盛り上がるところ、だというのはわかる。
何が盛り上がるんだろう?
利得と危険が釣り合い、
ギャンブルをするところ、
というのが僕の考えだ。
「どうなるか分からないが、
いけそう(でもヤバそう)」なところと言える。
人生は常にこうだとも言えるけど、
そのうちとくに利得の大きそうなところ、
ストーリー全体で相対的に、
大きそうなところを、
山場と呼んでいいと思う。
何回あってもいいと思う。
一回もないのは詰まらないと思う。
ラストが一番の大山であるべきだ。
つまり、最大利得が予測される、
これまでのストーリーの全ての価値が決まる、
大きなギャンブル(冒険)であるべきだ。
そうすると最大の危険と隣り合わせということだ。
それまでは、
小山でも中山でもいい。
たとえば「彼女に勇気を出して声をかける」は、
小山なのか中山なのか大山なのかは、
ストーリーによって異なると思う。
彼女と結婚するのがゴールなラブストーリーならば、
それは小山だろうし、
彼女に告白するのがゴールならば、
それは中山だろうし、
どもりを解消する壮大なドラマならば、
それは大山になるかも知れない。
すべてはストーリー内の相対的な価値で決まる。
銀河連邦を消滅させるブラックホール兵器の発動が、
小山のストーリーだってあり得るだろう。
ノーリスク行動ならばただの日常茶飯事かもしれない。
山にはリスクが必要だ。
失敗したらヤバイぞ、だ。
この危険の香りがあるから緊張する。
つまり山とは、
利得を前にした、危険を理解した上での、
緊張の度合いのことかもしれない。
だいぶ昔に上げた、
ハリウッドで買った絵葉書、
「No Guts, No Story.」というのが一番短く表していて、
(崖を自転車で跳ぼうとする男がいる)
これが山場の象徴だと僕は思っている。
崖というリスク、それを飛び越えた名声という利得、
それを分かった上での準備(男はヘルメットをしている)、
その緊張。
すべてが山場に必要だ。
ストーリー構成を考える上で、
こうしたギリギリの緊張の場面を、
いくつ用意するかは、
脚本家の計画(まさにプロット)である。
目立つのは、通常は4つだろうか。
第一ターニングポイント、
ミッドポイント、
後半のどこか(第二ターニングポイントだとクライマックスに近すぎる)、
クライマックス、
だろうか。
好みにもよるが、
小山、中山、小山、大山
という構成が一般的かな。
中山はビジュアル的、外面的山場になることが多いのに対して、
三番目の山は、内面的な山場になることが多い。
もちろん典型的なこのパターンを崩してもいいし、
山場を増やしても減らしてもいいと思う。
第一ターニングポイントより前に、山場があってもいい。
冒頭には山場は来ない。
それがストーリー全体での相対的な山かどうかは、
始まった時点では分からないからだ。
ただ派手な場面を作ってヒキにする手段はある。
それはあくまでビジュアル的なものにすぎず、
本編から比較すればたいした山場ではなかったりする。
つまり冒頭はハッタリで、
山場ではないことが多い。
(実際に山場であるとすると、
そのあとのことは全てこれを超える山場にしなければならず、
ハードルを上げた自殺行為でしかないので)
山場をつくろう。
成功への予感はなにか。
リスクはなにか。
何をすれば成功なのか。
何をすれば失敗なのか。
そしてその成功(または失敗)の結果、
ストーリーはどのように次に展開するのか。
次の山場までどう繋ぐのか。
山場はストーリーの節目であり、
ハイライトでもある。
ビジュアル的、予算的に派手な山もあれば、
二人が会話するだけなのに壮絶な山場もある。
これらを面白く作れないなら、そもそもストーリーは面白くならないよね。
2020年09月16日
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