2020年08月20日

核心に近づけ

ストーリーが進行しているかどうか分りにくくなったら、
これをチェックしてみるといいかもしれない。

それは、核心に近づいているのか?


核心とはなんだろう。

謎解きの場合、
犯人捜しならばついにそれが分るとか、
謎解きの最後の鍵が明らかになるとか。

敵を倒す話ならば、
この要塞を破壊すれば敵は決定的に負けになるとか。

ラブストーリーならば、
ついにあの子の本心が分るとかだ。


それは、
メインの問題、センタークエスチョンと関係している。

それが解決しそうになる予感、
ついに周りではなく、中心に近づいてきた、
という感覚が、核心ということだろう。

いきなり核心をついてもいいし、
徐々に核心に近づいてもよい。
とにかく、
「核心に近づいてきたぞ」
となると、ストーリーはすすんでいる感覚になる。

もちろん、
センタークエスチョンが明確で、
それが解決することを期待していて、
感情移入が出来ていることが前提だ。
それが出来ていない場合、
「核心が近づいてきたぞ」という感覚は、
面白いともなんとも思わないかもしれない。
「ああ、一応終わりそうだ」というだけの感覚かもね。


で、核心に近づいたからといって、
ストーリーはすぐ終わるわけではない。
核心だと思ったら、まだ核があったとか、
玉ねぎの皮をむくように、
核心の中に核心をつくることは出来るのだ。

それを引き延ばしともいうが、
上手な引き延ばしは、
核心の中にまだ核心がある、
と思わせるようにつくるべきで、
核心に近づいたと思ったら遠ざかったので、
また核心に近づかないといけない、
ということではない。

繰り返しを予感させるものは退屈で、
より核心へ近づいているのだ、
とつねに思わせるものが、興味を持続する。
(遠ざかったと思いきや、こっちのほうが核心に近かったのだ、
なんてことはよくあるよね)


核心に近づくことで、
観客はより前のめりになる。
そのようなものである限り、
集中は続き、興味や感情移入はキープされるだろう。

そうでないものは、
「なかなか進まないな」と思われて、
集中力が続かなくなってくるだろうね。

ターニングポイントとは、
つまりは核心に近づいていることがあきらかになる、
というポイントのことかもしれない。
そうしたことで、
焦点を変えることが出来ると思う。


いよいよ核心だぞ。
この感覚こそが、
ストーリーの行方を、注意深く見守る集中力の、原動力になる。
posted by おおおかとしひこ at 00:59| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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