2020年04月04日

名画劇場3: アパートの鍵、貸します

モノクロついでにもう一本。
一番好きな監督(いっぱいいる)の一人、ビリー・ワイルダーから。

ネタバレで。


もう設定の妙につきる。
「ラブホテル(この時代のアメリカには存在しない。
浮気は郊外まで旅行したらしい)がわりに、
上司にアパートの部屋を貸す男。その秘密を握り出世。
一方、美人エレベーターガールに恋をする」
というこの初期設定から、
すべてのドラマが書けるわけだ。

自分の部屋で、上司とエレベーターガールがベッドを使った、
と知るときの主人公たるや。

重要なのは小道具で、
鍵はもちろんのこと、
テニスラケットの伏線も素晴らしい。
手鏡もうまく使っている。
こういう風に小道具を使うと、
ただ棒立ちでセリフを言うのに比べて、
何十倍も感情移入ができる。

80年代90年代のトレンディドラマでよくあった、
「恋人が去ってしまうからタクシーで急ぐのだが、
渋滞に巻き込まれ、フライトや電車の時間に間に合わなそうだから、
『もういいです!』と降りて渋滞の中を走る」
というパターンは、
この映画が元祖の元ネタと思われる。

ラストシーンのシャーリー・マクレーンがほんとに可愛い。
ショートカット好きの性癖に、
原田知世、ジュリエット・ビノシュとともに、
気づかせてくれる逸品。
posted by おおおかとしひこ at 00:07| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。