この力は訓練である程度まで上げられる。
しかしデジタル時代になって、
その力が落ちていると感じる。
言うまでもない、コピペによってだ。
コピペは楽だよそりゃ。
これを手書きで写したり、
要約することはとてもめんどくさい。
そしてうまく要約しないと、
「なんであの情報を落としたんだ馬鹿か」といわれ、
「本質を伝えろ」と怒られるはずである。
要約することの本質は、
余計なところを落として、
大事なところを残すことだ。
もっというと、
単純な切り貼りではなく、
「痒いところに手が届く、本日の抽出」にある。
それは、コピペばかりしていたら一生わからない。
どこが、痒いのかがだ。
広告をやっていると、
クライアントの返しを、
メールでコピペして配布する馬鹿な営業に良く会う。
馬鹿じゃないかと思う。
お前いらんやんけ。
僕らの知りたい情報は、
直接会えないクライアントからの返しを、
僕ら向けに翻訳してくれることである。
間に立つものとしての仕事を期待するわけだ。
だから、うまく要約してほしいし、
痒いところに手が出てほしいのだ。
それをコピペして、「これで全部です。間違ってないでしょ?」
とシラを切る、それが馬鹿だと思う。
もっとも、メールで送ってくるような輩だから、
直接説教できないので、
僕はもう無視することにしている。
そのことで、その営業は、仕事を学ぶ機会、
人と人の仲立ちをする者としてあるべき姿を学ぶ機会を、
を損失している。
メールがなくて対面だったら、
「いったいどういうことか説明してくれ」と要約を頼めるし、
「お前はそれを黙ってこっちに持ってきたのか?
なぜその場で断らないのだ。仕事を何もわかってないな」
と説教して、より良い仕事のやり方を構築していけただろう。
ていうか、新人の営業は、
そうやって仕事とはなんぞやを学んでいった。
その軋轢を減らすことこそが、
間に立つものの意味だからだ。
ところがメールコピペで仕事がおしまいだという。
これで効率化達成か?
これで怒られなくてよかったか?
何か悪いことをしました、か?
本質的に何もよくなっていないどころか、
仕事を停滞させている。
やっぱお前いらんわ。直接クライアントに会わせろ。
要約をして本質を抽出することは、
切り貼りではできない。
「こうは言ってるものの、
本当はこういうこと」が必要だ。
それは並び替えではなく、創出するべきものだ。
ところで、
親指シフトが死んだ。
開発元の富士通が、親指シフト専用キーボードの生産販売を終了と発表した。
これらを伝える各ニュースの見出しを見ると、
頭のいい会社と馬鹿な会社がわかる。
富士通、「親指シフト」販売終了 来年5月までに、JIS主流で 47NEWS
はときいん 富士通、「親指シフトキーボード」の販売終了 40年の歴史に幕 itmedia
富士通、「親指シフトキーボード」の販売終了 40年の歴史に幕(要約) itmedia.co.jp
愛されて40年「親指シフト」のキーボード商品、来年5月で販売終了(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
富士通、「親指シフト」販売終了40年根強いファン(日経新聞)
富士通、親指シフトキーボードを終息「優位性を訴求できない状況続いた」 マイナビニュース
「富士通 親指シフトキーボードの販売終了へ」 twitter.com
僕は47NEWSが、一番かしこい要約だと思う。
主語、述語に加えて、期限まで表記され、
なおかつ理由が書かれているからである。
つまり、5W1Hのうち、where(日本で、は自明だから不要)
以外をすべて揃えているわけだ。
しかもTwitterをのぞくどの見出しよりも短い。
これが上手な要約というものだ。
「死にます」と言われたら「え、なんで?いつ?」
が反応としてくることをわかった上で、
それを先回りして、whenとwhy(how)を示す。
これが、痒いところに手が届くということである。
脚本論的に考えれば、
行動には動機がある。
そこまで届いて、やっと手が届くわけだ。
(そういえば、昔は各新聞を並べて見て、
どこの新聞の記者がまともに記事を書いているか見たものだ。
デジタルにはそういう知性も失われつつある)
どうやったらこれが出来る様になるか?
コピペをやめることだ。
自分の責任で要約して、
できれば手書きでやることだ。
なぜなら、アナログ時代はみんなそれで出来る様になったからで、
デジタル時代でそれはできていないからだ。
(アナログ時代でもみんな出来てはいなかったよ、勿論)
なぜそうした方がいいかというと、
負荷がかかるからである。
負荷がかかり、めんどくさいことは、
なるべく一回で片付けたくなる。
その負荷が要約を作るのである。
コピペすればいいや、マウスで選択、ちょんちょん、
のたかが三手順よりも、
ずっと負荷が高いことをすればいいのだ。
かしこい人は、その負荷が自分を鍛えることを知っている
(これまで別の負荷で成長した経験がある)が、
バカは負荷から逃げておしまいである。
かしこくなりたければ、負荷を克服することだ。
要約は情報の海を整理するショートカットだ。
それを自分で作れる能力は、
負荷を縮める訓練をしないと身につかない。
ということで、47NEWS以外の記者は、
デジタルに溺れて自我を失ったぼんくらばかりである。
デジタルは人を幸せにしない。
手を抜いて成長した人を、僕は見たことがない。
成長し終えたら、楽した方が効率的だけどね。
僕が手書きを勧めるのは、決して楽ではないからだ。
その中で圧縮する力が育つ。
2020年05月20日
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