2020年06月26日

【薙刀式】骨格にならないカナ

久しぶりに薙刀式のv1とか、それ以前の試験的な配列図などを見返していた。
今でも骨格になっている部分はその時から殆ど変わってないことに驚く。
逆に、「日本語の骨格にならないカナ」というものの扱いに、
困るのだなあということがわかる。


たとえば、
「け」「さ」「せ」あたり。
頻度も微妙で、単打にするかシフトにするか迷うあたり。

昔のバージョンでは/位置の単打に「さ」があったりして新鮮だった。
(現在はシフトU)
「け」「せ」は新JISでは両方とも単打だけど、
そこまででもないと思う。

「け」の方が、「けれど」「けて」「ける」「ければ」
などのような繋ぎの言葉の骨格になると考えて、
「け」は単打に残して、「せ」はシフトに落とした記憶がある。
「せい」「せて」「せる」なども繋ぎの骨格ではあるが、
「け」ほどではないと考えた。

このあたり、カナへの考え方がわりと出るところだと思う。

とくにその濁音、「げ」「ざ」「ぜ」あたりは、
清濁別置にするほどではないが、
そこそこ漢字で出てくるため、
ないがしろに出来ない位置にせざるを得ない。
薙刀式では「単打だろうがシフトだろうが、FJと同時で強制的に濁音」
にすることにしたので、それらを加味した塩梅になっている。


「そ」「へ」は、頻度自体は低く、
大抵のカナ配列で適当なところに追いやられるカナだ。
薙刀式でもB、P位置。
しかし「それ」「〜へ(方向の助詞)」
は日本語の骨格だと僕は思ったので、
シフトに落とすべきではないと考えた。
するっと打てないと気持ち悪いと。

初期の頃は色々動いていて、模索していたことがわかる。


「め」は、初期バージョンではLのシフトにいた。
「めい」「めん」「めて」「める」あたりの連接を重視した結果だけど、
そこまで使うカナでもないので、さらにマイナー位置へ落とす。
(現在はRのシフト)

「れ」は、
それ、あれ、これ、だれ、どれ、られて、
などの日本語の骨格に重要なカナだと考えて、
単打扱いだ。
昔はS位置だったが、左薬指保護のため、
現在は/位置にいる。
「れ」が単打な配列はそんなにないと思う。
頻度自体は低いので。
しかし、「られる」や代名詞にわざわざシフトをするのは、
あんまり気持ちよくないと思うんだよなあ。
(「させる」の「させ」は連続シフト。
このへん「さ」「せ」との関係が深い)



こうした、
「頻度は低いがないがしろにすると運指の感覚に大きな影響を及ぼすカナ」
の配置や、さらに低頻度のカナあたりを並べることが、
実は配列作りで一番時間のかかることなのだと、
以前のファイルを見ると知ることができる。

だって初期の頃から、
あるないする、ん、か、し、と、て、た、に、り、ー、っ、BS、
の、ま、も
あたりは全く動いてないからね。


「日本語の根幹的な骨格」という集合があるとして、
ある配列がそれを網羅仕切っているとは限らない。

どの配列も、
「作者がこれが骨格だと思う部分集合」
を実現しているに過ぎないと思う。

それは、指とキーと打ちやすい運指に、
限りがあるからだ。

その少ない集合にどの重要なものを載せるか決めたあとは、
微妙頻度のカナを、
どう苦しゅうないように配置するかに、
たぶん一番時間がかかるのではなかろうか?

(飛鳥配列は、
その初期の限られた集合を、
連続シフトありきで3面に増やした配列、
ということも出来る。
このメリットの一方、マイナー部分はとことんマイナーで、
ここが僕の馴染めなかったところ)


薙刀式の開発では、
拗音同時押しが骨格のように思えるものの、
「よ」だけはずっと固定だが、
「や」「ゆ」は割と流浪した。
コンセプトの骨格ではあるものの、
日本語の実用上の骨格ではないからね。

拗音はバリエーションが多いものの全体の出現率は3%に過ぎない、
マイナーカナだからなあ。
(それでいて二連接頻度のトップは「ょう」だったりする、
ねじれがある)



配列作者から見ると、
この辺のカナをどう配置してるかが、
割と色んな配列を見るときの見るポイントだと思うのだが、
あまりにも玄人向けの話かもしれない。
posted by おおおかとしひこ at 08:45| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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