毎年この日は一気見をする日に勝手に決めている。
色んなタイミングが噛み合って出来てるなあ、
ということがなんとなくわかってくる。
よくよく考えると、
最初に敷かれたビジネスの予定、
ドラマ→DVD→舞台→DVDの本線、
各種イベント、ラジオ、OPEDキャラソンサントラ、アクセサリー販売、
雑誌露出、制作日誌、メイキング班、写真集(中止)などのサブ線が、
なかなか分厚かったんだなあなどと思う。
それ以降のRh+では、やらなかったビジネスもあったと思う。
4作品4クールの1本目として、
風魔は色んなビジネスの集まりだったのだなあ、
とやっと俯瞰できる。
なにせ僕は目の前の漫画(とアニメ)から、
ドラマという別物だけど同じものを作り上げるのに必死で、
あんまり周りが見えていなかったかも知れない。
その回転が想定よりもぐるぐる回って、
怪作にはなって、
いまだに興味深いものとして記録されているが、
なんかビジネスが始まる前に想像されてたものと、
だいぶ違ったドラマを作ったんだろうなあ、
なんてことは、ようやく見えてきた。
同時期の、
ねぎまやキューティーハニーと、同規模ビジネスだった。
僕はどちらも視聴者としてはつまらんと思っていて、
風魔くらい面白く作れよなんて思っていたが、
そもそものビジネス枠では、そんなに面白くは作れないはずだ。
僕が暴れて、市野さんがフォローして、
その他プロデューサーたちがうまく立ち回って、
スタッフが心意気に答えてくれて、
キャストたちが乗ってきて、
編集もうまく行き始めて、
あの場で火花がうまく回転してたんだなあ、
などということが俯瞰できてきた。
たぶん、もっと、
キャストありき原作ありきの、
しょうもないものでチャンチャンのビジネスだったのかもなあ。
ねぎまやキューティーハニーの予算の数分の1
(彼らは深夜とはいえVHF局)だしね。
俺一人無茶しやがって、となってたのかも。
勿論、おもしれえじゃねえか、とみんなが乗ってきたのが、
回を追うごとにわかると思うけれど。
5、7、10、11話は最高の出来の一本だと未だに思うけど、
今回は12、13話の、
30分テレビドラマの枠組みを軽く超える、
怒涛の情熱になんだか熱病のような夢を見た。
たぶん、最初に想定されたビジネスから、
ずいぶんはみ出たものをみんなで作ったような気がしている。
もちろん、1話2話でぶっ飛んで最初の勢いを稼げたことや、
それに3話4話でふつうのドラマになるようにうまく接続した市野さんの腕など、
危なっかしい出だしがロケットスタートになっていたことは、
今ならよくわかる。
よくまああんなことできたよな。(主に金とスケジュール)
今の若い監督で、
あんなに無茶が許される現場は早々ない。
もっとあの規模のが増えればいいのに。
(どんどん「読める」範囲のものしか作らせてもらえない)
日本は出る杭を潰す仕組みになっていて、
でもこんなにヘンテコな飛び出し方の杭は、
潰されずに最終回まで走りきったんだなあ、
ということが見えた一気上映でした。
プロデューサーたちも若かった。
突っ張った第一シリーズ風魔を、
徐々にビジネス的軌道に乗せる、
第二シリーズから第四シリーズは、
ずいぶん苦労したろうなあ…
Rh+、TGT、ここグリは、実はほとんど見ていない。
当時引っ越して、MXもtvkも入らなくなってしまったので。
でも風魔みたいな怪作(珍作?)だったという話はあまり聞かないので、
やっぱり風魔が異常な出方の杭だったのかもね。
もし今風魔が実写化されるんですよ、
ということを初めて聞いたら、やめときなはれと言うと思う。
あんなに人間ドラマを入れて成立させることは、
それがなければ全く想像できないものだろう。
原作とアニメしかないときに、
部活対決が毎回あるとか、
壬生がかき回す狂言回しになるとか、
小次郎と姫子が遊園地でデートとか、
竜魔に蘭子が告白とか聞かされたら、
絶対クソみてえな改悪だと思うもの。
それを覆すだけの面白さを作れたのは、
想定外の勢いだったんだろうなあ、
と今では思える。
放映前の眉唾の2chの反応が、
回を追うごとに好意的になっていったのが、
とても記憶に残っている。
ドラマ板と特撮板は保存してあるけど、
実況板は保存してないんだよね。
オンエア時は実況板見ながら反応をずっと見てて、
正直な観客を観察していた。
今ならTwitterに分散しちゃうだろうが、
当時は実況といえば2ちゃんしかなかったから、
辛辣も絶賛もあって、大変勉強になったことを覚えている。
回を追うごとの加熱ぶりは、とても面白かったなあ。
今、日本の映像業界はやばい。
風魔はB級予算(笑)と当時言われたけど、
今の深夜ドラマはもうその1/3くらいと言われている。
税金やインフレで上がってるのにだ。
一番時間単価の高いCMは、当時の1/3から1/10くらいに予算が落ちている。
さらにコロナで壊滅的になっているのはたしかで、
どうにかしないとみんないなくなりそうだ。
(横の情報網が全然回らなくてやばい)
そんな中で、あの熱狂は、
あの時だけの空回りだったのかもねえ、
なんてふと思う。
母体となるテレビの弱体化は、
すべての映像産業の弱体化につながる。
それに代わるネトフリなども、
日本オリジナルで気を吐いたのは、
火花と全裸監督だけだ。
風魔くらいの規模のがぐるぐる回転して、
風魔の数倍くらいの規模のがもっとぐるぐる回転して、
風魔の10倍くらいのが毎日やってるくらいじゃないと、
映像業界は衰退する。
風魔をやってた頃はひいひいだったけど、
今はもっと厳しいんだなあと、
ちょっと悲観的になってしまった。
うまく回るビジネスモデルが今はない。
キャスト人気だけで回すだけでやっとで、
シナリオの出来とか関係なくなっている。
怪作珍作がどんどん生まれて、
次の新陳代謝になっていないのは、
なんとなく感じられているところだろう。
そんな時代でも、僕は新しく面白いものを作りたいし、
勝手にやっていくだろうけれど、
あのチーム編成は面白かったなあ、
と今思えるようになってきた。
プロダクションGEは某映画で赤字を出して解散して、
散り散りになった人たちの行方は不明だ。
風魔はでたらめなパワーで押し切り、
しかも美しく作られた、希有な作品である。
またどっかででたらめパワーを放出したいけど、
その場はどこにあるんだろうか。
毎年この日は徹夜で一気見をする日だ。
これまでは過去からパワーを貰うために見ていた気がするが、
今年はちょっと違って、
「これを超える作品をどうやって作ろう」
という見方で見ていた。
自分一人ならなんとかなるかもだが、
どうやってチームとして、ビジネスとして巻き込むかを、
考えなければいけなくなった。
実況は流れが速いので、勝手に過去ログはないものだと思ってました。
tvkの2007年10月あたりか…ちょっと探してみます。