2020年09月04日

【薙刀式】3Dキーキャップは滑らかな曲面で繋がるべきか

キートップの凹みは今回の議論で一回無視する。
たとえばキートップが平面だとして、
キーキャップ同士がつくる曲面は、なめらかに繋がるべきか?
そこで迷っている。


直感的には、滑らかに繋がったほうがなんとなくいい感じがする。
とりまわしもよさそうだし、美しい感じになるだろう。

しかし指とキーの関係を考えれば考えるほど、
「各指に対して最適化した曲面であれば良く、
指をまたぐ曲面同士は独立に考えればよいのでは?」
という考えが出てくる。


指をよく見る。
僕は指紋の真ん中の部分がキーにあたるべきだと考えていたが、
実は一番力が入れられるのは、
指紋の真ん中よりやや外だということがわかってきた。

人間の指は、伸ばした状態から真っすぐにたたまれるのではなく、
やや内側にねじれながらたたまれる。
ロボットのような真っすぐの関節を想像していた僕にはちょっとした発見だった。
おそらく、猿だった時代、
このほうが木の枝を掴むのにちょうど良かったのだろう。

仮に机の平面にたいして指で力をかけるとき、
鉛直に指を接して力をかけるより、
やや指の外側が接するようにしたほうが力をかけやすいのである。

ということで、
今は、指を鉛直真ん中で接するキーキャップというよりは、
やや指の外側で接することがベストになるような傾きやへこみを考えている。

これを考えれば考えるほど、
前から見て段々畑のようなプロファイルのほうがいいのでは、
と思うようになってくる。

横方向のステップスカルプチャという趣だ。
こうすると、どの指も指紋中央やや外が接するように整えることができる。

(通常のキーキャップはそこまで深く考えられておらず、
ただ抉れさせているだけだ。
結果的にいいところが当たっていることで、
気づかなかった問題なのだろう)

ただ段々畑だと、キートップ面同士がつくる曲面がなめらかに接続しない。
縦方向にはなめらかな接続が可能だが、
横方向には段々だ。

これでもいいのではないかと思っていたが、
たとえば「HO」の運指をしようとするときに、
指がひっかかることがあることが分って来た。
JからHへ人差し指が移動するとき、
手首が内側に回転する。
拳は伸びないので、薬指もそれにつれて内側、
つまりLからKの上空近辺に位置する。
HのあとOを打とうとすると、
人差指伸ばしを打つために回転した手首を外に回転する。
つまり、薬指はKOの軌道を取る。

このとき、KOに段差があると引っかかりやすい、
ということがわかってきたのだ。

最適化運指を除いて指をまたぐわけではないからいいか、
と油断していたのだが、
伸ばし位置を打つときに手首の回転があり、
キートップ上空では、指がまたいだような曲線を描いていることが、
引っかかる現象で判明したのである。


こんな細かいこと、
誰も論じていない。
お椀型の3Dキーキャップなら、
そんなことにすら気づかないと思う。
お椀だと曲面は滑らかに繋がっているからね。

今回全体が凸になるようなキーキャップの曲面をつくっているので、
そういったことが起こったわけだ。
予想外というか、考えもしなかったことというか。

そのおかげで、
また指の運動についてひとつ賢くなった。

3Dキーキャップや3DのPCBなど、
3Dで指の運動を考えている人は参考にされたい。

人差指伸ばし、小指伸ばしがあると、
横方向に手首が回転する。
数字段やQPを取ろうとすると、手首自体が浮くことになる。
このことがあるために、
単純に手首固定で指の軌跡だけを考えていればいいわけでないのである。
運指は、もっとダイナミックに行われているようだ。

じゃあ、キートップのアイソレーションを取るように狭くしていくと、
今度は打ちづらくなる。
難しい。


半球状の何かがあり、
指を置く位置がスフェリカルに凹んでいる、
(ゴルフのディンプルボールのように)
というのがもともとのイメージだったけど、
ことはそう単純ではないことが、
すでに10回くらい試作してみてわかってきた。
その間をとりつつも、
いい塩梅の答えがあるのかどうか、探っている状態。
posted by おおおかとしひこ at 14:01| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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