だと思う。
そもそもブラインドタッチは、
日常でやったことがない。
「作業をするときは手元を見ながら」だ。
ナイフで何かを削るとき、ブラインドタッチだったら指落とすわ。
字を書くときも、料理もすべてそうだ。
「手元を見ずに作業」するものは、
日常に圧倒的に少ない。
テレビのリモコン、繰り返して手慣れた家事、
自転車、車の運転(免許制)、楽器(特殊技能)、
セックス、
くらいではないか?
まずそのことに慣れることすら、普通ではない。
繰り返し繰り返し作業して、
見ずにやるようになるのではなく、
「最初から見ずに練習する」は、
日常生活に類を見ない。
ブラインドタッチの有名な練習法、
「タオルを手に被せて、見ても意味がないようにする」
を、他の日常動作のどれでもやったことなないし、
他のどれにも応用が効かない。
だから、まずブラインドタッチは、
「新しい運動をマスターする」に近い。
鉄棒の逆上がりと似ていると思う。
大人になって、
経験もないのに野球を始めたり、
ラクロスを始めたりするようなものだろうか。
そもそも、片手5キー担当で、
3段で計30キー、ということも分かってない。
全部で6段あって、小指伸ばしも沢山あって、
すべてのキーの機能も名前も知らない。
文字領域が微妙に左にずれてて、
1/4ズレと1/2ズレと、異なることも知らない。
左右交互打鍵は楽だということや、
アルペジオは楽だということや、
同指異鍵は難しくて遅いということや、
段越えはさらに大変ということも、分かっていない。
これぜんぶわかってても、
同時打鍵と単打を混ぜながら打っていくことや、
前置シフトと単打を混ぜながら打っていくことのリズム感は、
はじめてこのときにマスターする。
あるいは仮にqwertyができても、
それにはほとんどない運指(先日気になったのはXA)
を、マスターしないといけない。
KJなんかは快速なアルペジオだけどqwertyでは使わないし。
これだけの新技能をマスターすることは、
僕は容易なことではないと思う。
僕はブラインドタッチからはじめて、3年くらいかかって、
カタナ式を経て薙刀式に至り、
1200-1800字(変換後)/10分で物書きが出来るようになった。
最初にqwertyのブラインドタッチの基礎があれば、
前半半分はやらなくて済むだろう。
ゲームやピアノをやってれば、
同時打鍵は苦でないかもしれない。
モチベの維持もある。
僕は手書きでそもそも900出せていた
(普通の大学生は300-450)ので、
タイピングがそれを上回らない限り苦痛でしかなかった。
井戸の水汲みみたいな、「やらなきゃいけないこと」
としてタイピングをやっていただけだ。
薙刀式でそれを上回った今でも、
漢字変換の手間のノイズだけ、文章の質が下がると考えている。
だからもう少し速く、2000-2400くらいになるといいなと思っている。
ほとんどの人は、600-800もあれば、
手書きを大幅に超えるからタイピング万歳、
配列万歳になるのだろう。
しかしそれを実感として持ったことがないから、
この運動技能の習得と引き換えになるかどうかは、
不安を抱えたままモチベを維持しないといけない。
みんなみんなが思い思いにやっているから、
運転免許のようにシステマチックに教える方法は、
確立されていない。
これだけの労力でこれくらいのパフォーマンスになる、
という対価もわかっていないし、
こういう挫折をしがちでこういう対処がある、
というトレーニング時特有のマス現象も整理されていない。
そもそもそれらが整理される前に、
フリックで十分やとなって、
日本人は長文を書いたり読めなくなってる説もある。
配列の習得には、
運動スキルを増やす必要がある。
それをするだけの必要性(文字を沢山速く書きたい)、
モチベーションの維持、
もともとのスキルで、
結果はだいぶ変わってくると思われる。
大人になって野球を始めようとすることに似ている。
まずスポーツショップに行って道具を買ったり、
草野球クラブに入ったり、YouTube教室みたいなのを調べるだろう。
仲間がいればモチベも持てるかも。
新配列にはそれがない。
親指シフトの噂だけ先行していて、
挫折した人は大変多いと思う。
月や飛鳥を使っていた人でも、
OSのバージョンアップやセキュリティで振り落とされた人も多いだろう。
「そもそもそんな字書かないわ」
に気づいてしまった人もいるかも知れない。
僕は、まだ物足りない。
その足りなさがモチベになっている。
かつての井戸の水汲みよりずいぶん快適になったから、
「もう少し快適にできるのでは?」と考え続けている。
(論理配列ではそろそろ限界で、物理でなんとかならないかと、
やってるわけだけど)
僕は、ライター系の人々が、
新配列を導入しない理由はまったく分からない。
情報に触れる機会がほとんどない、
あったとしても混乱した体系、
新技能習得の不安と手間がある、
といったところだろう。
ただ、長くかかる(実際には一ヶ月程度なのだが)スキル習得は、
脱落してしまうのだろう。
お稽古ごとにしては、すぐマスターできちゃうから教室経営もできない。
だから運転免許くらいの感じかもしれない。
ものくろさんの親指シフトキャンプは、
その感覚だと思われる。
配列をマスターしたあとどうなるか?
がよく分からないのもよくないと思う。
とりあえず薙刀式動画はあげてゆく。
現在形が常に最高なのだが、
過去動画を掘れば時系列がわかって、
励みになると思われる。
「新しい運動技能の習得」と考えると、
配列はわかりやすいかもしれない。
字を書くから頭のことだと考えてるとよくない。
新しい筆、新しいナイフ、新しいボールであると考えると、
それを使った新しい運動技能、
と考えやすいかもしれない。
2020年09月20日
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