2020年02月10日

センタークエスチョンへの第一歩

二幕前半を書くことが難しいのは、
最初の小目標の定義が難しいからではないか、説。


侵略してきた宇宙人を撃退する。
世界チャンピオンを目指す。
あの子のハートをゲットする。

センタークエスチョンの設定、
一幕までは頑張れば誰にでも書ける。
デカイ目標が見えて、
よし、やるぞ(第一ターニングポイント)
までは、書けることと思う。

ここから急に霧の中に入ってしまうのは、
「次にするべき小目標の設定の困難さ」にあるのではないか。


「受験に勝つ」と決めたとしても、
最初にやるべきことはなに?

家庭教師を探す?
予備校に通う?
参考書を買う?
模試を受ける?
ネットで検索?
友達から情報を得る?
苦手科目の克服?
英単語?公式?
ベースの丸暗記?考える力?
天声人語を読むこと?
気に入ったノートとペンを買うこと?

どれもやれそうなことで、
どれからでもやらなきゃいけなくて、
最終的には全部やった方がいいだろう、
ということだと思う。

ストーリーも同じである。

その小目標Aはなにか?
そのAは、本当にまず最初にするべきなのか?
BやCでもいいんじゃないの?
Aやってる場合じゃないんじゃないの?

と思うと、ストーリー進行が詰まらなくなるわけだ。

じゃあ、
あらゆる観点から見て、
全てにおいて妥当なAを見つけるべきだろうか?

それは教科書的な正解だろう。
受験の前に模試を受けて、その結果が出ていれば、
「苦手科目を克服しつつ、得意も伸ばそう」
などとAを分析することは可能になる。

つまり、現状分析をちゃんとしてるか、
ということになる。

侵略してきた宇宙人の性質や目的をわかっているのか。
世界チャンピオンになるためには何が必要なのか。
あの子のハートは今どうなのか。

それがわからないと第一歩が妥当かどうか分からないし、
「これはうまくいく話じゃねえぞ
(失敗するか、ご都合で成功するか)」
と見限られてしまう。

実はこの第一歩Aのチョイスこそが、
「これはなんやかんやあって成功する、
面白そうな話だぞ」
を決めると思っても良い。

オープニングを書くことは難しい、
小説の最初の一言が難しい、
なんて言うけれど、
僕はこの、センタークエスチョン確定後の第一歩の方が、
難しいとすら思う。


で、
コツというか経験則なのだが、
「まず最初に簡単な成功をさせる」を描くといいと思う。
それはたまたまの成功でもなんでもいい。
その成功体験が雪だるまの核になって、
膨れ上がっていくといいと思う。
あとになって、あの偶然の成功からは意味がなかった、
最初からやり直しだ、があっても良い。

いずれにせよ、
「Aが妥当かどうか判断がつかない」
という状況よりかは、
「とりあえずAは成功」にしてしまったほうが、
足がかりがあるというものだ。

「ランダムにやってるうちにAを見つける」
でももちろん良くて、
そこまでは二幕前半の1/4までにはあった方がいいと思う。
そうでないと、
「いつまでたっても方向性が見えず、
漂ってるだけ」に見えるからだ。


理想を言えば、
それは今後の成功の方向性すら決める。

受験のたとえでいえば、
「熟語が弱いとわかったので徹底的にやったら、
急に英語が何を言ってるか分かった」
瞬間があったとしよう。
そしたら英語を軸とした受験になるはずだ。

「周期表で電子が8になるのが安定」
が分かったら、化学が急に出来るようになる。
そしたら進路も化学系を見据えた人生になると思う。

(僕は絵が描けて作文が得意で、物理が好きだった、
スタンダードにいないタイプ)


あなたが設定したセンタークエスチョンはなにか?

それをする為に、
なぜ最初のAをするのか?
BやCではなくそれが妥当で、
最短経路だとわかったとき、
観客はストーリーにのめり込む。

この先は?と。

posted by おおおかとしひこ at 15:37| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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