2020年09月28日

鍵は、自分の欠点の克服だ

こうならないと、内面のストーリーは書けないと思う。


最初に注意するべきは、
作者も克服できてないような、
自分自身の欠点を克服しようとしないことだ。

第一、欠点を自覚するやつは、
一発大逆転を狙いたがる。
モテない男がマドンナを射落として大逆転とかね。
バッドエンドならこの目的もなくもない。
ひょっとして昔の文豪はこの罠にかかって、
自殺とかしちゃったのではないか。

そうではなくて、
客観的に知っている、
欠点の克服を選びなさい。

高所恐怖症を、集中で克服するとか、
モテない自信を、
外見でない何かを発見することで外見コンプレックスを克服するとか、
苦いピーマンを熟したピーマンを食べることでわかるとか。
人を嫌っていたが、他人を受け入れることを猫で学ぶとか。

まあなんでもいい。
自分が書けそうな、内面の弱点の克服を選ぶことだ。
だから簡単なものから始めたほうが、
挫折する確率が少ない。
僕が短編を沢山書けというのは、
こうした習作もしておきなさいということ。


で、
そもそも内面の弱点の克服なんてめんどうなこと、
人間はやらないのである。
場合によっては恐怖で苦痛だ。

だからこそ、
それをハードルにするのだ。

そのAを克服しない限り、
センタークエスチョンCは解決しないと。

あるいは、Aを選んだほうが、
現状ものすごく大変なCへの道を、
ショートカット出来る、でもいいかもしれない。

ただ自分だけが、考え方を変えたり、
謝りさえすれば、全体の事態は良くなる。
そういう風に全体を持っていくと良いだろう。

はいあなたの弱点Aがあります。
これを克服してください。
だけでは、誰もやらない。

CのためにはAを超えなければならない、
その必要がある。
そうなってはじめて、Aは中盤の障害のひとつになる。

敵は外部にいるだけではない。
自分自身の心の中にもいる。
それを倒してCを成すから、
カタルシス=生まれ変わりが起こるのだ。


そしておそらく、A越えの必要性は、
もっとも嫌なタイミングで起こる。
そのように組むと、
主人公にとって一番のヤマがそこになるだろう。

通常、これは第二ターニングポイント直前にある。
ここでクライマックスへの希望が出てくるから、
暗いトンネルを抜けて逆転への道筋になる。

これをクライマックスに持ってくると、
他人にとってはたいしたことないAの克服がクライマックスになってしまうので、
あんまり面白くないんだよね。

たとえば「父と和解する」がAだとすると、
それをセンタークエスチョンにせずに、
別のセンタークエスチョン、
たとえば「コンテストに応募して優勝する」
をクライマックスにして、
その前に和解のドラマを作った方がやりやすい。
「今まで誤解していたよ」がクライマックスになるよりも、
優勝の絵の方が強いだろう。

クライマックスはもっとも派手な絵にするべきだ。

内面のドラマは、その解決の絵が地味であることがとても多い。
せいぜい、「美しい朝焼けを見た」とかだろう。
個人の中のことだから余計そうだろう。

クライマックスは、
もっと社会的な問題の解決であるから、
絵が派手になり、カタルシスが相対的に大きく感じるわけだ。


で、ついでに、
この場合の「コンテストに優勝」に、
父と和解できたことが影響しているといいわけだ。
それをどう組むかは考えてないけど、
そのように、AとCの関係を作ればいいのである。

Cを解決するには、Aが鍵になる。

そのように組んでいくと、
それに対面せざるを得なくなる。
posted by おおおかとしひこ at 02:14| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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