クライマックスの果て、
主人公は勝利する。
その絵はどのようなイコンだろう?
逆に、僕は勝利が絵として記憶されないような、
しょうもない話は、
詰まらない話だと思う。
それは、劇的な絵であっても、
そうでなくてもいい。
そこに絵としての象徴があれば、
脚本家より絵の才能がある監督が、
絵的にもっといいのを撮ってくれる。
問題は、
「なにをどう象徴しているか」が、
あるかないかだ。
つまり、
主人公の代表する価値Aが、
敵対者の代表する価値Bを、
どのように打ち負かしたのか、
という絵があるのがベストである。
わかりやすく説明すると、
Aが炎、Bが氷だとして、
炎が氷を破るような絵で、勝利を象徴するわけだ。
こういうのは極論で陳腐だから、
もっと別の、リアルな何かがあるといい。
しかしやることは同じだ。
主人公の代表する価値が、
敵対者の価値より勝ることを、
絵で証明すればよいのだ。
そうすることで、
余計な説明の必要のない間接表現になり、
記憶に残る勝利シーンになるだろう。
これは、クライマックスの勝利シーンでもいいし、
ラストシーンでもよい。
「ロッキー」のラストはエイドリアーンと叫ぶロッキーの、
ストップモーションである。
「何者にもなれなかった男が、何者かになれた瞬間」
を両手を上げてフリーズすることで、
これを永遠のイコンにしているわけだ。
試合終了の絵はあんまり覚えてないよね。
むしろ、勝者アポロを宣言しようとしたレフェリーに対して、
ロッキーコールが起こり、
手に持った紙が落ちる、
という絵が、
「試合には負けたが勝負に勝った」
の意味を象徴しているわけだ。
うまいよね。観客というビッグビジュアルと、紙切れというスモールビジュアルの対比だ。
どちらが価値があるか、見ただけでわかるようになっている。
あなたのストーリーは、
何と何で象徴され、
それがどうなることで、勝利を暗示するのか?
もっとも大事なことかもしれない。
それは、テーマなのだから。
2020年08月23日
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