ライター修行のやり方のひとつに、
ノンストップライティング、またはマラソンライティングというものがある。
これはつまり「筆を止めることなく、なんでもよいのでひたすら十分書く」
などのような練習法だ。
何か考えていることを書くでもいいし、
昨日あったことをつらつらと書いていくでもいい。
とにかくルールは、「筆を止めないで一定時間書くこと」だ。
途中で大概書くこともなくなってくるのだが、
その時は「今書くことがない。目の前に見える光景は、天気がよくて……」
などと、何でもいいから書き続ける、
という訓練法だ。
これは、書く内容の質を高めるトレーニングではなく、
書くことをストップしないトレーニングである。
脳がもうだめ、と言ってからまだ続ける筋トレのようなものだ。
これをやると、「筆を止めない」という癖をつけることができる。
また、頭の中が空っぽになりやすい。
(考えていることを全部外に吐き出すので)
つまり新鮮な発想に今後なりやすく、
しかも筆を止めずに書き続けられる、
という二重の効果がある訓練だ。
僕はこれをブログなどでずっとやっていて、
だからこそ、何かがやって来た時、
新鮮な気持ちでそれを観察しつつ、
新しく出会うことで何かを考える導火線にして、
新しく発想することをやっているわけだ。
瞑想で、自分の思考を消すことと、
似たようなことかもしれない。
瞑想は消すことで、マラソンライティングは書いて捨てることで、
自分を空にする。
また、技術的には、
ずっと書き続けることを手でマスターするので、
とにかく突破力がつくようになるわけだ。
これに薙刀式はとても良い。
1モーラ1アクションだから、
パッと思ったことがすぐに打てる。
人差指50%、中指30%の合計80%の使用率だから、
真ん中のキーあたりを使っているだけで大体書ける。
時々薬指と小指を援用するくらいなので、
手っ取り早いし、疲れにくい。
あとはアルペジオが多いので、
片手でごにゃごにゃやれば書けてしまう言葉があるため、
スラスラ書いている感覚になる。
親指のシフトがやや面倒だが、
それは27キー範囲内にカナを抑えるためのものだと思えば、
我慢できるだろう。
(QTYを不使用)
こうしたことが複合的に効いて、
薙刀式で10分ノンストップで書くことなど、
苦でも何でもないのだ。
ただし手書きのほうがノンストップライティングは簡単だ。
デジタル文字入力は漢字変換やミスタイプの修正が多く、
漢字直接入力や間違えれば二重線ですぐ消せる手書きよりも、
書く内容に意識を振れない。
ともあれ、
qwertyローマ字に比べれば、
まったく書くことの維持など簡単な感じがある。
勿論qwertyローマ字のマスターなら同じ境地にいるだろうが、
そこまでたどり着く労力を考えると、
薙刀式のほうが全く簡単だと思うなあ。
いずれにせよ打鍵数は少なくなるし。
もちろん10分だけでなく、
20分、30分とマラソンの時間は伸ばすことが可能だ。
しかし20分くらいまでが、
経験上ノンストップの限界かもしれない。
そんなに人間の脳の中は、
言語のバッファがないように思える。
で、書くことというのは、
ノンストップライティングの部分と、
脳の中に考えを展開して、
それを整理して、書ける状態になるまでの準備部分とを、
間欠的に繰り返すのではないだろうか。
勿論、書くことが書くことによって湧き出すこともあり、
それをループしていくことが書くことなのだが、
それが持つのは、せいぜい20分から30分で、
どこかでノンストップではなくなる時が来る、
ということが経験上言えると思う。
ノンストップというのはそれだけ難しい。
そもそもノンストップで書くには、
物理的な体力がいる。脳的な体力もいる。
それらを先に鍛えておこうというのか、
そもそもの目的だ。
こういう訓練を経ていると、
「あ、書こうかな」という状態になると、
ノンストップでこういうことはどんどん書ける。
実際この記事もノンストップで書いていて、
書き終えたあとでちょっと直す程度で出している。
(ちなみに2400字程度。15分程度で書いた)
今回はノンストップライティングと薙刀式の関係について書こうかな、
とむむむと考えれば、
あとは筆が泳ぐままに任せれば書き終えられる。
自動書記とまではいかないが、
それくらいに考えが静かに発展し、
手がそれについてくる感じ。
右足を出して左足を出すのが自動的に行われるように、
手が勝手に薙刀式の動きで書いていく感じ。
(手書きよりもミスタイプや漢字変換が邪魔だけど)
僕が薙刀式動画で長時間書いていることを示すのは、
こうしたことに薙刀式がとても便利だと示そうとしていることになる。
まあ単純に動画を撮る手間や時間が面倒だから、
ほとんどの人はやっていないのだろうが、
でも配列やキーボードが「ずっと書いていく事」に便利だというなら、
それを示すのが手っ取り早いと思うんだがねえ。
ということで、マラソンライティングは、
書く技能の向上にも良いし、
配列の検証にもとても良い。
ずっと書き続けて何時間できるのか、
という耐久試験にもなるし。
よほど集中している時は、
僕は二時間ノンストップとかあるけど、
それはへとへとになってもう何も出来なくなるくらいになる。
一回寝ればまた復活するかもね。
温泉宿にこもった昔の作家たちは、
それを経験的に知っていたのだろう。
風呂入って寝れば、
また二時間かけるタイムが一日のうちにやってくるだろうから。
「家帰って寝て、また書く」というのは、
数回やったことがあるが、
二回目は一回目より内容が薄いことが分っている。
やはり一日の頭に書こうと思うことが、
一番整理されているのだろう。
ということで、マラソンライティングは、
とてもおすすめの配列検証法だとおもう。
日記でもなんでも自由に書いていって、
他にさらさないようにすれば、
検証は出来るかと思う。
そういう時は、僕は1800字/10分とか行っているときがあって、
ああ、ブレーキがかからなければ、
これくらいは行くんだなあ、
などと観察している。
まとまったものを書くことは、野放図に書くこととはまた違っていて、
でもそれが出来るのは、
マラソンを普段走っているかどうかで、
楽さはかわってくるだろうね。
薙刀式がとくに良いのは、
指のつながりがよい事かなあ。
するすると指が繋がって、
手書きで字を書いているような感覚に時々なる。
(薬指が絡むと、途切れることが多いけど)
2020年03月17日
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