2020年08月07日

伏線は新章の頭で

伏線を引くときは、どこが妥当か。
印象に残すべき箇所だと思う。
目立たないものを伏線にしても記憶に残らないので、
「ああ、あれか」と思われるためには、
記憶に残るような伏線が重要だ。


しかし、記憶に残ってしまっては、
伏線とバレバレになってしまい、
驚きの伏線と回収だということにはならない。
だから、僕は、
「まず印象的なエピソードを描き、
それをまったく別の文脈として、あとで使う」
ようなことを勧めている。

で、それはどこに配置するとよいか、
というのが本題だ。

印象を強烈につけられるのはどこか。
冒頭だ。
あとは? 第一印象の部分だ。
だから登場人物の初登場シーンはその候補である。
ある場所にいったときもそうだろう。
その場所に関する伏線を敷くならばここだ。

あるいは、ある意味的ブロックの、冒頭部もそうだ、
ということだ。
一幕、二幕、三幕は大きなブロックだ。
それぞれはいくつかのシークエンスやブロックに分かれるだろう。
(いくつあるべきかはシナリオによるので、
定型的な答えはない。
1だと少ないし、100だと多い、ということしか言えない。
だいたい、指で数えられるくらい、ということが標準だと思うが)

それぞれの新しいブロックに入ったときは、
観客は緊張している。
登場人物も緊張している。
新しいブロックとはターニングポイントの直後で、
まだこれからの方向性が見えず、
ストーリーの矢の立ち上がりが出来ていないときである。
これから矢が出来て、どんどん加速していく、
その助走部分である。
だから、観客の注意力は散漫だし、
しかも濃い。
どこに注目していいかわからないから、
慎重に情報収集してるわりには、
それが妥当かどうかわからずに散漫になっている。

その隙をつくように、
印象的なエピソードをぶっこむとよい。
それに注目していればよい、
という矢の最初で、記憶に残りやすいからである。

あとはそれが伏線だと気づかれないように、
それを直後に使っていって、展開をつくればよい。
そして使うべきところまで忘れさせておいて、
「あの時のあれ」を、
まったくその時とは別の使い方をすればよい。
印象に残っている、
注意力がマックスになっているときの、
ブロックの第一印象になるものが、
「ああ、あれか!」となるだろう。

効果的に伏線を使うためには、
そうした空白地帯にうまく置くことで、
観客の注意を引くことである。

マジックと同じだ。
視線は、誘導されていることに気づかれてはならないぞ。

posted by おおおかとしひこ at 00:02| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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