【薙刀式】殆ど使わない音がある

清音はほぼ使う。これは最低でも覚えるだろう。
「ぬ」を時々忘れるくらいか。
（「ヌクレオチド」とかぱっと打てないと思う）
問題はそのあと。


濁音の中でもマイナーなもの。

ぐ、ざ、ぞ、ぢ、づ

あたりだろうか。
使わない訳ではないが、
滅多に使わないので一瞬考えてしまう。

「群馬」「セグウェイ」
「銀座」「フランクザッパ」
「ゾロ目」「海賊」「キムチチヂミ」「手づかみ」
をいきなり滑らかに打てないかも。
ちょっと躓く。

慣れた運指、「偶然」「残念」「続編」
「縮んだ」「続く」「続ける」
は打てる。
打ったことのない連接をすっと打てないと思う。


拗音になればさらにだ。

ぎゅ、にゃ、みゅ、びゅ、ぴゃ

あたりは自分も滅多に使わない。

「牛乳」「牛肉」「蝸牛」など牛以外の「ぎゅ」の使い所が思いつかない。
「ギュンター」などの人名くらい？
「若」以外の「にゃ」ってあるんやろか。
「ミュージック」「ミュージシャン」「ミュージカル」は、
練習したから打てるけど、「ミュート」「カミュ」はぱっと打てない。
「ビューティー」はぱっと打てなかった。
viewの意味での「ビューワー」「フロントビュー」
などは打てるけど、beau由来のが打てないことに気づいた。
「ビューロー」もだな。
「八百」と擬音以外に「ぴゃ」を使う場面は来るのだろうか。

こうしたことがあるので、
拗音の出し方に規則性があることは、
とても大事だと考えている。

外来音は更にだ。

まだ使ったことのないやつは、

ヴェ、ツェ、クァ行グァ行

あたりかな。ヴァ行は意外と打てる。
ファ行は意外と打てるようになった。
ファイル、ファーム、ファニー、ファンクション、ファイア
フィックス、フィクション、フィールド、フィードバック、セルフィー、
カフェ、フェードアウト、フェニックス、
フォロー、フォーク、アラフォー、
フュージョン、フューチャー
など、そこそこ出てくるからだろう。
勿論日本語に比べれば遅いけど、詰まるということはない。


薙刀式を使って二年で、
こんな感じ。
ツェルトとかグァムとかクェーサーとか、
クォーターとかシークヮーサーとか、
自分から打つことはないかも知れない。

そうそう、小書きも使ったことないな。
拗音外来音を使いがちなので。
（ぴょがこないだ横書き移植版でバグがあったときくらいか）


つまり、
「定義の全部を、一人の人が使わないだろう」
ということ。

一人の中のボキャブラリーは、
日本語全体のボキャブラリーより全然少ない。
履修してない範囲がとても多い。

なので、
僕は清濁同置、小書同置、
拗音同置、外来音同置の、
薙刀式はすごい楽だなあと思うわけだ。


蜂蜜小梅のマトリックスもいいし、
下駄配列の拗音の規則性もいいと思った。
あまのあすか配列も蜂蜜マトリックス形式なんだっけ。


薙刀式は、
困っても何とかなるという、
「不安がない」のが、僕はいいと思った。
「この道具にはまだ使ったことがない部分がある」
という複雑な不安より、
「一回やっときゃ二度と困ることはない。
どうせ忘れるだろうが、その場で作れることは分かっている」
という不安のない状態のほうが、
字を書くという脳の負担の高い行為の中で、
安心できる道具だと思う。

勿論、そのたびに立ち止まり、辞書を引くように配列図を探す、
というのはあってもいいのかもだが。



新下駄や飛鳥全部覚えるの余裕ですよ、
という人は問題ないだろう。
いやあ頑張ったら行けました、という人もいるだろう。

僕は昔から暗記が苦手で、
スポーツも苦手だ。
「身体に入れられる量」のキャパが少ないのだろう。
飛鳥や新下駄など、三面ある配列は自分には無理だとわかった。
親指シフトも三面あるキー、
つまり半濁音と小書きがダメだった。

新JISがすぐ覚えられたのは、
（それまでの経験もだいぶ積んだこともあるが）
二面しかなかったからだと思っている。


僕は、「支配している範囲は全部把握したい」
という感覚があるので、
支配する範囲が広かったり、全部把握し切れてない状態は、
不安なのかも知れない。

いろは坂の配列図は、ずっと知らない街の地図を広げているようだ。
新下駄や飛鳥は、街の広さはそこそこだが、地下街がB2Fまである感じ。



つまり、
「たいして能力のない人でも手軽に使える、
そこそこ速くなれるカナ配列」として、
薙刀式を推したいと、
僕は考えているわけだな。