2020年09月18日

あらすじ紹介がひどい

プレスにこんな文章を書かせないように、
配給会社はあらすじテンプレを書くべきだろうね。
これはひどい。


---以下引用:


池田エライザ監督の映画『夏、至るころ』の日本公開日が12月4日に決まった。

池田エライザの初監督作品となる同作は、地域の「食」や「高校生」とコラボした青春映画制作プロジェクト『ぼくらのレシピ図鑑』の第2弾。同じ学校に通う高校3年生の翔と泰我は、子供のころから和太鼓の訓練をしてきたが、夏祭りを前にしたある日、泰我が受験勉強に専念するため太鼓を辞めると言い出し、それを聞いて愕然とした翔の前にギターを背負った少女・都が現れるというあらすじだ。舞台は福岡・田川。10代で東京に出た池田エライザ監督のエピソードが原案になっているという。

出演者は、翔役の倉悠貴をはじめ、泰我役の石内呂依、都役のさいとうなり、翔の父役の安部賢一、翔の母役の杉野希妃、翔の祖父役のリリー・フランキー、翔の祖母役の原日出子、翔に影響を与える教師役の高良健吾、ペットショップの店長役の大塚まさじら。今回の発表とあわせてポスタービジュアルが公開された。


---引用ここまで:


ガワの点ばかりの列挙だ。
肝心の中身はここだ。


 同じ学校に通う高校3年生の翔と泰我は、
 子供のころから和太鼓の訓練をしてきたが、
 夏祭りを前にしたある日、
 泰我が受験勉強に専念するため太鼓を辞めると言い出し、
 それを聞いて愕然とした翔の前にギターを背負った少女・都が現れる


全然だめだ。ちゃんとこう書き直しなさい。


 和太鼓の一人前を目指すため、二人の男は競い合っていた。
 だがある日、一人が太鼓を辞めるという。
 情熱の行き場を失った主人公は、ギターを背負った謎の少女と出会う。
 彼女とコラボすることで、今年の夏祭りを新しく、
 しかも親友の情熱を呼び戻せるものに出来るのではないか?
 和太鼓とギター。最も珍妙な組み合わせで、最も熱い、田川町の夏が始まる。


後半3行は僕の勝手な想像。

ストーリーはシチュエーションのことではない。
「あるシチュエーションに放り込まれた人々が、
ある目的を達成しようとすること」だ。

プレスはシチュエーションの設定を細かく書いただけで、
「ある目的を達成しようとすること」は書いていない。
だからカタログスペックの羅列に過ぎず、
あらすじになっていない。

我々は情報を食べて生きる。
スペックを並べ終わればそれは見たも同然になる。

映画はスペックをチェックするのではなく、
ストーリーに感情移入し、
カタルシスを持って生まれ変わるものである。



もっとも、上で想像したストーリーでなく、
スペックの羅列のホンかもしれないが。

どう考えてもお飾り監督の池田エライザは、
その空気を変えられるのか。
広報はそれに全面的にバックアップするべきで、
このようなクソプレス原稿を許すべきではない。
きちんとコピペ用あらすじを練って事前に渡すべきだ。

新聞記者はスペック調べは出来ても、
映画部記者でない限り、ストーリーを扱うことは下手だからだ。


逆に、
ストーリーをこの程度と見ている配給サイドならば、
この興行は全面的に大失敗だろう。
だってつまんなそうだもん。



今回の原稿はとくに酷かったのでとりあげた。
他にもひどいのがあれば、
片っ端から添削してやるぜ!
posted by おおおかとしひこ at 01:39| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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