物語とはある時点からある時点までの、
沢山の登場人物の行動とその結果の、
すべての顛末のことだ。
これを歴史だととらえて、正史だとしよう。
これを理解するには、
歴史SFでいうところの、ifを考えるとよい。
つまり、
「もしあの時あれが間に合わなかったら?」
「もしあの時あいつがあっちに行っていたら?」
「もしあの時あいつがああ思わなかったら?」
などを、
色んな重要場面で検証してみるわけだ。
以前、すべてプレイヤーは最善手を打っているはず、
という前提だったが、
偶然の要素も歴史にはある。
「もしそれを知り得なかったら」
「もしそれを知っていたら」
だけでも、
正史は随分違うものになるかもしれない。
逆に、よく出来た脚本とは、
それらのifの枝刈りを全て済ませた、
もっとも面白いバージョンである、
と定義されるかも知れない。
何度転生してもうまくいかない、
みたいに、
何度この時点からはじめても、
正史以上に良い結論にはならないものが、
最終稿であるべきだとぼくは思う。
そしてその感覚は、
自分で身につけるしかないので、
最初は、ある名作の、
ifを考えてみるのは訓練になる。
桃太郎が川でばあさんに発見されなかったら、
なんてのはよくやる遊びだろう。
腐って死んだ、以外の、
鬼を倒すルートはあり得るか?
それを、大元よりも面白く出来たら、
新釈版の桃太郎になるかもしれないね。
とくに、
色んな可能性を持ちながら、
他との影響で十分に力を発揮できなかった、
不遇の設定だおれなんかは、
ifものの格好の材料である。
大和が活躍する第二次大戦だとどうなったとか、
原爆が落とされないifとか、
考えるだけでも戦争マニアは楽しいのだろう。
そんな要領で、
既成作品のifを考えることは、
シナリオを考える訓練に最適だ。
もちろん、自作品でそれがやれたら、
リライトのときにとても役に立つ。
自作品だとこだわりが強すぎて、
うまくifを考えられないだろうから、
最初は他人の作品で考えるほうがやりやすい。
2020年08月13日
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