2020年04月13日

【薙刀式】クロスカントリーのイメージ

コピー打鍵と創作打鍵の差について、
めんめつさんが創作文を洞窟探検にたとえて論を展開している。
https://menmentsu.hateblo.jp/entry/2020/04/11/232818

なるほどこう見えているのか。
僕にはまだマラソンくらいだな。
マラソンは競技場でやらないから、毎回コースが違う、
くらいの意味で考えていたが、
もう少し整備されていないコースを想定すれば、
クロスカントリーに近いのではないかなあ。


洞窟探検と異なるのは、
「地図を見て頭に入れている」ことだと思う。

創作文というのは、
ゴールや経路が見えない状態で書き出すべきではない。

適当に思いついてだらだら書いているうちに、
なんとかオチがついた経験があるからといって、
創作文とはそのようなものだ、
と、創作を日常にしない人は思い込むかもしれない。

しかも日本の国語教育で、
長い文章の創作の仕方など教えるはずもない。
添削したり講評したり出来る人は稀だからね。
ライタースクールなどの、
需要もそんなにないし供給量も少ないスクール規模でしか、
現状ライティングとはどのようなものかについて教えられないと思う。
そして当たり前だけど、
プロになろうとしてる人は大概独学だ。

(このブログを立ち上げて脚本論を書いているのは、
こうした、初心者が脚本について学ぶ場所がないから、
というボランティア的な理由だ。
ついでに自分の技術の客観化や整理をしたいというのもあったけど)


どんなプロ養成講座でも、これをやれれば卒業、
というのがあるとすると、
「事前に構成を練り、その通りに書き終える」
ではないかと思う。


慣れていない人は、
事前に最後までを見通すことも難しいし、
事前計画を守って執筆することも困難だ。

大抵途中で新しいアイデアを思いついてしまって話がよれて、
計画のオチへ辿り着けず挫折するとか、
計画の練りが甘く、書いているうちに詰まらなくなってやめてしまうとか、
計画を途中変更しながら自転車操業で書いて、
どこかで破綻したり飽きてしまって挫折するのがオチだ。

そんな経験から、「事前に計画なんて練っても意味がない」
なんて持論に陥りがちだ。
そんなことを言う人は、ふたつの能力が足りていない。
事前にオチまで含んだ練られた構成を作る力と、
その計画通りに波に乗って書く力だ。
(ついでに、他人の文から構成を抜き出したり、
その構成から実文を書き出したりする能力も必要だろう)


と、いうことで、
僕にとっての執筆(長いものなら手書き、短いならタイピング)とは、
「すでに見えている地図の通りに走ること」だ。

マラソン大会でも下見が出来るから、
マラソンに喩えてもいいと思う。
いや、もっと足元の状態も見えない、コースすら定まってないが、
山の位置や川の位置は分かっている、
クロスカントリーマラソンに喩えるべきかもしれない。

執筆とは、
計画を立てる行為と、
計画の実現を現場でなす行為の、
二つの段階がある。

前者は、机の上では行われない。
ソファの上や、布団の中や散歩や風呂やトイレや、
本を読みながらやメモを整理しながらや音楽を聴きながらや、
他の作品を執筆している途中や、夢の中で、
やる行為だ。
スケジュールの9割を使うと僕は考えている。

そこで、「あ、書けるぞ」と思った時、
ようやくスマホを出したりPCを開いたり、
白紙を出して鉛筆を削ったりするわけだ。
(鉛筆を削るのは僕のルーチン)

あとは、地図を思い浮かべながら書くのみ。
計画と違う難所はちょいちょい出てくるが、
まあアドリブでかわしていく。
時々調べ物が必要になるアクシデントもあるけどね。

ブログレベル(2000字くらい)なら15分〜30分、
論文レベル(数万字くらい)なら数日から一週間もあれば書ける。
小説(10万字)は今のところ三ヶ月執筆、リライト半年くらいかな。

しかしこれは作業の1割で、
残り9割の計画のほうが大事だと思うのだ。



洞窟探検だとさぞ怖いし、安定して抜けられないだろう。
なにせ前も見えなければ地図もないだろうから。
偶然抜けられたとしても、それは幸運に過ぎないわけだ。
多くの遭難があるだろうと想像する。
(全力で走るチャンスもほぼないから、不満しかないかもね)


で、ようやく本題なのだが、
このライティングのやり方については、
タイピングを練習するだけでは1ミリも身につかない。

すでに書くということをできるようになった人が、
タイピングを学んだほうが、
すでにタイピングを学んだ人(Xタイパー?)が、
書くことを学ぶよりも効率的だ。
タイピングは手段(道具)に過ぎない。

どうやって地図をつくるのか、
どういう大まかなコースにするのか、
事前に準備しておくもの、アクシデントの予想、
リカバーのための保険。
そもそも目的地の選び方。

そんな技能は、タイピングからはひとつも学べない。


ライター修行の中に、写経といって、
名文をまるまるコピー打鍵する、という修行がある。
これは「先輩がどういうコースを走ったか」
をリアルに体験する方法だ。
いわばコピー打鍵なのだが、
そもそもなぜその目的地を選んだのか、
その為にはどのようなコースを捻り出したのか、
ということを分析しないと意味がない。
そして創作とは、「その真似をしないコースを創作すること」だから、
創作そのものについて学べるわけではない。

創作は、創作の経験を繰り返してしか学べない。
非常に逆説的なのだ。

なので、作文の授業が苦じゃなかったかどうかが多分最初の関門で、
そこをクリアしたら論文や創作をやり出して、
最初は短い文からはじめて、
そのうち長い文や量を書くようになってゆく。


洞窟探検に感じる人は、作文の授業で、
きっとなんとか「終わり」までたどり着いて、
事なきを得たと思い込んでいるタイプではないだろうか。
一度も計画作成→計画通りに執筆→反省→次の計画…
のループをしたことがないから、
洞窟探検のメソッドのまま現在まで来てしまったのだろう。

本来は義務教育でそこまでやるべきだけど、
高等教育すぎるかもなあ。



ということで、
僕はここまでの構成を最初から想定して、
ただ走っただけだ。

これくらいの量ならずっと見えている。
勿論言語化されているのではなく、イメージだ。
それを第一歩から言語化していく行為が、
マラソンタイピングであるわけだ。

これくらいはジョギングレベルなので、
毎日可能で、
僕にとってブログは健康維持みたいなことかもしれない。

いずれにせよ、年単位の経験が必要になる。
タイピングは高々一年で使い物になるが、
ライティングは何年も修行にかかると実感している。


自分の手の能力がもっとあれば、
新下駄や飛鳥やいろは坂などを使いこなしてみたいが、
不器用で短い指ではそうもいくまい。
メーターがたくさんあるプロ仕様のレーサーのイメージ。

親指シフトや新JIS程度が、手の能力を必要としない、
比較的楽な配列だと思う。
スピードメーターとアクセルとブレーキとハンドルしかない、
簡単なクルマのイメージ。

そして薙刀式も、その系列だと僕は考えている。
posted by おおおかとしひこ at 21:19| Comment(4) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たいへん勉強になります。できることから参考にしていきたいと思います。
脳内発声があるせいだと思うのですが言語化せずに地図を描くのが難しく感じ、地図を描くにも言語化が必要なので書き出しの段階では地図がなく歩き出す方向しか定まってない洞窟探検になりがちです。ブログレベルですが、地図がない状態で書いたものがようやく地図となり、肉付けしたりパズルのように入れ替えたりしてしまいます。いずれにしても偶然性が強いです。
地図を言語化せずにイメージするために、やはり脳内発声から脱却する訓練をまずしたほうが良いのでしょうか?



Posted by めんめんつ at 2020年04月14日 05:45
>めんめんつさん

脳内発声ありなし関係なく、
先に小見出しを作るのは役に立つかもですね。
あんまり細かくやると縛られる感じになり、
少ないと迷子になるので、
自分にとって適当な数を見出す経験値が必要です。
(アウトラインプロセッサは僕にとってあまり重要な道具ではなかったけど、
ひょっとしたら脳内発声のある人には便利かも知れない)

あと僕の場合、大概タイトルに結論を書くので、
目指すゴールをそこに行くようにしてます。

脳内発声ありなしは簡単に変わるものではなさそうなので、
最終的には、自分なりのやり方を編み出すしかないかと。
「書き方」に絶対のやり方はないので。
(世の中にいろんな書き方の本が存在するのも、
人によって全部違う方法があると思われます)

逆に僕はあとあとのパズルの入れ替えは苦手だったりします。


あと、肩凝りは銭湯に通って、全身運動して、全身ストレッチすることでマシになります。
異変は肩でも、実は足首が凝ってたりするので。
Posted by おおおかとしひこ at 2020年04月14日 09:21
ありがとうございます。意識していきます。
無発声の思考ができないため言語化されてない感覚や経験のストックが自分でも把握できず、書き出すか喋り出すかしないと何もわからない事が洞窟の正体な気がしてます。
たしかにアウトラインは有用そうですね。

肩凝り問題もありがとうございます。。 なってみないと色々と分からないものですね。
Posted by めんめんつ at 2020年04月14日 20:18
>めんめんつさん

アウトラインは僕は嫌いで、「読むのに時間がかかる」からです。
それよりも脳内イメージで整理した方が速くて合理的だろう、
とずっと思っていました。
しかし脳内発声で思考する人にとっては、
その方が楽なのかも知れない、ということに思い至りました。
全体を俯瞰することが重要かと。

思考のスタイルが違うと色々違いがありそうですが、
いろんな補助道具をそれぞれ発明しているので参考にすると良いと思います。
読書猿さんのブログには、古今東西の発想法がまとめてあったりして
(最近まとめて出版した)、
ヒントになるかもしれません。

肩凝りは二週間単位ぐらいで付き合わないといけないと思うので、
これも色々なストレッチやツボを試すといいと思います。
ネットにはありすぎるくらい転がってるので。
Posted by おおおかとしひこ at 2020年04月14日 21:04
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