敵は敵対する。主人公と反対だ。
何もかも反対の、鏡の世界の人間だ。
そうだろうか?
「同じところ」もあるのでは?
たとえば。
「同じ、東京都民」かも知れない。
「同郷出身者」かも知れない。
「同じ、男」かも知れない。
「同じ、人の親」かも知れない。
「同じ、いじめられっ子だった」かも知れない。
「同じ、元警察官」はハリウッドによくある。
「同じ、超能力者」もよくある。
主人公と敵を、
全て反対にする必要はない。
むしろ、
「同じところを沢山持っている」方が、
人間と人間を描く上で深くなる。
これはラブストーリーでも同じだ。
同じところに惹かれて、
違うところに魅力を感じるのだ。
敵の場合は、
違うところが許せなくて、
同じところは複雑な思いになるわけだ。
つまり簡単に、恋の相手は敵になり得るし、
敵に恋することもあるわけだ。
昨日の敵は今日の友、なんてことはわりとよくある。
最初にどう出会うのかで、
敵が味方が決まったりする。
途中でターニングポイントがあり、
見方が変わり、立場が変わることもある。
敵は敵、理解できない、
恐るべき、憎むべき、殺したい人、
というのでは、あまりにも考えが浅いではないか。
(いまちょっとBLMがそうなってるが)
そうではなく、
複雑な思いを抱かせたり、
味方かと思わせておいて、
一気に敵に振り切るような許せないエピソードなどを披露すると、
物語がうねって面白いではないか。
敵は敵と考えるのは、
IQの低い人のものの見方だ。
料理で言えば、甘い、辛い、苦い、
とひとつの味しかしない感じだ。
「彼は我々と同じ人間で、
同情や共感の余地は大きい。
しかしただ一点、このことに関しては断罪したい」
のほうが、複雑な味になって面白いよ。
そして、複雑な味の料理の中に、
たったひとつだけ強い味がコントラストで置かれているのが、
理想ではないかと思うのだ。
そのためには、
主人公と敵を表に書いてみよう。
共通点は何か?
異なる点は何か?
互いに共通点には共感するが、
異なる点には互いに理解し合えないはずだ。
「同じ関西人やと思ってたら、
あいつ納豆食うんやって。
許されへんよな」
なんてことが、生涯の敵の誕生だったりするんだぜ。
2020年07月18日
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