2020年05月24日

なんて過酷な運命なんだ2

さらに複雑にすることができる。


いま、1が問題、2が解決として、

A1→(B1→(C1→C2)→B2)→A2

という入れ子構造の、
問題と解決があるとしよう。

解決の順番を、この通りにする必要はない。


たとえば、

A1→(B1→(C1→B2)→C2)→A2

と、B2とC2を入れ替えることができる。
もはや()は意味をなさなくなっているが、
見やすさのためにこのままとしよう。

これは単に順番を入れ替えただけだが、
因果を含むことができる。

つまり、
「B2を解決した結果、C2が解決する」
ような形にすることが可能だ。

「あるものを買いたいが、
借金が嵩んでいるため無理」
のような二つの問題を抱えた状態の時、
大金を手に入れることで、
借金を返せたことで、
あるものを買えた、
という因果関係を仕込むことが可能だ。

僕がよくぷよぷよの連鎖を組むようなものだ、
と言っているのはこういうことだ。
解決をひとつひとつやってもだらだらするので、
解決は一気にいくのが気持ちいい。
しかし問題を簡単にすると連鎖は繋がらない。

この塩梅を作るのである。


問題の出現順と解決順を変更することで、
読むことが難しい複雑な話に見える。

因果関係に思いもよらないものがあったら、
先読みが難しく、
ピタゴラスイッチのように気持ちよくなるだろう。

あ、あれの解決がそれの解決に役に立つのか!
となったら、
怒涛のパズル解きは快感になるだろうね。


先日見た「ハングオーバー!」は、
そのように組まれたぷよぷよの連鎖的であった。

これはコメディであったので、
笑える方向に連鎖が組まれている。

表題の場合を論じているので、
これらをどれくらいの悲惨さで組むかだ。

シリアスであればあるほど深刻になる。
たとえば、
親が殺されるとか、
片腕を失うとか、
村が全滅するとか、
何年か越しに再会できた恋人が既に結婚してるとか、
どんどん悲惨な状況に追い込むと良い。

勿論解決法とペアなのは原則同じ。

で、解決順を交換することで、
怒涛の運命になり、
予測のつかない濁流になってゆく。

その、運命に翻弄されながらも、
それを切り抜けて解決することが、
面白く力強い物語の条件かもしれない。



「鬼滅の刃」の無料3話分だけ読んだのだが、
これは面白そうなストーリーだ。
妹の鬼化の運命A1を背負いながら、
鼻だけは効く主人公が、
剣の達人に見込まれて天狗的な人に紹介され(B2)、
これからどのような旅に出るかワクワクする。
僕は紙派なので漫画喫茶が再開するまで待つしかないか…



コツだけど、A2はラストがいいよ。
そうすると、「すべておしまい」の気持ちよさが出てくる。

(上手い人は、センタークエスチョンをA1にしておいて、
それの前に別の小さな問題X1を伏線として張っておき、
A2の大団円のあと、後日談の中でX2を描いてラストシーンにしたりする。
こうしたことも工夫の一つだろう)


入れ子構造が正義ではない。
怒涛の運命というのは、なるべく主人公を翻弄するもので、
それは基本構造さえ出来ていれば、
いかようにもリライトで歪ませて面白くできるのだ。

あれ?何も考えずフリだけ沢山描いて、
解決を放り投げた「ファイアパンチ」ってのがあったな。
他山の石とするがよい。
ダメなものを見て、なぜダメなのか分析して、
じゃあ理想はどのようなものかを想像して、
ダメなものには必要条件が足りていないことに気づくのは、
とてもいい勉強だ。
posted by おおおかとしひこ at 00:15| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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