2020年07月31日

問題の連鎖

ストーリーとは問題の解決である。
それはひとつの場合(短編)から、
複数まで(長編)まで、いろんなパターンがある。
ひとつの場合を除いて、大概それらは連鎖していることが多い。


ひとつの問題を解決するのならば、
ストーリーを書くことは非常に簡単だ。

たとえばCMならば、
「梅雨時の洗濯もの困っちゃう!」が問題で、
「これを買えば解決!」が解決だ。

これは非常につまらないパターンなので、
他にも複雑な問題をつけることで面白くすることが多い。

たとえば、「恋の悩みはニオイから」などにして、
これを買うことで、梅雨時のニオイも、恋も解決!
などのようにして、複合的な問題にして、
複合的に解決することが多い。

つまり、単純な問題と、単純な解決はとても面白くない。

単なるクイズレベルでしかなく、
それはわざわざ見て鑑賞するに値しないわけだ。


長編物語においては、
だから、問題と解決が複合的に起こる。
複数の問題があり、複数の解決が連鎖する。
しかし解決はひとつひとつ行われない。
いっぺんに解決するのが、気持ちのよいものだ。

つまり、ぷよぷよのように、連鎖が一気に解決するのが、
最高のプロットてある。


例えばこういう感じだ。

1の問題を抱えた主人公は、
2の問題にまきこまれる。
それは一見解決できるかと思いきや、
実はより大きな3の問題であったことがわかる。
これを解決することは難しいが、
それをしなければならない。

その糸口を探しているうちに、
4という問題を解決すれば、
3が解決しそうだということがわかる。
4を解決してみたが、
同時に5という問題が起こり、
6という問題が起こった。
5を解決するには7を解決すればよいということがわかる。
しかし7は8を生む。
8は結局、1を解決すれば済むことがわかる。
1を解決するには、結局9を解決すればよいことがわかる。
そこで、
9を解決するために、
10と11を解決する。
で、9、1、8、7、6、5、3と、
すべての問題が解決し、
めでたしめでたし。


というような感じだ。
とりあえず適当に書いてみたが、
おおむねこれはよくあるパターンだろう。

1はたいがい主人公の内的問題だ。
2はインサイトインシデントと呼ばれる、小さな事件である。
3がセンタークエスチョンだ。
9が、第二ターニングポイントで再定義されるセンタークエスチョンである。

もちろん、この数は正しくないし、
この順で出てくるわけでもないが、
まあだいたいこんな感じの問題と解決の連鎖が、
よくあるパターンだろう。

このように、いろんな問題と解決を、
どううまく組み合わせるか、
ということが長編を書くことである。

これをやりながらキャラクターの魅力を書いたり、
絵的にイコンになる場面をつくっていかないとならない。
で、それはなるべく執筆時にやればよくて、
これらの問題と解決の連鎖をどう組むか、
という部分を、プロットで綿密に考えておくべきなのだ。

プロット段階で、
もちろんキャラクターや絵になる部分なども大事だが、
それはガワであり、中身ではない。
問題と解決の連鎖をどう具体的に組むと、
話が面白くなるかを、
プロットではよくよく考えておくべきなのである。


これはリライトのときも同じで、
問題と解決の連鎖の骨組みを、
どう出来上がったものから抽出して、
プロットにまで還元できるか、
そしてそれをどう直したら面白くなるか、
ということを煮詰めることが、
リライトのもっとも大事な部分だといえる。

キャラクターの設定や絵になる部分や、セリフの一部や、
誤字脱字を直すことは、重要ではあるが、
些末な部分であり、本質的ではない。


その骨の部分まで、
あるものからストーリーを還元できるか、
そしてそれだけで面白いか面白くないか判断できるか、
ということが本質的に、
ストーリーの面白さを左右する。

こうしたことは、経験を積まないとわからないので、
なんどもそれらを往復するしかない。
posted by おおおかとしひこ at 00:23| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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