現実に起きた順で描く必要はない。
ちょっと変えるだけでドラマチックになったりする。
たとえば。
ニュースを見る。「巨大隕石地球に接近」
セリフ「え、どうしよう…」
が現実の順だけど、逆の方がいい。
セリフ「え、どうしよう…」
ニュース「巨大隕石地球に接近」
(このニュースはたとえば街中の巨大ビジョンで、
登場人物が小さなバックショットでシルエットだったりすると、
絶望的な状況をドラマチックに強調しやすい)
リアクションから先に入って、
絶望的な状況に叩き込む。
こうすると、次にその人が行動を起こすことに入りやすい。
前の例では、
人物がおろおろする様、悩む様、ようやく行動、
のようになってしまい、
おろおろや悩む様がメインになってしまう。
あとの例では、
状況を知った人物の行動が、メインになるだろう。
観客の理解の順番が、
現実の理解の順番である必要はない。
ストーリーが理解しやすい順番であればよいのだ。
もうひとつ例を。
A「誕生日おめでとう」
B、包みを開ける。○○が入っていた。
B「ありがとう。どうして私がこれほしいって知ってたの?」
順番を変えてみよう。
A「誕生日おめでとう」
B、包みを開ける。
B「ありがとう。どうして私がこれほしいって知ってたの?」
○○が入っていた。
Bのリアクションを先に描いてしまうわけだね。
こうすると、○○が写った時、
私たちはBの感情とともに○○を見ればよいことになる。
○○への思い入れがわかるわけだ。
現実の順の前の例だと、
○○を初見の我々は、どう見ていいか分からないわけだ。
つまり、
登場人物が知っている情報(=ずっと欲しかったもの)だが、
我々は知らない情報があるわけだ。
だから、それを観客と共有してから、
○○を見るようにすればいいわけだね。
たかが行の入れ替えでしかないのだが、
こうしたことに気付けるか、
というのは一種のセンスかも知れない。
現実ではこの順だが、
映画やドラマの定番ではこの順だぞ、
ということに気付けると、
それはなぜだろう、と考えることが出来、
なるほどそういうことかと気づけたら、
他にも応用できるかも知れない。
脚本は現実の時間順だが、
監督がカット割りを考えるに当たって、
逆にした方が良い、と判断することも勿論ある。
「そのものを伏せて、先にリアクションを描き、
そのものを次に見せる」
というパターンは、他でも使えるだろうね。
嫁、立ち止まって驚き、わなわなとする。
夫の不倫現場。
冒険家、立ち止まり失敗したと思い胸元の銃に手をかける。
土人たちが槍を持って現れた。
犬、匂いを嗅いで立ち止まる。飼い主「オイ!…え?」
犬、飼い主を引いて走っていく。
女「いやー!」
写真に霊が写っている。
いずれにせよ、その時の感情がメインではなく、
「次どうなるのか」「次どうするのか」が焦点になるだろう。
こうするとテンポを速く出来るし、
停滞がない。
あなたの話が停滞しやすいのは、
現実の時間順に忠実に描こうとしてるからかもね。
2020年03月13日
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