2020年06月10日

ひねりを加える

ツイストはむずかしいターニングポイントのひとつである。
そのコツについて。


まずいつ入れればいいか。
「そのままいくと読めて面白くないとき」
だと考えるといい。
つまり、
「いま普通でつまらないかもなあ」
という感度が必要だということだ。

自分が滑っていると思う感覚は重要で、
そのままやってしまったら失敗だな、
と感じることはセンサーとして必要だ。

で、それをどうカバーするか、
を考えるときに、
ツイスト、ひねりを入れることは使い勝手のよい道具である。

なんでもいい。
全然違う要素を入れ込むといい。
予想しなかったものがよくて、
全然違う展開になればとりあえずなんでもいい。

さて、それが、不自然で接ぎ木しすぎだと感じたら、
冒頭からその伏線を引けないかを検討するといいだろう。
そのツイストこみで、セットアップすればいいだけのことだ。

たとえば、
嵐がおこってこれまでの努力が台無しになるツイストを入れるとしよう。

普通の展開のときに嵐が急にきたら、
おいおい都合よすぎだろ、単純な展開を避けたのはバレてるぞ、
などと批判されるが、
最初に、
「最近、金曜の夜は嵐が多かった」
と一言いれるだけで、
突然の嵐はまるで運命のように感じるわけだ。

そのひねりも含めてセットアップすれば、
「それはそういう世界の出来事」ということになる。
最初になかったものを無理やり入れるから、
「無理のある突然の展開」に見えるというわけだ。

あとは、その入れ込み方をうまくやればいいだけのことである。

もっとも、伏線はネタバレでもあるから、
それをしないほうがどっきりがうまくいくこともある。
ツイストという突然の展開は、
どっちが面白いか、という、
これまた客観的な判断が重要になってくる。

つまり、ツイストをきちんと使える人は、
相当客観的に自分のストーリーを俯瞰している人、
ということになるだろう。
どんでん返しなどはとくに記憶に残るツイストだろう。
そうしたものは、冷静と情熱の間でつくられているということだ。


セットアップと結末は、誰にでも作れる
(ある程度才能があれば)。
問題は中盤を面白くすることだ。
普通にしかならないとか、
すぐに結論にたどり着いてつまらないときなどは、
ツイストを入れて、ストーリーに変化を彩ろう。
セットアップと結末のペアに、
ない要素で展開するのがコツで、
それを伏線を張っておいて、
それも込みの世界での話であるとセットアップするか、
あるいは伏せておいて驚かせるかは、
ストーリーと作者の判断しだいだと言えるだろう。

先日書いた話だと、
単純な宇宙ステーションから指輪を捨てる話だったのだが、
それではつまらないと思って、
途中でデブリがステーションに衝突し、
船外修理ミッションが増えるアクシデントを起こした。
アクシデントは代表的なツイストだろう。
このことによって、
予定指輪投下時刻を過ぎてしまう、
とていう展開をつくることが可能になった。
つまり、宇宙ステーションを救うのか、
指輪で流れ星をつくるのか、
という二択の状況を仕込むことに成功した。
その選択こそがテーマになるので、
ツイストを利用して、
二者択一のうねりをつくることが可能になった。

これらは、プロット段階では、
なかなか思いつけないこともある。
現場段階で、急遽入れ込んだほうが面白くなる、
と判断することが多いと思う。

ここでツイストするべきだ、
という判断を大事にしよう。
それは、観客の目線に立っていることだ。
ひねりを加えたからには、
それを利用して、もっと話を面白くしよう。
そうでなければ、ひねりなんてただの逆張りだ。
ツイストしてよかった方に、ストーリーを進めるべきだ。
posted by おおおかとしひこ at 00:19| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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