2020年10月12日

その人に出会うまでキャラを造る

キャラクターメイキングのコツ。


過去をつくる、性格をつくる、
人間関係をつくる、モデルの人を探す、
あることについて喋るか、何か質問してみる、
動機を設定し、なぜそう思っているのかを書き下す、
などは、
架空なる登場人物を造るために必要な段階だろう。

それがリアルであるようになるためには、
詳細に詳細を詰めればいいだろうか?

僕は違うと思っている。


ある実在の人を思い浮かべたまえ。
それはあなたに近い人でいればいるほど良い。
あなたがその人が実在していると思う根拠はなんだろうか?
そういう記憶があるから、
ということだろうか?

僕は違うと思っていて、
「その人がこういう時ならこういうだろうなあ」が、
詳細に思い浮かべられるとき、
その人が実在性があるような気がする。

つまり、過去ではなく、
リアクションという未来の予想である。


「ああ、この人なら絶対こういうこと言うわ」
「こういうときはこう思うだろう」
が完全に予測できるようになったとき、
そのキャラクターは実在するようになっていると思う。
それがまだ曖昧ならば、
まだキャラクターが曖昧で現実感がないと思う。

逆にそう思えるまで、
冒頭にあげたようなものを繰り返し詰めていくしかない。
その人が育ったところや、大事にしている実在の場所へ出かけることは、
わりとその実在性を高めると思う。
こういう空気とこういう風景で育ったんだ、
と思うと、こういう気風なんだろうなあ、
という想像ができるような気がする。
その人の根本的な風景みたいな感覚が得られやすいと思う。

あるいは、実在の道具を使うならば、それを持ってみたり、
触ってみることもいいと思う。
時々モデルガンを持ってる漫画家が逮捕されることがあるけど、
それは銃を使う人を身近に想像するためのテクニックでもあったりするんだけどね。
侍だったら、大小を腰に下げてみることも比較的いい想像になるよ。

その人のルーチンを実際にやってみるとか、
その人の好物を食べてみるとか、
その人が良く行くところに行ってみるとか。
まるで好きな人のストーカーのようだけど、
架空の人物をまるで実在の人物のように感じない限り、
リアルに書くことなんて出来ない。
なるべく同じ空気を吸うことが大事だ。

そのうち、
あ、こういうときにはこういうことを思い、言うだろうなあ、
ということが体の中にできてくるように思う。

逆に、それができていないときは、
「まだその人に会っていない」ってことだと思う。


リアルでも、
この人はこういうことを思ってそう、
こういうことを次に言いそう、
なんてことを予測しながら会話をしたりする。

そうなるようにしていこう。



その人に会っている。
その感覚をつくるのは、
設定じゃなくて、
予測ができるということじゃないか?

できればまずあなたがそういう感覚になり、
次に観客にもそういう感覚を味わってもらうべきだ。


今準備している原稿では、
まだ僕は主人公に会っていない気がする。
まだ自分でしかなくて、
他人になっていない。
俺ならそう思い、そう言うだろうということは分るが、
そのキャラクターならそう考えて、そう言うだろう、
というところまで来ていない。
来るまで、適当にセリフを書いてみたりすると、
わりと魂が降りやすいと思う。

クライマックスになんて言うかとか、
ラストシーンになんて言うかとか、
登場シーンでなんて言うかとか、
大事な場面、たとえば第一ターニングポイントでなんて言うかとか、
そういう具体的に大事な場面を先に想像して、
そのキャラに何か言わせてみるとよい。

ふつうのセリフしか言わないなら、
まだそのキャラは魂が入っていない状態だと思う。
そのキャラっぽいことを言い始めたら、芽が出てきた時だ。
もうすこし育てよう。
posted by おおおかとしひこ at 00:46| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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