2020年02月08日

脳内お喋りは、ストーリー進行を止める

頭の中でキャラクターが出来上がると、
脳内で彼らが喋り出す時がよくある。


キャラクターを詳細に作れば作るほど、
多分そうなる。
あんなことやこんなことを話題に振ったらどうなるか、
こいつとこいつを組み合わせたら、
どういう会話になるのか。
想像することはとても楽しい。
なんなら、勝手に生まれてきた会話をノートに書く人もいるかもだ。

それ自体は否定しない。
それは物語作りの基礎である。
だが基礎でしかないことを警告しておく。

キャラとキャラが勝手に喋り出す?
キャラの立ったやつほど豊かに語る?
こんな組み合わせならどう喋る?
思ってたのと全然違う会話になったわ、びっくり!

これ、二次創作そのものやん?


勿論、二次創作の全てが「ただの会話を楽しむだけ」
ではないと思う。
きちんとストーリーになっているものや、
すごく良くできた話もあるだろう。
しかし殆どの二次創作は、
「そのキャラがわきゃわきゃしているところを、
ただ眺めていたい」だと思う。

それはつまり動物園の変形で、
猫動画と同じものである。
(ある種の母性に近く、
女性作家がこの傾向が強いとぼくは考えていたが、
最近百合ものもあるし、この仮説は必ずしも真ではない)

それ自体に快感がある。

既にある有名キャラか、
自作キャラの違いでしかない。

つまり、
あなたが脳内でキャラ同士を会話させて、
なんと生き生きしたキャラクターたちだ、
魅力いっぱいだなあ、
などと脳内麻薬を出しているとき、
自作二次創作をやっているに過ぎないのだ。

ストーリーを進めなさい。

ストーリーを進めるとは、行動のことである。
目的があり、その部分目的があり、
それを成し遂げる強い動機や問題意識があり、
諦めないだけの理由があり、
成功する保証はなく、
失敗の危険が沢山ある、
冒険としての行動をしなさい。

キャラクター同士が喋るとしたら、
何かについてのお喋りではなく、
行動する計画についてとか、
動機や目的の確認とか、
なぜそれを成し遂げないといけないかの確認とか、
失敗した時のリスクについてとか、
それらに対する自分の気持ちや想いとか、
そういうことについて話すことが、
まず第一義的に重要なはずだ。

勝手にしゃべっている場合ではない。

問題解決について喋りなさい。


キャラ同士のお喋りは、
物語作りの基礎ワークでしかない。
本ワークは、目的についての会話である。

あなたはどこからきたのか?
どこへいこうとしているのか?
どうやっていこうとしているのか?
それを話し、あるいは察し、
自分の行動を決め、
それを宣言するなりしないなりして、
キャラクターは行動を進めるはずだ。

キャラ同士の脳内お喋りは、
ほっといても止まないから、
記録はしておきなさい。

その9割は削れる。

目的についてしゃべっていない時、
ストーリー進行は止まる。

あなたは楽しいかもしれないが、
観客はストーリーの停滞にイライラしはじめる。


その9割は削れる。
削れないのだとしたら、
あなたはストーリーが何か、
サイレントで書けるものは何か、
まだちゃんと分かっていないのだろう。
posted by おおおかとしひこ at 00:46| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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