タイピングは、手書きの文字書きに比べて、
便宜上こうだと決めた、たくさんの「余計な決め事」があると思う。
僕はそれを少しでもなくして、すっと書けるようにしたい。
デフォルトのqwertyローマ字だとして。
・便宜上、ローマ字で打つ。
・便宜上、そのローマ字は真のローマ字ではなく、入力用の特殊ローマ字。
・便宜上、qwerty配列を使う。
・便宜上、一文字を出すのに数打かかる。
・便宜上、1モーラは1打ではない。
・便宜上、左ロウスタッガードで打つ。
・便宜上、標準運指は歪んでいる。
・便宜上、日本人の手にあっていない19ピッチを使う。
・便宜上、重たい押下圧の安いキースイッチを使う。
・便宜上、大量生産できる「同じキー」を使ったキーボードを使う。
・便宜上、かな漢字変換を用いる。
変換候補から選んだり、自動切り分けされた文節を訂正する。
・便宜上、最適化されていない動線で、
シフトやコントロールやカーソルや変換や無変換や、
BSやエンターやESCやDELやHOMEやENDを用いて、
文や文章を操作しなければならない。
・便宜上、補完入力は遠いTABキーを使う。
・便宜上、漢字を直接入力することは不可能。
・便宜上、原稿用紙のようなレイアウト(升目を埋めていく)を使う。
続け字やフリーレイアウトではない。
したがって、省略気味の文字を使えず、逐一入力が必要。
・便宜上、電気が必要。バッテリー残りや充電を気にする必要。
・便宜上、水に濡らしり落下したり傷付いたらアウト。
・便宜上、机と椅子が必要で、正しい姿勢でなければならない。
これだけの「便宜上」がある。
とりあえずこうした、のを使い続ける、
デファクトスタンダードだ。
僕はこれらに我慢がならない。
ペン一本で紙に書く手軽さ、気軽さ、
本来そうして発達したものが、
テクノロジーの未発達状態で便宜を強いられているのに我慢がならない。
その怒りこそが僕の原点であり、
改善の原動力だ。
僕はたくさんはやく書きたいだけなのに、
PCが足枷になっている。
それが原理上出来ないならば、いますぐPCを窓から捨てればいいのだが、
すべては「便宜上」になっているところに、
これまでのテクノロジーを積み上げてきた人たちに、
怠慢と無知を感じるのだ。
僕は結局、この「便宜上」をひとつひとつ潰して、
自分が便宜を図ることで、
タイムラグやコストがかかることを、
回避しようとしてきたのだと思う。
今のところ、以下のようになった。
○は克服成功、●はまだそのまま。
○ローマ字で打つ→カナ配列薙刀式に
○入力用の特殊ローマ字→カナなので考えなくていい
○qwerty配列→薙刀式配列で指の頻度や動線を最適化
○一文字を出すのに数打かかる→1カナ1アクション
○1モーラは1打ではない→1モーラ1アクション
○左ロウスタッガード→格子配列左右分離の自作キーボード
○標準運指は歪んでいる→格子配列で左右対称、数字段と小指外は捨てた
○重たい押下圧→シリコンシート仕込みのバネ交換ルブ済みスピードスイッチ
○19ピッチ→自作3D配置で短く感じるように
○同じキー→すべて異なる形の3Dキーキャップで指にフィット
●便宜上、かな漢字変換を用いる。
変換候補から選んだり、自動切り分けされた文節を訂正する。
○最適化されていない動線→機能も含む配列、編集モード
○補完入力→そもそも打鍵が速くなったので不要に
●便宜上、漢字を直接入力することは不可能。
●便宜上、原稿用紙のようなレイアウト(升目を埋めていく)を使う。
続け字やフリーレイアウトではない。
したがって、省略気味の文字を使えず、逐一入力が必要。
●便宜上、電気が必要。バッテリー残りや充電を気にする必要。
●便宜上、水に濡らしり落下したり傷付いたらアウト。
●便宜上、机と椅子が必要で、正しい姿勢でなければならない。
水や衝撃に強く、バッテリーも無限な紙に勝る素材はないので、
後半三つはPCを使う限りついてまわる。
スマホはいくつかの課題をクリアしたが、フリックは薙刀式に負ける。
あとはかな漢字変換と、マス目のエディタか。
漢直にすればOKだから、
いつか漢直はやってみたい。
しかし薙刀式がベースにしたのは、
日本語文章を全部カナに戻した時の連接統計だから、
漢直用のカナ配列が新たに必要になるだろうことは、
火を見るより明らか。険しい山だ。
マス目のエディタは、
イラレやinDesignなどのイラスト系ソフトで書く、
というアプローチもあると思う。
実際、京極夏彦はinDesignで執筆している。
僕は現在軽さにおいてiTextを愛用しているが、
別の何かを使えばまた変わるかもしれない。
たくさんの便宜上が、PCによるモノ書きには多すぎる。
その便宜に僕の脳内メモリが取られて、
紙に書きつけるよりも文章のクオリティが下がる。
それがもっとも、モノ書きとしてやってはいけないこと。
にも関わらずライターが何も言わないのは、馬鹿なのだ。
馬鹿なライターが安く使われて、日本の文章のレベルが下がったのが、
この20年だったと僕は考えている。
メール文化も内部時間の消費で無駄だと思う
(毎日決まった時間に会社のフロアにいて、
気になったことはすぐに聞いたり打ち合わせるのが、
結局最高効率だと思う)が、
そもそもqwertyでなければもっとマシだったろうに。
その便宜はほんとうに必要か?
取っ払えるなら取っ払い、
脳と直結して文章を書くべきではないか?
その便宜に払う一生続く無駄を、
さっさと捨てるべきだ。
qwertyローマ字は日本語を書くのにベストではない。
デファクトは「誰も手をつけられず決まったもの」でしかない。
それらを崩し、
我々の手にスルスル書ける日本語を取り戻すべきだ。
2020年10月05日
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