2020年08月27日

ストーリーの立ち上がる瞬間

たまに後輩としょうもない画像を交換して遊んでいるのだが、
ときどき面白いストーリーに発展することがある。
先日発生したやり取りが興味深かったので、採録してみる。


〇俺
●後輩

最初は、後輩から来たしょうもない画像のやり取りからだった。


●本日のゴンドラはこちら
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https://mobile.twitter.com/omochi_writer/status/1294564939097493504?s=10
●屋根がいい味出してますねこれ
〇屋根が結構何重構造にもなってるし、柱を避けて屋根型になってるし、
 雨がちゃんと下に流れていく構造だし、レベル高えぞこの屋根
●そうか、これは雨でも運行するのか。。
●鮭とばを、山の上から運ぶのか、下から上に運ぶのか、そしてその理由など諸々が気になる

●空飛ぶ「サケとば」 クマ牧場の餌用600匹分
https://www.asahi.com/sp/articles/ASHD25VSVHD2IIPE01L.html
●よくよく探したら「くま牧場」の餌用とのこと!
〇 空飛ぶ鮭トバ! 「トバ号」今年も運行開始! のぼりべつクマ牧場公式サイト
https://bearpark.jp/info/3853/
〇検索勝負か
●こりゃあ熊いい生活してんな〜


ここまではへんてこな「屋根付き鮭とばゴンドラ」
の画像で遊んでいただけだ。
しかしニュースの中の新潟スキー場の「天空米」にヒントを得て、
の項が気になって検索してみたのが、
いよいよのはじまり。


〇新潟スキー場の「天空米」もやべえ
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〇スキーリフトで「天空米」天日干し
https://www.google.co.jp/amp/s/www.sankei.com/life/amp/161015/lif1610150032-a.html

●うわ
●「悪い子はあの中に入れられて山の上に連れていかれる」と
 地元の実家では子供たちにそう言われてそう
〇俺が子供ならこれを追って頂上までいって、
 正体を確かめる
〇そういう子供のショートフィルムいいかもな
●なんかそんな感じの、鉄塔を追いかけていく映画ありませんでしたっけ
〇鉄塔武蔵野線
●あ、これ大岡さんに教えてもらったのか
〇主演は子供時代の伊藤淳史
●鉄塔好きそ〜〜

●まあでも天空米の方は、そんな大人の脅しがあったなあと
 主人公が地元に帰ってきて天空米を食べるんですが、
 実は本当に子どもが間引かれてリフトに乗せられているという
 村全体の闇に直面する現代村社会型サイコ農村スリラーですけどね
●農村スリラーって語呂いいな。。。
〇じいちゃんもゴンドラに乗せられて帰ってこない
●じっちゃー!
●ゴンドラに乗せられるという言い回しがもうよくわからない
 怖さを纏っていて良いです。
〇(それを知らない子供に)天空米はおいしいかい? うん! おいしい! がラスト
●まるでCМの様な笑顔の子供
●終盤のクライマックスは当然主人公がついにゴンドラに潜入して
 村人たちとチェイスしながら山の上を目指すわけですよね
●ゴウンゴウンゴウンゴウン
〇ゴンドラを追って山の頂上に来たら、もっと高い山に二番目のゴンドラがある
●最高

●鉄砲撃ちの山さんという村人が厄介
●村食堂の清美さんというおばちゃんも、
 やたらと体力がある(子供を食べてますから)
〇あの谷にはな、季節外れの彼岸花が咲くのじゃ

●雪かと思ったら、お米
●ゴンドラに乗せられた子供たちが暴れるとな、
 米が落ちるじゃろ。それが丁度雪に見えるんじゃ
〇オープニングはスキー客が道を間違えて乗ってしまうところから?
●あ〜大学生の一団の女の子が乗っちゃうんだろうな
〇降りたらキスしようとして、首がないやつやな?
●コナンじゃないですか
●A子「ひどい吹雪」
 B子「きゃっ!いたい」
 C子「まって、これ雪じゃないわ」
 B子「何これ、お米?」
 C子「痛い痛い! 何なのよ!」
 A子「ひとまずあのリフトに乗りましょう!」
〇ホームレス「今年も米が降って来た……豊作じゃあ豊作じゃあ」
●D子「待って! 、、おいしい」
〇生米食うな
●バリバリ
〇味噌ある?
●D子「こんなこともあろうかと、、あるあるー!」
●味噌あっても生米食わないです笑
〇私はキムチ派。パカっと開けると、人の内臓が……!

●農村スリラーなんで、ホラー描きつつも
 日本の村社会の闇を彷彿とさせるぬるりとした荒涼感がないとダメですね。
●こんなんじゃベネチア国際映画祭で壇上に上がれません
●デンデラ目指しますよデンデラ
●ゴンドラ
〇それがいいたいだけやないか!

〇毎年どこの家の子供がゴンドラに乗せられるか決まってて、
 ついにウチにと決められた親が発狂して掟を破るところがオープニング。
●白羽の矢が刺さったわけか。
●この村としては何百年も続いてきたしきたりですからね。
 村に住む大人たちは、子供を殺しつつ、子供も愛でもするわけで、
 その両立がなされているところが狂ってて怖いわけです。キリッ

〇で、村人にバレて捕まる。子供にタコ糸を持たせて、
 生きてる限り引っ張るように言ってたけど、ゴンドラについた頃それが止まる。
 スルスルと引っ張ってもその先はない。そこで村人に殺される。
〇主人公の子供が山に登るとき、そのタコ糸の破片を発見するわけだ
●あーータコ糸はアツイですね

●いつしか、山の生贄のために、ある時から突然ゴンドラが使われ始めるんですよ。
 村の歴史書にも、ゴンドラの詳細は何一つ記されていない。
 村人たちも、当然のようにしきたりにはある時から当然のようにゴンドラを使う。
●村の中の間引きとしては全国に見られるけれども、
 この村においてゴンドラだけが異質なんですよね。
 それに気が付く民俗学の教授をしている主人公
●というのもあります
〇ああ、ゴンドラ使う前の木の装置みたいな旧道を主人公が発見する流れ
●儀式や掟、村のルールだけが一人歩きして、
 誰もその由来を知らない。というのが一番の恐怖なのだという、
 現代の日本を風刺した作品になりますねこりゃ

〇ゴンドラの管理人は村長か
●そこに怪異を登場させたいところですけどね。
●村とは切り離した別の悪いものを出したい
〇じゃあラストに、村長が見えないものに取り憑かれて、
 ゴンドラを逆行させて、惨殺された子供たちが降りてきて、
 みんなの前に晒される展開

●あ、思いついた。最初山送りにされた子供が、
 自分もちゃんと殺されたと見せかけるために
 次から送られてくる子供を殺し続けていた的なのは。。
〇逃げたらええやんけ
●山の上ですから子供の力だと逃げられないんですよ。
 子供はまだ小さいから世界を知らないので、下の村か、
 山の上だけが生きる場所なんですね。
●いや〜映画って本当にいいものですね
〇じゃあその子供は、記憶の彼方にいた「昔遊んでくれたお兄ちゃん」やな
●ないちゃう

●それが単純に子供の死体がキャパオーバーして
 雪崩になって村を崩壊させるB級のラストも。
〇雪に埋まったはずのゴンドラの音が、
 今でも聞こえるんですよ。ゴウン、ゴウン……ってね……
●ゴンドラの音はよいですよ。。ラストでも冒頭でも大活躍ですよね

●ではこの辺でスーパー行ってきます
〇おつかれさまでした
●ありがとうございました


へんてこなビジュアルから、
ホラーなのか民族の暗い話なのか、アクションなのかわからない、
いくつかのバージョンのストーリーが立ち上がっている瞬間の、
貴重な記録だと思う。
まるで組み手のような流れる展開だったので、
無断で記録しておいた。笑

日本の暗い農村を描く、
というテーマに近いものがあるので、
ストーリーはわりと収束しやすいと考えられる。

何人かの登場人物が出てきているので、
あとはまとめれば、
いかようにも創作が可能になる、
培養液のようなものが出来たと思う。


ここからストーリーにまとめるには、
誰の視点でこれらを描けばいいか、
つまり主人公は誰か、
ということをやればよい。

民俗学者なのか、子供を生贄にされた親なのか、
単純にゴンドラの先を見に行こうと思った子供なのか。

対抗で、敵を考える。
掟を守っている村人たちのディテールをつくればいいだろう。
その元締めは村長なのか、別の人なのか。

怪異を入れるかどうかは分らない。
この村に取り憑いた怪異のしわざに全体をまとめる手もあるし、
怪異があるという体ではじめて、
本当に怖いのは人間だ、というところに落とす手もある。

プロが二人集まると、
たかが十分とか十五分とか、
こうやってやり取りをしていくうちに、
ストーリーらしきものが生まれていく様が、
よくわかるかと思われる。


ストーリーはどうやって生まれるのか。

それは分らないが、
何か芯になるものがあって(この場合はゴンドラ米)、
その周りを想像しているうちに世界が出来て、
目的が出来て、
オープニングやエンディングや、
テーマが出来ているうちに、
なんとなく出来ていくものだ。

あとは、ストーリーにまとまると思うが、
日本の暗い農村の暗部を、
どう入れ込むかで、
テーマ性やどこまで執着するかが決まるのではないか。
後輩は秋田出身なのでそうしたことに執着があるが、
僕はそうでもないので、
僕が書くとしたらそこに工夫を凝らすことはないかもしれない。


ストーリーはこうやって出来る、
という例でした。

参考にされたい。
posted by おおおかとしひこ at 13:49| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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