2020年04月10日

名画劇場9: スタンドバイミー

マイナー作品も紹介したいんだけど、
名画といえば何度もテレビ放送してるメジャーを選ばざるを得ないなあ。

ということでネタバレ。


兄と比べられたスーパーの場面。
お前小説家になれよと言われる場面。
そして夜に大食い大会の作り話をする場面。
給食費の件で傷ついた親友。

旅は、色んな秘密を言い合う会かも知れない。

誰にも言わなかった鹿と会った朝は、
とても印象的だ。


「死体を見つけにいく」という怖い目的の旅をしていく上で、
それぞれの内面を描き、ひと夏の成長をさせる構造。
目的はなんでもよかった。(マクガフィン)
少年たちが「やべえ」と思える何かであれば。

たとえば「西の国にありがたい教典を取りに行く」という西遊記も、
実は同じ構造(外枠)だ。

あとは、その「目的」が、そそるかどうか。
「死体を見つけにいく」という、ぞくぞくする感じがとてもよい。


最後、どうやって不良兄貴を黙らせるのか。
主人公が主人公たるアメリカ映画は、
やはりこういうところが強い。

冒険を終わらせる(解決)のは主人公。
キャンプの夜(ミッドポイント)に中心になるのも主人公。
この辺のバランス感覚がアメリカ映画だ。

日本だったらすぐ主人公を引っ込ませて、
「活躍する誰かを見ている人」を主人公にしがちで
(「落下する夕方」などにあるメアリースー)、
それは面白くないんだよね。


それぞれに悩みはあるものの、
旅の終わりが解決になったかはどうか分からない。
しかし町に帰って来た時、
4人とも「町が小さく感じた」というのが、
この物語のテーマを端的に示している。
冒険、夏、成長を、鮮やかに切り取った。
それを、
「こんな友達、もう一生できない」
と繋ぐラストは、キャッチコピー(コンセプトワード)として最高だ。


日本には「少年時代」という名作がある。
ラストのSLの場面が一生残る。
併せてどうぞ。
posted by おおおかとしひこ at 14:45| Comment(2) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大岡様 お世話になります。釈迦に説法ですが、原作小説も是非。
Posted by すーざん at 2020年04月13日 16:37
すーざんさんコメントありがとうございます。

帰ってこれなくなるのが怖くて未読です。
近所の本屋が休業中で、手持ちの積読がそろそろなくなりそう…
Posted by おおおかとしひこ at 2020年04月13日 16:45
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