かな入力アナライザーによる、各配列のヒートマップ比較をしてみる。
かな入力アナライザーは、eswaiさんによるwebアプリ。
https://keyboard-analyzer.vercel.app/
コピーしたテキストをペーストすれば様々に計算してくれるすごいやつ。
アルペジオあたりはまだ工事中かも。あとまだ細かいところにバグがあり、
今回はヒートマップの傾向を比較するに止めよう。
qwertyローマ字、薙刀式、JISカナ、親指シフト、飛鳥配列、新下駄
について比較して論じる。
また、Eucalyn配列、Dvorak、Colemak、QGMLWYについても言及する。
ソース文章は、近代小説の父夏目漱石の代表作「こころ」
を採択した。
(長いので三部構成の第一部、5万4149字、6万6479カナ)
また、文体による差異を調べるため、ラノベ、論説文についても同様に調べてみた。
結論から言うと、大きくヒートマップは変わらない。
「こころ」についての各配列の特徴は、ほぼ他の文体でも通用する。
【qwertyローマ字】
× 左小指クラッシャー
× 右小指の「」Enterが遠すぎてクラッシャー
× 上段が多すぎて、ホーム段の意味ある? ホームキーの意味ある?
△ 下段が少ないのはいいことだが、句読点が遠すぎ
△ 右手の頻度分布は理想的だが、左手が壊れている。小指、薬指の順で壊れるだろう
夏目漱石は、qwertyで小説を書かないと思う。
指が先に疲れて、文章の質が落ちる事はすぐに予想できる。
qwertyのいいところは初心者にもとっつきやすいことだが、
これでプロが使い続けろというのには、あまりにもひどい道具だ。
タイパー上級者がqwertyで早いのは指の特殊訓練の成果にすぎず、
万人が書いていくための道具として最適であるとはとても言えない。
日本語文章を本格的に書きたい人は、いますぐqwertyを投げ捨てなさい。
【薙刀式】
⚪︎ 理想的な指分布。
⚪︎ ホームキーを最もよく使う。
⚪︎ 親指にも仕事を分散して与えている。
(センターシフトが左親指にすべてカウントされているが、
半分は右親指を使うので注意)
⚪︎ 人差し指を半分以上使う。
⚪︎ 記号系もすべて30キーの範囲内。
⚪︎ QTYはほぼ不使用。
⚪︎ 上段が少なく、中下段を使用。(センターシフトは上段はしんどいため)
僕が普段主張していることが、すべて出た感じで胸をなでおろしている。
以前配列を世代ごとに分類したとき、薙刀式は第三世代とした。
その旗手にふさわしいのでは?言い過ぎ?
(他の第三世代はまだアナライザーに収録されていないので、未知数)
【親指シフト】
⚪︎ qwertyよりはマシな分布
⚪︎ 中段多目
× 上段多目(親指との同時打鍵は最適とは言えない)
× 薬指多すぎ、右中指少なすぎ、両小指多すぎ
(句読点が小指上段なのは、ほんとうに良いのだろうか?)
× 親指が多すぎでは? そこまで親指は丈夫だろうか?
× 「」が遠すぎ(配列図のあやまり、シフト45が「」)
文筆家に愛されてきた親指シフトにも、そろそろ引導を渡そう。
これでは「こころ」を書けないと思うぞ。
いくら親指シフトが便利と言っても、親指を酷使しすぎではないだろうか。
他の指のバランスも悪く、第一世代の配列としての役割を終えたのでは。
上段が多い事は単打では有利だが、親指同時は打ちづらいと考える。
すらすらと長い文章を書くことに向いた配列だろうか?
おしゃべりする程度の、とりとめもないよしなしごとの記録レベルにしか、
役に立たないのではないか?
この配列にしがみつくのは、
古い車に乗っている好事家だと批判されても止むなしではないだろうか。
愛は否定しない。
だが効率で親指シフトを勧めるのは、情弱または悪意である。
【JISカナ】
× あほか。お前文章書いたことないやろ。
× 小指もげろ。
ランダム配列とそう変わらない成績ではないかと思う。
計算配列ですらもっとマシな成績を出すだろう。
あいうえお順の配列の方が誰でも使えるので、優秀かもしれないレベル。
親指シフトは、これとqwertyを仮想敵としたと思う。
これに比べれば親指シフトは圧勝である。うんこに勝って嬉しいか?
(業務連絡)左シフトのカウントがおかしいかもです。
句読点にシフトが使われているが、そこまで多くないかと。
【飛鳥】
⚪︎ ホームキーに集中したバランス
⚪︎ 親指の頻度の改良
⚪︎ 上段より下段重視(親指との組み合わせのしやすさ)
× 右小指が案外多い
改良親指シフトを目指して完成した飛鳥は、理想的なバランスへ収束したと言える。
連続シフト中のアルペジオが加算されていないので、
成績はもっとあがるはず。
左人差し指はもっと多くてもいいと思う。
でも設計上「弱い指」として減らしたらしい。
そんなに弱くはないと思うが…
(業務連絡)enterが、スタンダード位置とE位置、二重カウント?
【新下駄】
⚪︎ ホーム段、上段中指薬指、右下段人差し指を重心とした好バランス。
⚪︎ Enterは変換位置のバージョンだとかなり使い易い。
⚪︎ 中段にがっつり集まっている
× 薬指の同時シフトが多すぎ?
流石の新下駄は文句のつけようがない。
思ったより薬指シフトが多かったのが発見だった。
記号部をカウントしていないので、それもカウントすれば、
89あたりのものも中央に寄ると思う。
夏目漱石が今「こころ」を書くとしたら、
どの配列を使うだろうか?
僕は、薙刀式、飛鳥、新下駄のどれかだと思う。
新下駄と飛鳥は清濁別置のマスターの手間があるから、
万人向けとまでは言えない。
性能にこだわるなら新下駄か飛鳥、
とっつきやすさで使うなら薙刀式ではないかと僕は思う。
ちなみに、アナライザーには英字配列も収録されているので、
ローマ字だと思って結果を見てみよう。
参考程度に見てほしい。
【Eucalyn】
プログラマー向けとして開発された配列。
さすがに日本語長文むけではないが、qwertyより全然優秀。
中段率が異常に高く、楽なのではないか。
【Dvorak】
これも異常に中段率が高い。
左人差し指のKとYが突出していて、
これをローマ字用に改良したDvorakJPでは右手に移している。
【Colemak】
英語用配列だけど、案外ローマ字でもいけなくない?
qwertyよりましだぜ?
【QGMLWY】
指の分布は薙刀式に近かった。
右人差し指が異常に多いのはKとYのせい。
(英語では低く、日本語では多い、逆転する文字)
それさえ改良したら、これらの中ではqwertyに代わるローマ字配列の候補かもね!
以下、参考までに、ラノベと論説文での偏りを見てみよう。
出典:
「おっさんはうぜぇぇぇんだよ!ってギルドから追放した癖に、後から復縁要請を出されても遅い。最高の仲間と出会った俺はこっちで最強を目指す!」おうすけ 1話〜10話
(「小説家になろう」内でランキング1位に来たものを採択)
毎日新聞の社説 2020.6.11-6.17の10記事
(業務連絡)全角数字が数字段にカウントされていない?
【qwertyローマ字】
【薙刀式】
【親指シフト】
【JISカナ】
【飛鳥】
【新下駄】
最後に、c++のコードで比較してみよう。
ソースはminiaxeのkeymap.c。
https://github.com/qmk/qmk_firmware/blob/master/keyboards/miniaxe/keymaps/default/keymap.c
【qwerty】
まんべんなく分布しているので、まあこんなものか、という感じ。
その中でも、-_|が突出しているのはkeymapのソースだからかも。
シフトやエンターを親指に集め、動線を整理するという自作キーボードの考え方は、
正しいと思う。
【Eucalyn】
qwertyとそんな変わらない?
記号部を最適化すればよいのかもね。
【薙刀式MiniAxe】
僕が使っているQMKのマップ。
英字はqwertyだが、記号はいい感じに最適化している。
親指はスペースと記号レイヤーのRaiseに集中している。
でも案外指分布が薙刀式に近くて興味深かった。
(業務連絡)行ごとの打鍵数の実装よろしくです。
かな入力アナライザーはかなり面白い。
いろいろな文章をつっこんで、比較してみてはいかがだろうか。
バグチェックも協力しようね!
》 【飛鳥】
(中略)
》 左人差し指はもっと多くてもいいと思う。
》 でも設計上「弱い指」として減らしたらしい。
》 そんなに弱くはないと思うが…
親指シフト(シフト方式について言及します。Nicola配列に限った話ではありません)の特性を全くご存じないんですね。「弱い人差し指」と呼ぶ理由を知ろうともせずに、「もっと多くてもいい」と一方的に断じてしまう傲慢さに驚きました。かような論理がまかり通るならば、知は敗北します。
他配列についての論評も、同様にゴーマンかましているんでしょうか。
業務連絡、了解しました。要望、バク出し、たすかります。目的が自分用半分、残り半分は大岡さんにツールを与えて、配列開発、配列評論をしてもらうことですので、どんどん使ってください。
アルペジオは、意図通りになったと思っているのですが、いかがでしょうか。同時押しの場合は、同時押しの中でのアルペジオと、その次の同時押しとの間のアルペジオの両方を検出し、かつ同じ指での打鍵が入るとアルペジオにはカウントしない、というようなロジックにしました。
結果を見ると、なぜ自分が薙刀式にたどりついたのかはっきりします。qwertyでまったく使っていなかった右小指を、最近の配列はけっこう使うんです。指10本をフル活用しますもんね。これが無理でした。
「弱い人差し指」ということについて、数年前読んだ気がしますが、
その時もよく分からなかったし今でも分かっていません。
親指シフト方式(ととりあえず呼びます)を深く使ったわけでもないため、
そのことについての理解が浅いのだと思います。
http://61degc.seesaa.net/article/34690310.html
も読みましたが、
薙刀式以上に親指を使うと僕は親指腱鞘炎になる
(なんどもやっています)ので、
それ以上親指を使うときの「弱い人差し指」の理屈が、
体感としてよく分かっていません。
連続シフト(おそらく同手)との兼ね合い、までは予測がつきますが、
薬指の方が弱いのでは、と思ってしまいます。
https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/asuka-layout/entry-10231038590.html
を読む限り、掌の重さを使ってRayさんは打っていたようですが、
僕は掌をほぼつけて指の力で打っているので、
その差もあるかもしれません。
(で結局押下圧を30g以下にするために自作キーボードに行ったので)
宜しければさらに詳しい情報を教えてくださると有り難いです。
アルペジオはiPhoneからはグラフの下の表記が読めなくなるので、
PC確認しないといけないのであまりちゃんと見てないです…
ロジックは合ってると思います。新下駄などでも行けそうですね。
薙刀式はそもそもカタナ式の指遣い(左中指、人差し指、右人差し指、中指、薬指)の感覚でカナ配列が出来ないか、から始まったので、全部の指をフル活用しない(できない)人前提だと思います。
あらためて、新下駄や飛鳥の華麗な指遣いは自分には無理だな、一生人差し指と中指だけで生きていけないか、などと考えており、
そこらへんが薙刀式の本質的な部分なのかも。
シフトキーを同指打鍵、交互打鍵やアルペジオに含めるように変更したので、新下駄の結果が変化しました。中指薬指シフトを含めるとアルペジオが大幅アップです。
JISかなのシフト多すぎはミスが見つかってません。拗音、を、撥音もあるので実際に多いのかもしれません。
スマホの場合、横向きにするとアルペジオのグラフが読めるようになります。
新下駄の打鍵の快適さは、シフトキーからのアルペジオの感覚がかなり寄与してるので、それが反映されてよかった。
予想通り、薙刀式より5ポイント程度多いですね。
飛鳥の「ぬるぬる繋がる感」は、連続シフト中のアルペジオもあると思うので、そこも評価したいところ。(薙刀式でも「もの」とかがそうだけど)
アルペジオは、同段のものと異段のものは別に分けるといいかも。
飛鳥のアルペジオは中段同士が多く、新下駄や薙刀式は斜めが多かった記憶があるので。
隣指/一つ以上離れた指、同段/異段とわけて表示すると、把握しやすいかもです。(その前にどれを採用するか難しいところですが)
JISカナのシフト率は、統計からは大体8%前後(句読点と拗音を足しただけでも7.5)だから、合ってるみたいですね。意外と多いんだな。息継ぎのたびに小指を使わされる配列なのか…
シフト率が高くて「親指が先に疲れてしまう」現象は特に左親指で何度となく経験していますが、親指腱鞘炎は幸いにして免れています。私が抱える腱鞘炎は今のところ左手人差し指だけですが、親指シフト系配列作成者界隈に蔓延していて、半ば「職業病」みたいな存在になっています。
「弱い人差し指」と呼ばれる要因は、主に二つあると考えています。
一つは、人差し指の隣人が親指であること。連続シフト時に左親指を固定(押しっぱなしに)したまま左人差し指を動かすことで、腱に無理が掛かって痛くなります。私はこれで発症しました。
もう一つは、人差し指を伸ばしたまま同手シフトするのが、地味に痛みます。[左親指+F]は痛くないけど、[左親指+V]は痛い。同様に小指と同時押しする[Ctrl+F]は痛くないけど、[Ctrl+V]は痛い。
薬指や小指を使いすぎると指先のキーに接する部分が痛くなるというか熱くなってきますが、こちらも腱鞘炎にはなっていません。ズキズキ疼くのは左手人差し指だけです。
本来なら強いはずの人差し指を活用したいのは親指シフト系配列でも同じですが、健康を害してしまっては元も子もありません。そのせめぎ合いの果実が飛鳥カナ配列であったり、蜂蜜小梅配列だと思っています。
Rayさんはメーカー製デスクトップPCに標準で付いてくるチープなメンブレンキーボードで使う前提で飛鳥カナ配列を開発して、高級キーボードを使わなくても誰でも使える取っつきやすさ、普遍性を訴求しました。
蜂蜜小梅配列は一般的なノートPCでも使えることを目指して、パンタグラフキーボードを標準原器にしてます。
その後
https://ameblo.jp/asuka-layout/entry-10021245904.html
などを見つけ、どうやら
「左人差し指+同手シフト(かつ連続シフト)」が犯人だろう、
というところまでは想像しました。
ただ、
「じゃあ同手シフトを一切やめたらどうなるか」
「同手は継続、ただし連続シフトをやめたらどうなるか」
「左人差し指の単打を重くしたらどうなるか」
「逆手シフトを増やしたらどうなるか」
「親指4シフトにして親指も動かしたらどうなるか」
「人差し指伸ばしは減らしてFを増やしたらどうなるか」
などの対照実験は見つからなかったので、
(あったら教えてください)
犯人を突き止め切れてないと思いました。
センター連続シフトという、同手でも逆手でもシフトをかけられる薙刀式では、
最初打ちやすさで同手シフトで打っていたのですが、
親指が痛くなってきて、全部逆手シフトに矯正したら、
親指の痛みがなくなったという経験をしました。
「犯人は同手連続シフト」の状況証拠かもです。
で、同手シフトを廃止して、単打と逆手シフトのみの薙刀式では、
左人差し指使用率25%でも問題ないので、
指自体の耐久度はあると思っています。
あとは、メンブレンかパンタグラフか、打鍵法はどうか、
という打法の違いもありそうなので、
誰か飛鳥の動画上げてくれないかなあなどと思っています。
タイプウェル動画と、かえであすかしかないので、
ふつうの文章を打っている様を観察したい。
勝間さんや立花さんの親指シフト動画を見た限りでは、
ゴツい人が強打している印象がありました。
一方専用キーボードの動画は、そんな速くないけど柔らかい打鍵。
飛鳥がどちらを理想としているのかで、
指の打鍵感覚は異なると想像します。
(メンブレンだと強打なのかなあ)
自作キーボードをやってみてわかったのは、
いかようにでも打鍵感や打鍵姿勢は変えられることで、
言葉になっていない無意識の条件が、
実は打鍵に大きな影響を与えていることです。
たとえば机面より15センチ程度キーボードを下げるだけで、
掌を浮かした打鍵が劇的に簡単になるので、
今そういう器具を作っているところだったりします。
その環境下では、また配列の考え方も変わるかもしれません。
腱鞘炎は一回やると臆病になりますが、
日々のストレッチでどうにかなると思っています。
左人差し指ご自愛ください。