2020年02月28日

梗概を書こう

プロットとどう違うのだろう。
まあ同じだ。
あらすじとどう違うのだろう。
まあ同じだ。
重要なのは、字数制限があることだ。


大抵の梗概は、1600字ないし1200字で、
という指定がある。
それくらいで自分のストーリーを纏めるのは、
非常に実力がいる。
勿論、完結まで書く。落ちまで書く。
一番おいしい所も書く。
なんなら、本文を読まれない前提で書く。
これがおもしろかったら、本文読んでみてもいいか、
というのが梗概の役目だ。

映画紹介のネタバレ禁止なものとは性質が違う。
梗概即本質である。


実際、自分が苦労して書ききったものほど、
梗概にまとめるのは苦労する。
どれが本質だろう、
どれを捨ててどれは書くべきだろう、
ということの取捨選択が非常に難しい。
だが逆に文字数を詰めていく過程において、
どれがストーリーのキモで、どれが脇で、
しかし外したら面白さが半減するぞ、
などと観察しながら考えることが可能になる。

デジタルが便利なのは、
とりあえず書き下してみて、
文字数表示を見ながら、あれこれ試せることだと思う。
これをもう少し削ってあれを入れておこうとか、
そういう調整は便利かもしれない。
(もっとも、慣れれば車幅感覚は出来るので、
必要なくなるだろうが)
僕はTATEditorで作業した。


実際、
僕が書いた長編の梗概を書いていたのだが、
最初に書いたものが4000字もあった。
これはさすがに、と頭から書き直し、
1800字あたりから、
徐々に1400字くらいに納める作業をしていた。

何が骨だろう、
何が大事だろう、
何がなくても伝えられるだろう、
何は忘れてはいけないエンターテイメントだろう、
そういう部分を探りながら、
取捨選択を繰り返して、
原稿用紙4枚分に辿り着く。


最初のツカミから、途中のアップダウンは、
読者をひきつけているだろうかとか、
どんでん返しの驚きは、
梗概でも機能するだろうかとか、
ラストの解決で、最初に振っていた問題を、
きちんと解決できたことが示せているだろうかとか、
そうした基本的なチェックが可能になる。

プロットの骨組を抽出しながらも、
魅力的な内容に相似している必要がある。

そこに実力が出る。
構成力、文章力、テーマ力。
出来れば人物の魅力、シチュエーションの魅力も。

こうしたことをわずかな文章で示すのは、
どれだけ自分がそのストーリーをものにしているかで決まるかもしれない。

書き終えたあとにやるのが基本だが、
書く前にやってみても構わない。

プロットは自由形式だが、
梗概はあらすじ形式で、しかも落ちの面白さも全部こみで、かつ文字制限。
勉強になるので、
やってみるのがおすすめ。

これがおもしろいとき、
本編もおもしろいと思うよ。
(勿論詐欺はあるだろうが)
posted by おおおかとしひこ at 00:01| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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