伏線を引くときは、どこが妥当か。
印象に残すべき箇所だと思う。
目立たないものを伏線にしても記憶に残らないので、
「ああ、あれか」と思われるためには、
記憶に残るような伏線が重要だ。
しかし、記憶に残ってしまっては、
伏線とバレバレになってしまい、
驚きの伏線と回収だということにはならない。
だから、僕は、
「まず印象的なエピソードを描き、
それをまったく別の文脈として、あとで使う」
ようなことを勧めている。
で、それはどこに配置するとよいか、
というのが本題だ。
印象を強烈につけられるのはどこか。
冒頭だ。
あとは? 第一印象の部分だ。
だから登場人物の初登場シーンはその候補である。
ある場所にいったときもそうだろう。
その場所に関する伏線を敷くならばここだ。
あるいは、ある意味的ブロックの、冒頭部もそうだ、
ということだ。
一幕、二幕、三幕は大きなブロックだ。
それぞれはいくつかのシークエンスやブロックに分かれるだろう。
(いくつあるべきかはシナリオによるので、
定型的な答えはない。
1だと少ないし、100だと多い、ということしか言えない。
だいたい、指で数えられるくらい、ということが標準だと思うが)
それぞれの新しいブロックに入ったときは、
観客は緊張している。
登場人物も緊張している。
新しいブロックとはターニングポイントの直後で、
まだこれからの方向性が見えず、
ストーリーの矢の立ち上がりが出来ていないときである。
これから矢が出来て、どんどん加速していく、
その助走部分である。
だから、観客の注意力は散漫だし、
しかも濃い。
どこに注目していいかわからないから、
慎重に情報収集してるわりには、
それが妥当かどうかわからずに散漫になっている。
その隙をつくように、
印象的なエピソードをぶっこむとよい。
それに注目していればよい、
という矢の最初で、記憶に残りやすいからである。
あとはそれが伏線だと気づかれないように、
それを直後に使っていって、展開をつくればよい。
そして使うべきところまで忘れさせておいて、
「あの時のあれ」を、
まったくその時とは別の使い方をすればよい。
印象に残っている、
注意力がマックスになっているときの、
ブロックの第一印象になるものが、
「ああ、あれか!」となるだろう。
効果的に伏線を使うためには、
そうした空白地帯にうまく置くことで、
観客の注意を引くことである。
マジックと同じだ。
視線は、誘導されていることに気づかれてはならないぞ。
2020年08月07日
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