モノクロついでにもう一本。
一番好きな監督(いっぱいいる)の一人、ビリー・ワイルダーから。
ネタバレで。
もう設定の妙につきる。
「ラブホテル(この時代のアメリカには存在しない。
浮気は郊外まで旅行したらしい)がわりに、
上司にアパートの部屋を貸す男。その秘密を握り出世。
一方、美人エレベーターガールに恋をする」
というこの初期設定から、
すべてのドラマが書けるわけだ。
自分の部屋で、上司とエレベーターガールがベッドを使った、
と知るときの主人公たるや。
重要なのは小道具で、
鍵はもちろんのこと、
テニスラケットの伏線も素晴らしい。
手鏡もうまく使っている。
こういう風に小道具を使うと、
ただ棒立ちでセリフを言うのに比べて、
何十倍も感情移入ができる。
80年代90年代のトレンディドラマでよくあった、
「恋人が去ってしまうからタクシーで急ぐのだが、
渋滞に巻き込まれ、フライトや電車の時間に間に合わなそうだから、
『もういいです!』と降りて渋滞の中を走る」
というパターンは、
この映画が元祖の元ネタと思われる。
ラストシーンのシャーリー・マクレーンがほんとに可愛い。
ショートカット好きの性癖に、
原田知世、ジュリエット・ビノシュとともに、
気づかせてくれる逸品。
2020年04月04日
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