頭の中でキャラクターが出来上がると、
脳内で彼らが喋り出す時がよくある。
キャラクターを詳細に作れば作るほど、
多分そうなる。
あんなことやこんなことを話題に振ったらどうなるか、
こいつとこいつを組み合わせたら、
どういう会話になるのか。
想像することはとても楽しい。
なんなら、勝手に生まれてきた会話をノートに書く人もいるかもだ。
それ自体は否定しない。
それは物語作りの基礎である。
だが基礎でしかないことを警告しておく。
キャラとキャラが勝手に喋り出す?
キャラの立ったやつほど豊かに語る?
こんな組み合わせならどう喋る?
思ってたのと全然違う会話になったわ、びっくり!
これ、二次創作そのものやん?
勿論、二次創作の全てが「ただの会話を楽しむだけ」
ではないと思う。
きちんとストーリーになっているものや、
すごく良くできた話もあるだろう。
しかし殆どの二次創作は、
「そのキャラがわきゃわきゃしているところを、
ただ眺めていたい」だと思う。
それはつまり動物園の変形で、
猫動画と同じものである。
(ある種の母性に近く、
女性作家がこの傾向が強いとぼくは考えていたが、
最近百合ものもあるし、この仮説は必ずしも真ではない)
それ自体に快感がある。
既にある有名キャラか、
自作キャラの違いでしかない。
つまり、
あなたが脳内でキャラ同士を会話させて、
なんと生き生きしたキャラクターたちだ、
魅力いっぱいだなあ、
などと脳内麻薬を出しているとき、
自作二次創作をやっているに過ぎないのだ。
ストーリーを進めなさい。
ストーリーを進めるとは、行動のことである。
目的があり、その部分目的があり、
それを成し遂げる強い動機や問題意識があり、
諦めないだけの理由があり、
成功する保証はなく、
失敗の危険が沢山ある、
冒険としての行動をしなさい。
キャラクター同士が喋るとしたら、
何かについてのお喋りではなく、
行動する計画についてとか、
動機や目的の確認とか、
なぜそれを成し遂げないといけないかの確認とか、
失敗した時のリスクについてとか、
それらに対する自分の気持ちや想いとか、
そういうことについて話すことが、
まず第一義的に重要なはずだ。
勝手にしゃべっている場合ではない。
問題解決について喋りなさい。
キャラ同士のお喋りは、
物語作りの基礎ワークでしかない。
本ワークは、目的についての会話である。
あなたはどこからきたのか?
どこへいこうとしているのか?
どうやっていこうとしているのか?
それを話し、あるいは察し、
自分の行動を決め、
それを宣言するなりしないなりして、
キャラクターは行動を進めるはずだ。
キャラ同士の脳内お喋りは、
ほっといても止まないから、
記録はしておきなさい。
その9割は削れる。
目的についてしゃべっていない時、
ストーリー進行は止まる。
あなたは楽しいかもしれないが、
観客はストーリーの停滞にイライラしはじめる。
その9割は削れる。
削れないのだとしたら、
あなたはストーリーが何か、
サイレントで書けるものは何か、
まだちゃんと分かっていないのだろう。
2020年02月08日
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