2020年09月26日

ストーリーとは「あるシチュエーションと、ある目的」である

池田エライザの映画の件で、ものすごく短くまとめられたかもしれない。

ストーリーとは、
「ある面白いシチュエーションに放り込まれた人(たち)が、
ある目的を達成しようとすること」
であると。


これは三幕構成をも単純化できる。

一幕
ある人(たち)が、ある面白げなシチュエーションに放り込まれる。
そこである目的を持つ。

二幕
しかし抵抗や障害があり、
それをなんとかして乗り越え、
あと一歩まで辿り着く。

三幕
絵的に派手な、最後の一山。
目的を達成して、めでたしめでたし。



専門用語を併記しながら、
もう少し詳しく書いてみよう。

一幕(30分)

ある人が、問題を抱えている。(内的問題)
その人(たち)が、ある面白げなシチュエーションに放り込まれる。
(きっかけ)
大抵は逃げたり拒否するが、(拒否)
それに立ち向かわざるを得ない、
強制的な事情がある。(内的問題と関係することが多い)
そこで、自らの強い意志で、
それを解決する必要に迫られる。(動機)

その目的を、宣言ないし提示する。
(センタークエスチョン。それを達成すればこのストーリーはおしまい)


二幕(60分)

目的を解決しようとする世界は、
日常の安心できる世界とは全く別物である。(非日常世界、危険)
その目的を遂行しようとする過程で、
様々な苦難、抵抗にあう。(障害)
なんとかして乗り越える。

主人公の深い動機や事情を知り、
そういうことならば誰もがそうしたいだろう、
と思わせる。(感情移入)

敵や味方が出てくることが多い。
その人々の間の争い(コンフリクト)を描き、
どうにかして突破をしてゆく。

長い中盤を面白くするために、
真ん中に大山があり、その成功または失敗になることが多い。
(ミッドポイント)

大抵は大きな敗北があり、
内面の弱さを克服しないと前に進めない場面となり、
それをうまく乗り越える。(ボトムポイント)

目的達成のあと一歩まで、
ようやく到達。(センタークエスチョンの再提示)


三幕(30分)

最後の大勝負を乗り越えればおしまい。
絵的に派手で、危険スレスレの大冒険が望ましい。
(クライマックス)

最後に、全体の大冒険の意味が確定する。
内的問題の克服や、達成したことの社会的価値が語られることが多い。
(テーマ)


これはあくまでメインプロットのことだから、
他の登場人物が抱えるサブストーリー(サブプロット)や、
その交差(メインとサブが影響を与え合う)などは、
含まれていないことに注意。
また、主人公だけで複数のサブプロットを抱えている場合もある。
(仕事と副業と家庭と浮気をぜんぶうまくいかせる、とか)

また、主人公は一人だけでなく、二人のこともある。
(バディもの、ラブストーリーもの、ライバルもの)
その場合は、メインプロットがデュアルであるように見えるかもだ。

また、伏線と解消やどんでん返しや、
強烈なツイスト(一気に形成やストーリーの雰囲気が変わるターニングポイント)
などはオプションのため省いたが、
たいがい付いてくる標準オプションである。



ストーリーは複雑だ。
だから面白い。

しかしそれを伝えるには、単純化しなければならない。


その時にガワを伝える方法もあるし
(主演は誰か、どんな役か、ロケ地はどこか、
クライマックスはどういう派手な絵か)、
中身を短く予告的に、
入り口を面白そうに伝える方法もあるということだ。

それはつまり、
「面白そうなシチュエーションと、
興味の持てる目的」の、ペアのことである。
posted by おおおかとしひこ at 12:54| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。