沢山の登場人物がいる話の場合、
主人公のメイン事件が解決して、
メインテーマにきちんと落ちていたとしても、
他の人物のサブテーマが落ちていない場合がある。
それは単純に作者の力量不足で、
「メインテーマと落ちに手一杯」
だからにすぎない。
表面上の現象としては、
「あの人はその後幸せになれたのかなあ。
描かれてないけど」
「あの人をもう少し掘り下げて欲しかったな」
という印象が起こると思う。
観客というのは贅沢なもので、
メインテーマとメイン事件の見事な解決を見たあとでさえ、
このようなことを求める。
メインディッシュのあとに、さらにデザートを求めるようにだ。
肉だけじゃなく、ワインもスイーツも欲しがるものである。
ついでに軽妙なトークやそのあとの暗いバーもか。
つまり、
「あの人はなんだったのか」が気になるのだ。
あの人はどういう(メインに比べて)小さな問題を抱えていたのか、
その人はメインの事件解決後、それを解消できたのか、
を、
各登場人物についてチェックするとよい。
小さい問題を抱えているべきだと思う。
物語の登場人物の魅力とは、
問題を抱えていることではないかと思う。
悩みのない人間はいない。
いたとしたら、天国の人間で、
それはエンディングのときだけだ。
つまり、ストーリーのエンドとは天国に行く時間帯のことだ。
大袈裟にいうと、成仏こそがエンディングである。
メイン事件の解決と関係なく、
勝手にどこかで解決していることもある。
しかし本当は、
「主人公の解決したメイン事件によって、
連鎖的に解決する」のがベストだ。
ずっと大問題だったものが解消されたことによって、
その人の問題が洗い流されたりすればよい。
クライマックスでそれがやり切れない場合もある。
そのあと、まだ小さな後日談を描く時間は少しあるので、
そこで描いてもいい。
大解決のあと、
後日談で、
「ぼくたち結婚することになりました」「ええーっ」
という場面があることがよくあるが、
これはその代表だということがわかるだろう。
大解決を目指すメインストーリーの中で、
脇の人物同士の恋愛というサブストーリーがあり、
「色々解決して落ち着いたので、
ラブストーリーも結末を迎えたくなった」ということで、
これは大解決ゆえにサブテーマも実現したという、
連鎖だと思う。
たとえば、
渋滞が解消したので、
踏切問題もなくなり店が上向きになった、とか、
トイレの修理ができたとか、
父に会って挨拶できたとか、
そういう連鎖的に幸福になることが、
「あの人はその後どうなったのだろう」
を防ぐことになるだろう。
勿論これは付帯的なことで、
そもそもメインストーリーが見事に解決してなくて、
メインテーマがビシッと決まってないと意味がない。
その上でデザートをチェックしなさい、ということである。
男が女を落とすラブストーリーだとしたら、
男の主人公のメインテーマが解決したとしても、
そのヒロインの個人的問題も解決するべきだと思う。
連鎖的、でいうと、二人が付き合うことが、
彼女の個人的問題を解決しなければならないわけだ。
それをやらないから、
「女が描けていない」に陥ることは良くあるだろう。
2020年03月18日
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