究極の設定倒れ、FSSのモーターヘッドのwikiを全部読んだ。
これは兵器リストなのだと感じた。
めっちゃ長いけど面白いので読んでみるといい。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/モーターヘッド_(ファイブスター物語)
兵器のスペックが設定だとすれば、
その兵器を使って、誰がなにをするか、なぜそれをするか、
その結果どうなったか、その結果にどんな意味があるのか、
がストーリーである。
FSS(ファイブスター物語)は、
設定だけの出落ち漫画である。
もともとはエルガイムの前日譚設定が膨らんだ形だから、
「エルガイムのストーリーは皆さんご存知」という体だった。
しかし時代が下り、エルガイムなんてみんな見てなくて、
(たとえば天照がポセイダルで、コーラスがダバマイロードで、
AKDが十三人衆で、なんてことはみんなもうわかんないよな)
なんだか「終わる様だけを観察する」ための惰性になりかかっている。
そして、
その設定だけは抜群に面白くて、
ストーリーが抜群に詰まらない、
代表的作品である。
ここに足りないのはストーリーだ。
だからこれを見ることで、
どんなことが不足しているのか、
考察するのに格好の材料なのだ。
モーターヘッド(ロボット兵器)は、兵器のリストである。
たとえるならば、
刀のリストであるといってもよい。
刀のスペック、由来、打ち手の設定まではあっても、
「それが実際にどのように使われたか」
「誰がなんのためにそれを使ったのか」
「なぜそれを使い、それをしようとしたのか」
「そこへの感情移入」
「それに対してどのような顛末があったのか」
「相手は抵抗したのか、一戦交えたのか、
相手はそれに対してどのようなリアクションをしたのか」
「相手は複数だったか、だとしたらどのようなリアクションになり、
どのような騒動となったのか」
「誰が目撃したのか」
「どのように世間に騒がれたのか」
「それはどのようにして収まったのか」
「誰がどのように一件落着にしたのか」
「そしてその騒動全体に、どんな意味をつけて終わらせたのか」
「最終的に、その刀が、どんな意味の象徴とされて、後世に伝わるか」
が存在しない。
刀という意味では、
良くできた時代劇ではそれがきちんと出来ている。
それがストーリーというものだ。
永野護は兵器デザイナーであり、
ストーリーデザイナーではないので、
彼を責めてもしょうがないのだが、
FSSは壮大なる設定集でストーリーではない。
ストーリーになるには、
上のようなものがあるべきだ。
単純にいうと、
設定の量が多すぎる。
エルガイムくらいの長さのストーリーを何本か語るには、
この1/10から1/100でいいと思う。
設定を持て余し、
ストーリーを書けばいいのに、
設定を増築することでFSSは伸びてきた。
その増築が現状の膨大な兵器リストだ。
(さらに一回オールリセットをかける暴挙があったが、
だからといって二周目に入っただけだ)
兵器リストはストーリーではない。
その兵器を使って、どんなことがあったのかがストーリーだ。
「LEDミラージュが黒騎士と相打ちになった」
ではストーリーになってなくて、
「グフの剣を潜りガンダムが両腕を斬り、
コクピットが露出した時に、ランバラルとアムロが、
互いに『あの時のあの人だ』と認識する」
がストーリーである。
僕はFSS開始当初から、
その物凄い設定を実現したストーリーを待っているのだが、
いつまでたっても出てこず、
兵器リストが追加され続けているのに毎度失望する。
このようなことをしてやしないか。
つまり、
設定を生かしたストーリーを作っているか。
この設定を使ってないなと思ったら、
ばんばんストーリーに生かしなさい。
ストーリーにいらない設定なら、ばんばん捨てなさい。
それらが120%噛み合ったときに、
設定とストーリーは両輪になる。
FSSは設定だけの片輪で、
だから同じところをぐるぐる回っている。
面白い設定を考えよう。
それを生かした面白いストーリーを考えよう。
あるいは、
面白いストーリーをつくろう。
それが成立するような面白い設定をあとづけで整備しよう。
どちらもやって、うまく融合させて、
はじめて完成したストーリーになる。
2020年08月23日
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