2020年03月16日

ディテールはアップしても、ストーリーはアップしない

作業BGMに、ひさしぶりにMatrixのサントラを聴いた。
で、Matrix relordedのサントラの方が、オリジナルより凄く進歩していて、
音楽的には非常に聞き応えがあってびっくりした。(リアタイ以来)

なぜ音楽はよくなっているのに、
本編のストーリーは前作を超えないのだろう?


ディテールは、
「前の感じを踏襲して、スケールアップすればよい」が、
ストーリーはそうはいかないからではないかと思う。

つまり、
ストーリーは本質的には、
「前のを踏襲できない」ものなのだ。

同じことをやれば「おんなじやんけ」になるし、
違うことをやりながら、
「前の方が面白かった」になってはいけない。

つまり、ストーリーというものは、
「違うことをやりながら、かつ前のものを超えなければならない」
という宿命になる。

ところが、音楽的には、
スパイ風味デジタルクラブミックスという基本的な方向性は変えずに、
東洋的なモチーフを入れたり、オーケストラと混ぜたりなどの、
範囲内での実験が可能だ。

ストーリーにはそれがない。
「範囲内での実験要素」ということが存在しない。

これが根本的な理由だと考えられる。


前のものの「つづき」だからね。
発展しなくてはならない。展開しなくてはならない。
「目覚めた男が人類を解放する」という大枠のストーリーにおいて、
マトリックスの謎が必要か?
(リローデッド本編ではどちらかというとそっちに尺が割かれた)
それはサントラと同じことをしてしまった失敗なのではないか、
と僕は感じた。

続編の参考に一番なるのは、
ターミネーターとT2の関係だ。
1でつくった世界観を、2で発展させた仕事が素晴らしい。
継承してアレンジするのではなく、
継承して発展させたわけだ。

サントラは、継承してアレンジがもとめられる。
急に全然違う音楽ジャンルになったら、
格好良さの何割かが減じるであろうから。


ディテールのアップ、たとえば、
合成技術やCGのアップ、物量のアップ、出演者の豪華さのアップ、
画質のアップなどと、
ストーリーのアップは、
ベクトルがまったく違う、
ということを、
マトリックスの成功とリローデッドの失敗で学ぶことができる。


しかしサントラはとてもよい。つくづく惜しまれる。
4はどうなるんやろ。撮影のニュースはちらほら聞こえてきている。
晩節を汚さないことを祈る。
posted by おおおかとしひこ at 20:43| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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