白さがなく、作業になってしまう。

つまり、攻略を考える時間を与えるべきだ。
ジェットコースタームービーは面白いが、
一本道過ぎても詰まらない。
間で立ち止まり、こうすればどうかな、
と考えさせる時間も必要だと思う。

で、失敗もした方がいい。
全部成功しては攻略の面白みがない。
試行錯誤が楽しくなければ、攻略にならない。

成功したり失敗しながら、
あれ?あれはこうすればいいのでは?
と思い、それが当たったとき、
見事に前に進めて、成功報酬がある。

その形が理想だ。

つまり、ストーリーというのは、
想像と攻略を含むべきである。

このゲーム的な快感がないストーリーは、
「流された、受け身の、詰まらない状態」
になると思う。

観客が椅子に沈まずに、
前のめりになるときは、
自分が参加していることが重要だ。


その参加に必要なことはなんだろう?
興味だ。

リアリティ、たとえば8Kとか3Dとかは、
僕は不必要だと考えている。
なぜなら、ワクワクは想像からくるからだ。
私たちは8ビットの映像でも想像することができる。
(適切な設定を与えられれば)

想像が始まり、興味が湧いたときに、
初めてストーリーに観客は参加するのだ。

そしてその維持に必要なのは、感情移入である。
共感では感情移入は作れないと僕は主張している。
共感は「同じ経験のある人がするもの」で、
感情移入は「同じ経験がなくても、わかるわと思うもの」だ。


さて。


ここまでで、もう結論は見えただろう。

ゲームとストーリーはかなり似ている。
ユーザーが動かすか席に座って見ているかの違いではない。
なぜなら、ゲーム実況動画があるからだ。
誰かの実況動画は、もう映画と同じシステムだ。

その差はなにか?

僕は、感情移入だと考えている。

想像と攻略が共通点。
感情移入を意図的に作って、そして成功しているかどうか、
が違いだと思う。

思えば、スーファミからPSあたりのFFでは、
このストーリーが秀逸であった。
だからFF(やRPGの名作)は、
ストーリーとして作品になっていた。

しかしMMOになり、
オープンワールドになるにつれて、
ゲームはゲームになり、
ゲーム内のストーリーはお使い集になっただけだと思う。
ゲームの楽しみとは、
想像と攻略に限定されたと僕は感じる。
愛着や共感は、感情移入の一部だが、
感情移入を必ずしも必要としない。

ゲームのキャラクターやビジュアルは、
愛着や共感を得るためには作られているが、
感情移入のために作られているわけではない。

だから、「タイプ」別を用意する。
感情移入とは、タイプにないものへの感情移入なので、
最初からタイプを用意して選んでくれ、
という時点で、感情移入を放棄している。



あなたのストーリーは、
ゲーム的だろうか?

ある目的をつくり、想像力をフルに働かせるような、
興味のある設定を披露しているか?
その攻略への筋道を、
うまく作っているか?
成功したり失敗したりしながら、
成功へのルートが少しずつ見えてくるようにしているか?

そして、あなたのストーリーはゲームとどこが違うのか?

全く知らない人を引き込み、
全く知らない人に感情移入させ、
全く知らない人に涙を流させ、笑わせ、
全く知らない人に、これは私の人生のバイブルになる、
と思わせる結論を与えているだろうか?

ゲームには感情移入は必要ない。
感情移入が芽生え、それが最後にどうなるかが、
ストーリーの役割だと、
僕は考えている。
posted by おおおかとしひこ at 13:36| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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