2020年07月09日

その事実を聞いたら、どういうことをするのか

リアクションを考えよう。


リアクションというのは、日本語では、
「驚いた顔をする」とか、
「爆笑、無反応」とか、
「『熱い!』と面白い動きをする」とか、
そういう意味合いで使っていると思うが、
映画のシナリオでは、
リアクションというのは、
「反応したあとの次の行動」を意味することが多い。

何かあったときに、
日本語でいうところのリアクションをして、
それから何かを考え、
シナリオでいうところの具体的行動のリアクションに出る、ということだ。

その結果、
またこれに対して誰かが思うことがあり、
リアクションする。
それに対してリアクションし、
それに対してリアクションし……
というループでシナリオは回る。

僕は時々「手」と将棋やチェスに例えるが、
何か手を打ったら、それに対してまた誰かが手を打つ、
ということの繰り返しが、ストーリーの骨格だ。
そしてそれが互いに目的が相反しているから、
コンフリクトになるわけだ。


リアクションを考えよう。

あることが起こったとき、
それがその人の目的にとって望ましいことならば、
支援行動に走るだろう。
それがその人の目的に反することならば、
反対行動、威嚇や妨害、逃走、騙されたふりなどの駆け引きなどをするだろう。

黙っていては目的を達成できない。
そうしたことで、反応に反応を重ねていくと、
それはストーリーになるわけだ。


とくにプロットを組んでいるときに、
このリアクションを熟考すると、
プロットの俯瞰がしやすくなる。

こういう状況で、こういうことが起こったら、
この人はどういう行動をするだろう、
と構想すればよいのだ。

これが、日本的なリアクションがリアクションだと思っていると、
「涙をぬぐう」とか「窓を開けて空を見つめるのであった」とか「黙って拳を握りしめる」とか、
一行のことを考えてしまいがちだ。
それはプロット段階では描くことは意味がない。
もう少しキャラクターが煮詰まってきてから、
その人特有の反応や癖を創造すればいいだけのことで、
プロット段階では、
「ショックを受ける」とか、適当に書いていればいいだけだ。
むしろ重要なのは、そのあとにどういう行動で応えるかだ。
「ショックを受けた結果、攻撃に出る」とか、
「ショックを受けた結果、部下を飲みに誘い、一夜を共にしてしまう」とか、
「ショックを受けた結果、会社を辞めてユーチューバーになり犯罪履歴を暴露する」とか、
行動で示すべきである。
そしてその行動の積み重ねそのものが、
プロットであるわけだ。

日本的なリアクションなど、シナリオにとってはほぼどうでもいい。
(最悪、役者が効果的なアドリブをすることだってある)
重要なのは、反応した結果の行動の意味でのリアクションであり、
その次にどういう行動に出るのか、
というさらなる行動である。

行動はアクションだ。
アクションはなにも殴ったり走ったりすることではない。
アクションで映画はものごとがすすむ。
顔芸では話はすすまない。

態度を表明する、非難する、攻撃する、
誰かに情報を漏らす(相談という形で)、
うっかり失敗する、
作戦を立てて実行する、
などはすべてアクションである。

他にどういうアクションがあるだろう。
それらをリストアップしてみよう。

それが、あなたがプロットで書くべきことなんだよ。
posted by おおおかとしひこ at 01:17| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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