わりとないがしろにされるので。
最終的にはここになるんだよね。
なんだかんだいって、
ストーリーとは主人公の気持ちの変遷の記録だ。
事件やその解決や、
他の登場人物のサブストーリーや、
伏線や解消や、
あっと驚く仕掛けを隠しておくとか、
色んなことで具体化されるものなのだが、
結局、
「どういう気持ちからはじまり、
どういう気持ちへ変転し、
どういう気持ちで『end』を見るのか」
に集約される。
そして観客は、
「主人公の気持ちの流れ」に同調して最後まで見る。
主人公が笑えば笑い、
主人公が悲しめば悲しみ、
主人公が怒れば怒り、
主人公が成長すればその感覚を味わい、
主人公が死にそうになればアドレナリンが出て、
主人公が満足した結果で終われば、
その旅の意義を総括して満足する。
(感情移入がうまく行ってれば)
だから、バッドエンドは不満足だし、
主人公よりも他が目立つ話はダメなのだ。
主人公の旅が、
観客の気持ちをコントロールするのである。
主人公の気持ちの上下を、
観客は同調して、一体化して楽しむジェットコースターが、
物語である。
(なぜそうなるかというと、
興味の持てる事件があり、
感情移入している主人公がいて、
最終的にどうなるか気になるからだ)
リライトはだから、
そこに一筋の傷もないように、
滑らかにつくるべきだ。
第一稿には、気持ちが飛んでしまっているところもある。
なんでこうなるのかわからないところもある。
作者の思い込みが強く、観客がその意図を汲めないところもある。
あるいは無理のあるところもある。
また作者の力量不足で、気持ちが繋がらず、
あとで繋げたいが今回はできなかった、という部分もある。
第n稿では、
色んなものの辻褄を合わせようとして、
主人公の気持ちが脇に置かれることがよくある。
あるいは、
主人公の気持ちは既にわかっているから新鮮ではなく、
新鮮なほうのリライトに注力した結果、
主人公の気持ちがぶつ切れになることもよくある。
流れよう。
主人公の気持ちが滑らかに、
そして上下するように、
リライトしよう。
主人公の気持ちが滑らかに上下するように、
設定や場面すら変更するのがリライトだ、
と言っても過言ではない。
逆にいうと、
「ここでこういう気持ちになると面白い/良いぞ」
を、あなたは計画するべきで、
そしてその通りになるように苦労するべきなのだ。
1ミリでも気持ちが離れたら、
退屈という魔が襲ってくる。
気持ちさえ離れなければ、
緩急は緩急として楽しめる。
滑らかに繋ぎ、そしてなるべく上下に振れるように。
そのジェットコースターを楽しむのは、
主人公からストーリーを見ている時だ。
120分の話なら、120分それが続くのが理想だ。
「この場面で俺はこういう気持ちになりたい」
と、作者は最も厳しい観客でなければならない。
そのように主人公を追い込み、行動させ、
七色の気持ちに上下させよう。
経験したことのない、新しい気持ちでもいい。
経験したことのある、よくある気持ちでもいい。
経験としては知っているが、ここまで強いとは思わなかったという、
原始的で強い気持ちでもいい。
それらはうまく組み合わされ、
あるいは同時進行し、
あるいは一点に強く集約されることもある。
そのようなコントロールを効かせるために、
リライトをするのだ。
そしてその120分は、無駄ではなかったのだと思わせる、
何かしらのテーマを残して、
ああ、この気持ちのジェットコースターは○○○として記憶される、
という風に満足させなさい。
2020年08月30日
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