ツイストはターニングポイントのひとつ。
どういう使い方がいいだろう。
そもそもの役目は、
「このままだと先が読めるから、
意外な展開にしてしまおう」ということだと思う。
Aの次はBが来て、次にCになるんだろ?
と読めてしまったら、
Aの次に、PQRへと展開するツイストが入るということだ。
これは、
「読める」という退屈に対して、
「驚き」を入れるということかもしれない。
人は驚くと、「一体どういうことだ?」
と脳が活性化する。
その先に答えが待つことを期待して、
ABCでない何かを待つことになるわけだ。
つまり、ツイストは驚きを伴う、
ということだ。
驚きもないツイストは、
「どこかおかしな方向に向かい始めた」
という違和感でしかないということだ。
分りやすい驚きを様式化したものは、
車田正美の「なにい!?」だろうか。
何い、と同時に我々観客が驚くから、
その先が読めなくなり、
その先を知りたくなるわけだ。
しかし、やってみればわかるが、
読みを避けるために変なことをしてしまって、
あとで困ることは沢山出てくる。
(全員死亡? いったい何が? →何も考えてません
この中に裏切り者が! →つじつまが合わない
などなど)
つまり本当に必要なのは、
「これからABCと展開するんだろうな」
という仕込みなのだ。
これはミスリードといってもよい。
このあと、PQRの本線へと誘い込むための、
逆張りを先にやっておくわけだ。
ABCをやろうとして、退屈だからPQRへ逆張りをするから、
その先が分らなくなってしまうのだ。
そうではなくて、あとあと来るPQRのために、
先に逆張りABCをしておくと、
スムーズにツイストになるというわけ。
これはよくあるやり方で、
僕が驚愕したのは、
漫画「アイアムアヒーロー」の一巻のラストだな。
なるほど、そういう計算だったのか、
と僕はリアルタイム(スピリッツで読んでたので)で呻ったものだ。
結局、それを超える「なにい!?」がなくて、
低調展開で終わってしまった感があるが。
つまり、
ツイストは、うまく使わないと、
劇薬になる可能性が高い。
「あしたのジョー」の力石の死は、
歴史に残るツイストだが、
それを最終的にうまく使えたかは微妙なところだと思う。
思いつきのツイストは、
結局あとで苦しむ。
もしプロットを組んでいるときに、
「これは読めるなあ」などと思ったら、
ツイストを入れることで、
まったく別の展開へと話を振れるだろう。
しかし、そのあとで困るだけになるくらいなら、
もともとの本線を最後まで作っておき、
それがツイストになるように、
冒頭を別のところから始めるという手もあるぞ。
ドカベンはもともと野球をやるために、
柔道という別路線から始めたくらいだ。
(野球漫画が他にあったら被りを避けるためだそうだ。
思ったより長引いたらしいが)
もちろん、ただの路線変更に見えないように、
それが最初から意味があったのだ、
という納得が必要で、
それは後付けしても手遅れで、
プロットの段階で納得がいくように仕込むべきである。
たとえば、「フロムダスクティルドーン」を見るとよい。
なんじゃあれ。
たしかにツイストしてるよ。
全然違う映画の合体になっている。
でも「それがいったいなんやねん。
ゾンビ館やりたいなら、最初からそうせいや」
ということにしかならないので、
やはりツイストは失敗だと思う。
自主映画ならよくあるパターンだけどね。
プロがやるものじゃないでしょう。
(まあ、だからB級として金字塔になっているが。
そういえば最近B級が減ったねえ。
デジタルのせいじゃないかなあ)
ということで、
ツイストを必ず使ってみる、
という枷をかけて書いてみても勉強になるぞ。
要するに、どこかで「なにい!?」が入れば、
なんとかなるものだ。
2020年05月16日
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