2020年07月23日

【薙刀式】「親指シフトより速い配列」のこと

「親指シフトは速い」などとにわかシフターは言うし、
実際下手なqwertyローマ字より速くなれるので、
それ自体は主観的主張として正しい。

しかし客観的に見て、親指シフトより速い、
近年に開発された配列はいっぱいあるんだぜ。


1. いろは坂配列

60%キーボードのうち、エンターとスペースをのぞく殆どのキー、
56キーをカナに当てる、JISカナ以上に広範囲な配列。

タイプウェルZIという、今一番結果を出している配列。

速さの秘密は、足を引っ張るシフト文字を極力減らし、
単打を56に増やしたこと。
JISカナで48、親指シフトで31であることを考えると、
より高速キーを増やした考え方。
勿論、指の連続を究極まで考えていて、
同指が連続しないことは勿論、
片手アルペジオを多用し、
端の指を起点とした折り返しになるように意図されている。
(つづら折りのいろは坂の名称の由来)

またシフトは前置と後置という二連打系で、
「超高速領域では同時押しは不利
(前の文字にシフトがかかるのか後の文字にシフトがかかるのか、
誤判定の危険がある)」
を最初から除外した設計。

打鍵動画も豊富で、創作文が沢山あるので、
どういう指遣いなのか、どれくらい速いのかは一目瞭然。

ただ作者も、長文作文には向かないかも説は唱えている。
タイパー特化配列、または短期勝負(小一時間)でバーっと書くには最速か。


2. 新下駄配列

僕は新配列の両横綱は、新下駄と飛鳥だと考えている。
新下駄は3.5段で、同時押し6シフト
(中段中指薬指、右手の上段中指薬指)
を使った、文字領域シフトのみを使う。

(親指は余るので、操作系に使うのが良いだろう。
エンターや変換系など)

遅い親指よりも、文字領域で同時押ししたほうが、
スマートで速いのでは?
というのが基本アイデアだと思う。

特徴は濁音も清音も関係なく、
頻度や連接に応じて配置された「清濁別置」で、
打ちやすさや速度に最適化されている。

とくに左右の均等バランスと、アルペジオの多さに特徴がある。
(シフトキーからのアルペジオなど、指の動線が非常に整理されている)

清濁別置は高速配列のひとつの特徴で、
新下駄、飛鳥は完全に別置、
いろは坂はメジャー濁音別置だ。
記憶負担やマスターまでの労力と、マスター後の高速性はトレードオフだろう。


さらに新下駄は拗音を同時押しワンアクションで出せる。
発音上は1音だが表記上は2文字の、
「しょ」「ファ」などを出せ、
1モーラ文字を1アクションで出すことに成功した配列。

新配列では最も使い手が多く(かえうちの調査による)、
Xタイパーの数は一番多い。
タイパー特化だけでなく、
創作文での使い手も何人かはいる模様。(たまにTwitterで見る)



3. 飛鳥配列

親指シフトと同じ、左右親指キーでシフトする方式を用いた配列。
親指シフトの問題点は、
親指によるシフト方式ではなく、
配字の練られてなさにある。

アルペジオ(隣の指でタランと打つ)でよくある連接
(ない、ょう、たい、いう、です、ます、など)を打てたりする方が、
余程速いというものだ。

飛鳥は徹底的に指の動線を練ることに10年かけた、
熟成配列だと言える。

シフト方式に工夫があり、
連続シフト(親指押しっぱなしでシフト面を継続)を活用していることだ。

つまり連続シフトで、実質3面の指の動線を練って最適化したわけである。

親指シフトサイドは、
「出現頻度に応じて強い指に充てるようにした」
と主張するが、
そんなものは新配列の設計の最初にやることで、
現在の配列では、
「よく出る二連接、三連接、n連接を、
繋がりの良い、高速打鍵できるキーの組み合わせn連接に充てる」
が研究されている。

飛鳥はその嚆矢であり、
単純なシフト方式のまま、指遣いを徹底的に練ったものだ。


タイプウェルではイマイチ活躍していないが、
実践文章では指がヌルヌル繋がると言われていて、
途切れなく文章を打っていける、
創作文向きの配列。

新下駄の次に使い手が多いと予想される。
新下駄とは運指の考え方が違うので、
甲乙つけがたい二大横綱だ。



4. 月配列2-263式

月配列には様々なバリエーションがあり
(ざっくり数十)、
それぞれに特徴があるが、
最初の版である2-263のナンバリングがあるものを、
月配列スタンダードど呼ぶことにし、以下それを解説。

打鍵範囲は親指シフトと同じ31。

中指シフトを使う。
特徴は前置シフト方式で、
DまたはKの後に打った1文字にシフトがかかる。
(DKは、単打の割り当てはない、シフト専用キー)
つまり、1打文字と2打文字(頭文字がDまたはK)が混在するパターンだ。

同時シフトの同期の必要がないため、
技術があればいくらでも間を詰められる
(qwertyローマ字のトップランカーは秒14打以上打つ)ことから、
超高速打鍵にも向く。

遅い親指を使わないので、高速領域において有利である。


ただ、実際にこれを使って長文を書いた例が見つからず、
実践文章に向いた配列かは不明だ。

配列のベースとなった新JIS配列は、
「誰にでもカナのブラインドタッチを」
を目標にした配列で、
速さを第一義にしていない。

指の動線が練られているかというと、
「なるべく左右交互打鍵にする」が元々の方針なので、
飛鳥や新下駄ほどではないと考えられる。

それゆえに、これを改良した、「私家版月配列」がたくさんあり、
百家争鳴の様相を呈している。
一歩抜きんでているのは、月U、月E、ぶな配列、ミズナラ配列、叢雲配列、月光、
あたりだろうか。



5. 薙刀式

30キー範囲(カナは27キー範囲)とスペースキーしか使わない、
最小範囲カナ配列。

「物語を書くための配列」を自称し、
U位置にBS、V+Mでエンター、
文書編集ショートカットやカーソルが配列内にあるなど、
書く作業全般において、
ホームポジションから不動のまま扱える配列。
(作者の僕は、
36キーしかないキーボードMiniAxeで薙刀式を使って小説を書いている。
指の移動がなくてらくちん)

特徴はシフト方式を複雑にした代りに、
記憶負担を最小にしたこと。
清音、濁音、半濁音、小書き、拗音、外来音が、
すべて同じ位置にあることで、
カナの位置50を覚えれば他を覚える必要がないことだ。

シフトは3種。
1. スペースキーによる連続シフトで2面を使う。
2. 逆手人差し指同時で濁音(FJ)、半濁音(VM)化。
3. 拗音は、「し」と「よ」同時押しで「しょ」、
さらに濁音と3キー同時で「じょ」になるなど、
「使用音を同時押し」に統一。

タイプウェルはSSと、Xタイパーから見れば一段落ちるが、
長文作文においての速さは、
打鍵動画が豊富にあるので実際に確認されたい。

特に秒単位の高速化は薙刀式はどうでもいいと思っていて、
時間単位、日単位、週単位での速度や疲労を考えている。
巡航速度は、1200字(変換後)/10分あたりが平均。
(小一時間程度の作業時間)
先日は1800弱を出したが、内容や調子でブレるだろう。


楽さ、速さの秘密は、
頻出連接をアルペジオに置いたことと、
独自の言葉の分類。

(日本語は、「話題の語」を「繋ぎの語」で接着していく言語だ、
と考えた。膠着語類だからだ。
「繋ぎの語」とは助詞、助動詞、接続詞などだが、
他にもよくある、
「である」「ほかにも」「よくある」「などの」「かも知れない」「している」「的な」
などをそう呼び、特別打ちやすい指遣いに昇格している。
「話題の語」はランダムに訪れるので、配字上工夫できない。
精々統計的頻出に基づく指分布にすれば良い。
しかし「繋ぎの語」は有限で決まっているため、
そこを重視して連接しやすくすれば、全体的に速く楽になると考えた)


一見複雑な機構ではあるものの、
指の軌跡が少なくなるような設計なので、
動画を見れば非常に楽に打っていることが観察されるだろう。
(変な指の形をしていたり、手首を無理やり使っていることが、
殆どない)

キーボードを選ぶ親指シフト系列にくらべ、
30キーとスペースキーさえあればよいので、
USキーボードでも自作キーボードでも、
どこででも使える配列である。



6. 蛇配列

4段カナ配列。作者のなっとさんはXタイパーなので、
速いことに間違いはない。

前置シフトを駆使し、
3文字を2打で打つ(拡張入力)などの工夫で、
高速化に寄与している。

使い手が作者以外観察されないので、
配列自身のスペックが分離できていない。
でも速いと思う。


7. 蜂蜜小梅配列、TRONカナ配列

親指シフト方式(親指2キーで同時シフトする方式)。
配列図や141Fさんの調査を見る限り、
NICOLAより性能が断然上だ。

ただ打鍵動画がなく、実際の創作文の様子が確認できなかったことと、
タイプウェルなどでのスコアも公表されていないため、
「未知数」としてこのランクとした。

でも確実に楽で速いはず。
僕はこれらに期待してるのだ。


8. その他
まだまだあると思うけど、配列名は分かってても、
実際の打鍵動画がなかったりして、
「ほんとに早いのか」が見えづらいものは割愛した。
かわせみ配列、Phoenixカナ配列などは結果を出していると思う。



「親指シフト(NICOLA配列)は楽で速い」
と主張するのは自由だ。

しかし親指シフトしか知らず、
上の配列を知らないなら、
井の中の蛙と批判されてもしょうがない。

「私にとっては楽で速い」と主張するに留めるべきで、
それ以上に優位点を主張したければ、
上の配列群と比較した上での議論を望みたい。


あるいは、薙刀式動画なみに、
「自由文をひたすら10分以上書く」
という実戦での優位点を見せて欲しい。

(手元と画面を両方カメラで捉えることは難しいが、
タブレットがあれば、
机の上に水平置き、画面下に文字を大きく表示して、
手元と同時に撮影することは可能だ。
コロナ自粛期間中にアップされた薙刀式動画たちは、
そのようにスマホ一台で撮影された)



配列はひとつの道具だ。

ある一人にとって最強ということもあるし、
沢山の人を少しだけ強くすることもあるし、
ある人を強化するが、別の人はさっぱり、
ということもある。

総合的に見てどうなのかを議論するべきで、
ある一点突破だけをみて「○○配列最強」を競っても意味がない。
(RTCでqwertyが優勝したとしても、
万人にとってqwertyが心地いい配列だとは言えない)

アレのあれはああだが、
コレのこれはこうだぞ、
などと議論が深まることで、
僕は、その道具の描像を詳しくしていきたいと考えている。


(とりあえず飛鳥、蜂蜜小梅、TRON、月、新JIS、新下駄などの、
実戦の自由文の動画に飢えている)
posted by おおおかとしひこ at 11:05| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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