2020年02月28日

複数のプロットラインを進めるvs主人公をずっと追いかける

二つの形式について考えてみよう。


ストーリーには二つのタイプがある。

ひとつは古典的なもので、
主人公が出ずっぱりのものだ。

主人公が事件に出会い、
主人公が解決に乗り出し、
主人公が活躍したり困ったりして、
主人公がついに解決して終わる。

徹頭徹尾主人公に注目することになる。
いやでも我々は主人公と旅を共にする。

最初は嫌なやつ、乗らないやつだと思っていても、
その冒険が面白ければ面白いほど、
まるで十年来の親友のように主人公を感じて終わる。

これを主人公型と呼ぶことにしよう。


もうひとつはモダンなもので、
複数の場所で複数の登場人物たちが、
複数の事件に関わり、それらが同時進行するものだ。
それらを複数のプロットラインと呼ぶことにしよう。
それぞれのプロットラインは、
数シーンごとに切り替わり、同時進行する。

これがほぼ同時刻の違うところ、というのが普通だが、
実は50年離れた二つの世界の話であったとか、
実は並行世界の話であったとか、
構造自体に凝った仕掛けをしているものもあるだろう。
単純に主人公サイドと敵サイドのカットバックをする、
二つの世界の同時進行もこれに含まれる。

これを複数プロットものと呼ぶことにしよう。

複数プロットものを観察することで、
そのメリットデメリットは、古典的な主人公型の、
真逆であることを議論しよう。


複数プロットもののメリットは、
まず世界にバラエティが持てることで、
興味の分散ができることだ。
飽きが来る前にプロットラインを切り替えて、
次々に刺激を投入することが可能だ。

また、あるプロットラインで話が進みづらくなっても、
別のプロットラインから流入したりすれば、
話全体を進めることにも役立つ。

また、複数のプロットラインを俯瞰することで、
ある種の世界観を描くことが可能になる。
神の視点を与えることで、
世界はこのようになっているのだ、という、
物語ならではの世界の見方を味わうことができる。

デメリットは、この裏表だ。
興味の分散故に、一つに絞れずにどれも詰まらなくなってしまうこと。
いつまで経っても重なり合わない、バラバラの話たち。
一個一個が弱く、一本としては詰まらない話の、
単なる詰め合わせになる。
世界を俯瞰できるが、どのプロットラインにも夢中になれずに、
心が離れてゆく。


古典的な主人公型のメリット。
ひとつに集中することで、
集中力や感情移入が半端ない。

グイグイ引っ張る展開で、目が離せないほど面白い。

神の視点は、全部が終わり、主人公から目が離れたときにわかる。
なるほどこういう事だったのか、
と落ち着いて考え、主人公が世界に対して成した事について考える、
読後感が与えられる。


デメリットはこの裏表で、
集中するほどの魅力ある話がないとアウト。
焦点が絞れず、感情移入に失敗したら即アウト。

だれて来たら即アウト。

主人公の目線でしかものが考えられず、
俯瞰的なことは想像も出来ないパターン。

などが考えられる。

つまり、
主人公型のほうが、難しい。
実力がモロに出て、失敗したら即詰まらない認定。
(いや、だからこそ、面白くすることに、
全神経を使えて、結果面白くなるかもだが)

下手な奴はラストに辿り着く前に詰まらなくなるリスクが高い。

だから、
下手な人ほど、複数プロットものに逃げがちだ。

これが本題。


主人公型だと辛いし、次の魅力ある展開が作れないので、
リスクヘッジとして別プロットラインに場面を変えて、
目先を変えていきがちだ。

で、結局逃げがちだから実力もなく、
そこそこに安定したものを作っておしまいになる。


「主人公型で超面白い」が一番難易度が高く、
「複数プロットで超面白い」は技巧性が必要で、
「複数プロットでなんとなく面白い」はアンパイで、
「主人公型で詰まらない」「複数プロット型でだれて詰まらない」
は、最低ということだ。

あれ?
失敗のリスクはどちらも同じだね。
アンパイが取れるのは複数プロットだけど、
そもそも実力がないときは、ヤバい出来になるかもだ。

僕は、
主人公型を何回も面白くなるまでトライしたほうが、
バキバキのエッジに立ったようで、
勉強になるぞ、
ということを言おうとしている。

主人公型は、全部の責任を丸裸で取らなければならない、
最も実力のいるタイプである。

じゃあ普段の訓練もこれでやればいいと思う。


実際に、あ、これ難しいな、
と判断して、複数プロット型に逃げるのは、
ままあることだ。

毎回逃げるのではなく、すごく考えて主人公型で続けてみると、
新しい何かが生まれることもあるよ。

全シーン主人公あり。
(9割は最低でも必要)
そういうタイプのストーリーを書いてみよう。
posted by おおおかとしひこ at 23:59| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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