2020年08月23日

勝利を絵で象徴せよ

クライマックスの果て、
主人公は勝利する。
その絵はどのようなイコンだろう?


逆に、僕は勝利が絵として記憶されないような、
しょうもない話は、
詰まらない話だと思う。

それは、劇的な絵であっても、
そうでなくてもいい。
そこに絵としての象徴があれば、
脚本家より絵の才能がある監督が、
絵的にもっといいのを撮ってくれる。

問題は、
「なにをどう象徴しているか」が、
あるかないかだ。


つまり、
主人公の代表する価値Aが、
敵対者の代表する価値Bを、
どのように打ち負かしたのか、
という絵があるのがベストである。

わかりやすく説明すると、
Aが炎、Bが氷だとして、
炎が氷を破るような絵で、勝利を象徴するわけだ。

こういうのは極論で陳腐だから、
もっと別の、リアルな何かがあるといい。

しかしやることは同じだ。

主人公の代表する価値が、
敵対者の価値より勝ることを、
絵で証明すればよいのだ。

そうすることで、
余計な説明の必要のない間接表現になり、
記憶に残る勝利シーンになるだろう。

これは、クライマックスの勝利シーンでもいいし、
ラストシーンでもよい。

「ロッキー」のラストはエイドリアーンと叫ぶロッキーの、
ストップモーションである。
「何者にもなれなかった男が、何者かになれた瞬間」
を両手を上げてフリーズすることで、
これを永遠のイコンにしているわけだ。

試合終了の絵はあんまり覚えてないよね。
むしろ、勝者アポロを宣言しようとしたレフェリーに対して、
ロッキーコールが起こり、
手に持った紙が落ちる、
という絵が、
「試合には負けたが勝負に勝った」
の意味を象徴しているわけだ。

うまいよね。観客というビッグビジュアルと、紙切れというスモールビジュアルの対比だ。
どちらが価値があるか、見ただけでわかるようになっている。



あなたのストーリーは、
何と何で象徴され、
それがどうなることで、勝利を暗示するのか?

もっとも大事なことかもしれない。
それは、テーマなのだから。
posted by おおおかとしひこ at 19:24| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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