構想の途中で、テーマははてなんだろう、
と思ってしまうことがある。
あるテーマを書こうと思って構想をはじめても、
うまく落ちなかったりすることがある。
こういうときは、落ち、テーマ、クライマックスを、
同時に考えるといい。
まず落ちだ。
起きた事件はどうやって最終的に解決するのか、
ラストシーンを想像してみる。
最終的な原稿ではそれに従う必要はないが、
仮のラストとして考えるわけだ。
起こった事件は大団円を迎え、
みな幸せになる。
めでたしめでたし、のシーンでストーリーは満足とともに終わるはずである。
最初に陥った不幸と、ラストの幸福が、落差があればあるほど、
良かったねえ、というラストになる筈だ。
あるいは、途中の冒険での浮き沈みが、
激しければ激しいほど、やっと落ち着いてよかったねえ、
となるかもしれない。
それが落ちのシーンだとして、
一体それが何を表しているのか?というのが、
テーマだ。
仮に「〇〇の勝利」だと仮定してみて、
そこに何が入るか考えたまえ。
その解決、勝利が、
〇〇という価値が素晴らしいのだ、
ということを暗示しているとしたら、
一体なんだろう?と分析するわけである。
だとしたら、
クライマックスを逆算して考えるわけだ。
〇〇と反対の価値との決戦である、
となるのがふつうのクライマックスである。
とくにそうなっていなくても構わないが、
主人公の価値が、ここで証明できるのか?となっていれば、
なんでもクライマックスにはなりえる。
ただし危険の危険があったりするから、
もし負けたら〇〇には価値がなかった、と証明してしまう、
というペナルティがあることが多い。
それまでの感情移入にもよるが、
観客はどうしても主人公に勝ってほしいと真に思っているはずだ。
その感情にこたえて勝利する、
その最大の戦いとは何か、
それが何と何の価値観の争いにあたるのか、
という事を考えると、
クライマックスのアイデアが、
逆算でわいてくることになる。
で、それらが集まってきたら整理して俯瞰する。
いくつかのクライマックスのアイデアがあるべきだ。
こういう絵的に派手なやつ、
というのはいくつかパターンを考えたほうが良い。
実現可能なものから、
ちょっと無理かもしれないけど、あったら面白いな、
というものまで考えておくとよい。
予算でどこまで実現するか分らないので、
大小考えておくと、
あとあと対応しやすいので。
で、それらのクライマックスは、
何と何の価値観を代表する闘いなのか、
を俯瞰してみるとよい。
そうすると、その勝利が主人公サイドの価値の証明になり、
落ちでテーマに落とせるわけである。
ということは、最初に戻って、
その事件とは、主人公の最終的に証明する価値と、
真逆のことが起こるべきなのだ。
このままでは主人公の価値が脅かされるから、
主人公は戦いの旅に出る、
という力強いスタートを考えることが出来るわけだ。
構想中は、
あっちに行ったりこっちに行ったりして、
まだ全体の形が整っていないことが多い。
導入は面白そうだ、
事件は面白そうだ、
人物は面白そうだ、
設定や背景は面白そうだ、
小エピソードはよさそうだ、
などの断片しか具体的になっていないことが多い。
そういうときに、
このように、
落ち、ラスト、クライマックスを考えることで、
その断片は、
ひとつの秩序を持つようになる。
それはクライマックスのパターンや、
どういう価値がテーマになるのかのパターン違いで、
いくつかのバージョンに分かれるかも知れない。
しかしいずれそれらはひとつに収束する。
あなたの描きたいことと、
一致を見ることでだ。
最初から全てが出来上がった状態で、
ぽこっと生まれてくることはほぼない。
必ず断片的なアイデアでしかない。
それらをどうまとめればストーリーになるかわからないときは、
それがどうやって終わるのか、
それが一体どういうテーマを暗示するのか
(ついでに逆の価値は何か)、
それを争うクライマックスとはどのようなものか、
を考えると、
「ああ、この話は全体でいうと、
こういう意味の話になるのか」が、
自分で明らかになることがある。
そうすればしめたもので、
あとは間を考えればよくなるわけだ。
僕は、
導入や序盤の事件、
キャラクターや背景、小エピソードなどを考えたら、
次はこのように落ち、テーマ、クライマックスについて考える。
それらが一本の線になったとき、
これは書けそうだと判断する。
最近ちょっとアイデアを練っていて、
このクライマックスはどういう価値を争うのだろう、
などと考えて、
あまり面白くない(絵的には面白くとも、
価値の対立的にはあんまり面白くない)のに気づき、
クライマックスを別のものにしたら、
なんとなく書けそうなラインに来た。
なので、これを軸足にして、
色んな「間の話」、つまり展開部を構想しようと思っている次第だ。
これがうまくいくかは分らなくて、
また最初やクライマックスを変えることになるかもしれないが、
その時はまた同じ問いをするだけだ。
どうやってその話は終わり、落ちがつくのか。
それはどのようなテーマの暗示なのか。
クライマックスは、それと何が闘うことになるのか。
あるいは、
なぜその価値が勝つことをみんなが望むのか。
(感情移入の結果であるはずだ)
それらを俯瞰して考えなおして、
面白い、となるまで、
練っていくことになる。
2020年10月04日
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