理解を超えることが来たときに、
今の日常を維持することで平静を保つ心理。
恒常性バイアスとも。
例1: 大地震が来ても「俺は大丈夫」と逃げず、津波に巻き込まれる。
(東日本大震災でそのような人が結構いたことが解析されている)
例2: 「俺はqwertyで十分だから」という人。
正常化バイアスの心理の裏にいるのは、
「この日常から離れるのが怖い」
ではないだろうか。
阪神大震災のとき、
略奪などせずコンビニに並んだ人々を、
世界は秩序と称賛したけれど、
実は「店に並ぶ日常を続けることで、
この震災の恐怖を認めたくない」
という心理が働いていたと思うのだ。
配列を変える話をすると、
必ず抵抗がある。
「今のqwertyで十分だし」
「そこまで日本語入力するわけでもないし」
「自分のPCではいいけど、共用や出先が」
「一人だけ違うのはいや」
などが代表的だろうか。
これらは「やりたくない」意思表示であるが、
実のところ正常化バイアスがかかった結果である可能性がある。
人は心理を隠すために理屈で武装するので、
「qwertyにもそれなりに合理性がある
(普及している、それなりに速いから、チャンピオンはqwerty、誰にも相談できない)」
などと言い訳をすることがある。
しかしこれは実のところ、
「日常から離れるのが怖い」を、覆い隠す理論武装に過ぎない。
配列の合理性を考えるとき、
いくら薙刀式やその他の合理性をもって説得しても、
正常化バイアスに遮られ、
彼らはqwertyから離れることはないだろう。
本質は、説得という論理ではなく、
恐怖という感情だからだ。
これが、デファクトスタンダードの原因だと思う。
一度獲得した平和な日常を、人は感情的に手放さない。
その日常が、ほんとうは地獄だと知ってもね。
だから、
本当に新配列が普及するには、
感情に訴えるのがいいと僕は思っている。
「うおおおすげえはええええ!」というのが本道だろうが、
今のところトップタイパー争いに新配列は絡んでいない。
タイパーは才能と努力の結果であり、配列の良し悪しではないのだろう。
(月、新下駄、いろは坂がどこまで戦えるかは興味があるが)
「憧れの人が使っている」もあるかも。
マツコがErgo42を使ったり、
薙刀式を使っただけで、感情的に正常化バイアスは崩れるだろう。
そもそも、ブラインドタッチが何故普及しないのか?
これも、「サイトメソッドという日常から離れるのが怖い」
が働いていると思う。
そこそこ苦労することは予測できるし、
目を瞑った、それこそ暗闇に人は感情的に恐怖する。
やったことのないそれを想像することは難しい。
だから、
「そこまで日本語入力しないし」
「今ある見ながらで大体いけるし」
「わりとこれでも速い方だし」
「そんなに速くなりたいわけじゃないし」
と、
理屈をつけて恐怖から逃げようとするわけだ。
これによって、
デファクトスタンダード、qwertyサイトメソッドから、
現状は全く動かないわけだ。
配列作者が憧れられれば、これは動くのだろうか?
日本人は同調圧力に弱く、横並びで安心するから、
「クラス全部を薙刀式にする」とかなら安心するか?
配列を普及するには、
誰かが「ちょっとやってみようかな」と思うには、
よほどの感情が動かないかぎり、
正常化バイアスの壁を越えることはできない。
TVCMが大量に金をかけたって、
僕らが一向にそれを買わないことと同じだ。
買うときは、理屈ではなく、
よほど感情が動いた時だけだ。
(すっごい好きだから買ってみたい、など)
今新配列に手を出す人は、
感情的モチベーションがある人だけだ。
つまりは「もうちょっとマシな入力法はないのか」
だと思う。
速くなりたい、疲れにくくなりたい、
の二大欲求あたりで、感情的な動機で触るはずだ。
(そこから「もっといい方法はないのか」と配列沼にハマる人もいるだろう)
つまり、アンチqwertyが感情的動機だろう。
それ以外の感情で、
新配列の、しかもブラインドタッチの、
孤独な練習を二週間くらい続けることは、
どうすれば出来るのかは、まだわかっていない。
作者が有名人になればいいのかな。
自キの人たちを見てると、VTuberで頑張っていたり、
理屈ではない感情の部分でやっていることがわかる。
正常化バイアスを越えることは、
なかなかに難しい。
新配列マスターまでのドキュメントを、
誰かがYouTubeでやれば人気になるだろうかね。
(薙刀式やってみたい人、ドキュメンタリーやりませんか。
俺が撮影編集しますよ。一応プロなので)
感動のドキュメントになれば、
感情は動くだろうからね。
理屈による理論武装を、
ディベートゲーム的に崩しても、
試合には勝てるが勝負には負ける。
正常化バイアスという感情を、
感情的に揺さぶらないと、
デファクトスタンダードはびくともしないと思う。
2020年07月25日
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