不幸な時には不幸が重なるものだ。
それを描こう。
人生は勝利だけではない。
敗北の方が多い。
たとえハッピーエンドの物語でもだ。
ストーリー進行を考える時、
どんなことでも勝ちまくり、
どんどん話が進んでいくことを考えるか?
それはとても嘘っぽいと思う。
だって人生はそうじゃないからだ。
どんなに勝利を続けても、
どこかで失敗する時が来る。
その浮き沈みこそがストーリー展開だと思う。
荒木飛呂彦は勝利ばかりをやり、
マイナスポイントは描くべきではないと言う。
僕は、それは敗北の描き方が下手だと思うんだよね。
敗北を上手に描いて、
観客を絶望させてから、
うまく希望に導く方がいいと考える。
敗北が詰まらないわけではない。
敗北から次の勝利までの展開が詰まらないだけだ。
で、敗北や不幸をどう上手に描くかという話。
ただ一個失敗やアンラッキーを描いても、
そんなにダメージはないと思う。
大一番で外したり、
不幸に不幸が上塗りされたり、
チャンスが見えていたのにミスをしたりなどの、
不幸の描き方も色々バリエーションがあるわけだ。
どういう失敗の仕方がリアルなのか、
どういう不幸にどういう不幸が重なると、
よりリアルでより心に来るのか、
そういうことを研究するべきだ。
今回の本題は、
泣きっ面に蜂だ。
つまり、
何かのボタンのかけ違いのように、
不幸は続くという奴である。
踏んだり蹴ったりでもいい。
とにかく何かのきっかけで、
全てを失うくらい転落してゆく、
その様をうまく(つまり集中力が持続して、
目の離せないジェットコースターのように)書けるか、
ということだ。
ご都合ではダメだ。
リアリティが必要だ。
そして当然のことながら、
そのあとはすべての不幸ポイントが、
オセロのように大逆転するべきだ。
つまり泣きっ面に蜂は、
大逆転への布石である。
布石が布石とバレてしまっては面白くない。
あああどうなっちゃうんだああああ、
と転落転落また転落していくべきだ。
幸福の連鎖ばかりでなく、
不幸の連鎖を組むとよい。
これは表裏一体の関係かもしれない。
その黒一色のオセロを白一発で全白にするのが、
クライマックスへの駆け上がりだとすると、
その前は黒、黒、黒と、絶望の淵へ落ちていくべきだ。
ボトムポイントと呼ばれる、
第二ターニングポイントの前のこの暗黒パートでは、
どうやって転落を面白く(興味深く)描けるのか、
ということと関係する。
前半戦では幸福や不幸はそれほど連鎖しない。
後半戦では連鎖する。
どんどん連鎖して、エスカレートするべきだ。
振幅は、どんどん大きくなるのだから。
2020年02月19日
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