と考えるといいかもしれない。
ボクシングに喩えよう。
試合全部が全ストーリーだ。
第三幕が試合ではない。
第一幕から1ラウンド目が始まっているわけでもない。
第一幕は、「試合が始まるまで」
と考えると分かりやすい。
なぜ試合に出るのか、その動機。
なぜ試合に出ないという選択肢を選ばずに、
試合に出るという選択肢となったのか。
(自ら志願する場合もあれば、
好むと好まざるとに関わらない場合もある)
試合に勝利する条件や、
勝った場合に得られるものや、
負けた場合に失うもの。
それらを分かり、かつ感情移入することが必要だ。
つまり我々観客は、
1Rの始まりに、ドキドキしなければならない。
そしてその、
1Rからの試合展開が、
第二幕だと思うとよい。
序盤快調、中盤逆転され、終盤大逆転、
というのが定番パターンだが、
序盤互角、中盤有利、終盤逆転され、さらに大逆転、
という展開もあるし、
序盤から不利、しかし中盤一撃を喰らわし、以後押し切り、
という展開もあるだろう。
それは、適宜選んでよい。
大きな流れが移動していることが大事で、
序盤から終盤までずっと均衡をたもち、
ラストの一手だけ上回る、
なんて地味な試合はあまり面白くないだろう。
ボクシングの試合で言えば、
ポイント拮抗して最後まで有効打勝負になるよりは、
ダウン連発の派手試合の方が面白い。
それでいて雑な試合ではなく、
きちんと技術の噛み合いなどが見れると最高だ。
野球の試合で言えば、
投手戦は詰まらない。0-0で引き分けもだ。
ノーヒットノーランがかかる、
などの別の緊張があれば持つが、
普通は逆転また逆転の試合展開だろう。
そして大抵の場合は、
最終Rを迎えたとき、
絶望的な状況だけど、
まだワンチャンスあり、それに賭けるしかない、
となっていて、
その最終Rが第三幕だ。
つまり、
第二幕とは、
1R目から、最終R手前まで、
と考えると、
「展開」ということについて考えやすくなる。
今どちらが有利なのか、
パンチ一発で状況が押せ押せになったか
(ターニングポイント)、
あるいはなんらかのアクシデントで、
状況に影響があるのか(ターニングポイント)、
それによってアドリブでどう対処していくのか、
計画は、見積もりは、計画変更は。
こうしたことが、練られているか、
ということなのだ。
まず面白いボクシングの試合展開でも考えてみたまえ。
あるいはあなたのよく知るスポーツの試合でもよい。
個人戦でもチーム戦でもいいが、
主人公を明確にしておくこと。
(たとえばサッカーはフィールドプレイヤーよりも、
監督が主人公かもしれないよね)
試合を動かせる人間、
最も試合を動かせる人間を主人公にして考えるべきだ。
で、
面白い試合展開ができたら、
「それを自分のストーリーでやると、
どういうことだろう?」
と考えるとよいのである。
勿論一対一対応にうまくならないかも知れないが、
そこはそれ、適宜調整していけばいい。
もう「理想の展開」はあるのだから、
それに当てはめていくといいだろう。
展開部でもうひとつ重要なことは、
省略と強調だと思う。
4R〜7Rまでは動きがない単調な部分だとしたら、
そこはバッサリ切ってみるとよい。
(「ロッキー」のクライマックスの試合では、
全R撮影しているわけではない。
間に「○R」「△R」などとオーバーラップして、
適宜省略している)
逆に8Rが凄い面白ければ、
そこだけで30分使ってもいいのだ。
1R3分(これはボクシングだが)を、
30分、10Rで等分して描く必要などどこにもない。
これは忠実なレポートではなく、映画である。
このように考えると、
じゃあその試合を、
どのように編集して放送しようかな、
などと考える余裕が出てくるのではないか?
最初は試合展開をただ辿るだけで精一杯かも知れないが、
適度に省略と強調の効いた、
つまりはタッチが効いて、
エッジが効いた、
試合展開に見えてくるのではないか?
退屈しない試合とはなにか?
それを考えれば、
次どうあるべきかわかる。
逆転すればいい、ダウンを一回取ろう、
ポイントが負けていることが分かろう、
目尻をカットして、見えてない状況を作ろう、
観客席にあの子がやってきた、としよう、
応援団が熱唱してくれた、としよう、
大ブーイングをしよう、
反則をとられた、
などなどの、
沢山の展開があり得ることを考えれば、
次何が理想かを考えられる。
それがあなたのストーリーで、
何に当たるかだけを考えればいい。
第一幕は試合が始まるまで。
第二幕は1Rから最終R手前まで。
第三幕は最終R。
あなたのストーリーは何かの試合だ。
夢中で見れる試合を、創作するのだ。
2020年02月19日
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