バッドエンドにもいいバッドエンドとそうでないものがある。
なるべく絶望に叩き落すのがいいバッドエンド、
「?」しか残さないのは、出来が悪いバッドエンドだ。
最高のバッドエンドは、
「反省会が出来るもの」だと僕は思う。
なぜああなってしまったのか。
どこで引き返せたのか。
あそこであれを選択していれば、最悪の事態は避けられたのではないか。
あそこでああしてしまうから、人間というものは。
そう分析できるものが、いいバッドエンドだと思う。
つまりは、
いいハッピーエンドが書ける力がないと、
いいバッドエンドなど書けないのだ。
わるい(出来のわるい)バッドエンドは、
作者の力量不足で、ただ詰めが甘いだけの、
中途半端なものになる。
計画的に絶望に叩き落すことが下手だ。
だから、たいていのバッドエンドは、
たいして面白くない。
逆張りをして悦にいるただの中二病だ。
ほんとうにいいバッドエンドは、
あと一歩で最高のハッピーエンドにたどり着きそうになる。
最高の希望を見せてから、崖に叩き落す。
そうでないと面白くない。
ドМが見ることを想像するといいだろう。
もちろん、
最高のハッピーエンドも反省会ができる。
ここで勝った理由はこれだ、
ここでこうしていたから助かった、
なるほど、こうすればあとあといいぞ、
などなど。
ハッピーエンドにするか、バッドエンドにするかは、
テーマや作者の哲学次第だろう。
どうしても皮肉でないと言えないこと、
絶望でないと描けないこと、
単なる希望で終わっては当たり前すぎてつまらないこと、
などは、
バッドエンドを計画的に選んだほうが、
刺さるものになるかもしれない。
結局、バッドエンドは攻撃である。
それは何を攻撃するのか、
どんな価値観を否定するのかを、
決めていないと、批判として正しくないだろう。
で、ネットに誹謗中傷が途絶えないように、
攻撃というのはあまり喜ばれない。
喜ばれるのは、
建設的な意見だ。
ということで、
建設的に批判したかったら、
悪役を谷底へ叩き落すとよい。
悪役にとっては、どんな物語もバッドエンドだからだ。
主人公の勝利と、悪役の敗北は、
表裏一体の関係だ。
どっちを主体に描くかだけだろう。
だから、いいバッドエンドとは、
主人公が敗北している裏で、どこかで勝利しているやつがいるということだ。
それを上手に描ければ、
うまく価値の反転を描けると思う。
実のところ、
僕は短編以外でバッドエンドは勧めない。
二時間つきあってバッドエンドだったら、
ぜんぜん損した気分になるからだ。
長く付き合ってきたものほど、
しあわせになってほしいのが人情というものだ。
それを突き放すだけの強い主張がないものは、
いいバッドエンドにはふさわしくないだろう。
ただの逆張りだと批判されておしまいになる。
昔はバッドエンドも好きだったけど、
歳をとってくるとハッピーエンドでええやんか、
と思うことが増えた。
それはこれをこうしたらハッピーエンドになるのに、
という構造が見えてしまうからかもしれないし、
周りで報われない沢山の人を見ているからだと思う。
中二がバッドエンドを好むのも、
人生がつらく終わることを、あまりリアルに思えていないからだろうなあ。
それでもブラックなものは一定の力がある。
闇に覗かれないように、
己を保ちながら、
バッドエンドにする意味を、
答えられるようにしておくべきだ。
なかなか面白い(?)ブラックなストーリーでした。
パチンコ沼にハマった男の顛末を描いた物語です。
人が堕落してゆく様、人の醜さが丁寧に描かれていました。
どうしようもなく不愉快な話なのですが、
主人公の立場が目まぐるしく変わるので
不思議と退屈しませんでした。不愉快でしたけど笑
ネットで全話無料公開してるので
ご興味あれば是非ご一読を…
ウシジマくんと同じ匂いがしたので、
遠巻きに感想だけ眺めるレベルに留めています。
ミイラ取りがミイラになりそうで。
いくつかのクズエピソードは見たので、
動物園にいくつもりで見るかもしれません。
たまにジャンクフード食べたいときも人間にはあるからなあ…
何かオススメする良いバッドエンドの映画は、ありますでしょうか。どういうものが良いバッドエンドで、どういうものが悪いのか、ブログを読んで理屈では理解できたのですが、実際の映画やドラマのイメージが、どうしても出てきませんでした。
これからも、楽しく拝見させていただきます。
僕もこれだ!というのはそんなに思いつかないですが、
漫画「デビルマン」は一見の価値ありです。
年を経るごとに書き足しがある(絵柄で足したところはわかるけど)ので、
なるべく古い版で読むのがベストです。
体験してなければ是非。
僕は高校生で読んで、ものすごいショックでした。
あとワースト別格と僕の指定する、
映画「レクイエムフォードリーム」もチェックです。
麻薬撲滅の啓蒙映画かもしれないくらい酷い結末です。
(救いは用意されてるのがさらにね)
胸糞悪くなる点では映画「ミスト」もおすすめかな。
これだけ出来るんだから、ハッピーエンドのほうがええやんか、
と思ってしまいます。
あと漫画「ベルセルク」の蝕までは、必読かと。
このバッドエンドを覆せるだけのガッツのストーリーを、
20年かけても用意できていないのが歯痒い。
嬉しいことに、デビルマン、レクイエム・フォー・ドリーム、ミストは視聴済み読書済みでした!
見たことはありましたが、大岡さんにススメていただいたことで、「ああ、そういうのが、良いバッドエンド悪いバッドエンドか」と理解できたので、とても学びになりました。
ベルセルクは見たことないので、読んでみます!
これからも、ブログを楽しく拝見させていただきます。ありがとうございました。
苦いけど旨いものにコーヒーやビールがあります。
シュガーコーティングされていないそれを味わえるのは、
ある程度の大人の懐が必要だと思います。
で、旨くないコーヒーやビールも、世の中にはあるというわけですね。
あと忘れてたのが、
最高のバッドエンド(ビターエンドかも)に、
映画「バタフライエフェクト」がありました。
追加でどうぞ。
「バタフライエフェクト」も視聴済みでした!おっしゃるとおり、バッドエンドといより、ビターエンドかもしれませんね。
DVDには、いくつかのエンディングパターンが収録されていましたが、エンディング1つで、バッド(もしくはビター)具合というか、苦味がこんなにも変わるんだなあと思って、とても学びになる映画でした。
いろいろご教授いただき、ありがとうございました。