2020年10月31日

複数の登場人物は、ある問題に対する代表的な立場

だと考えると、登場人物の役割がはっきりすることがある。


ある問題を解決することがストーリーの目的である。
だが、その問題の近辺には、
色んな立場の人がいる。
庶民の立場からものをいう人。
当事者の敵側の事情からものをいう人。
虐げられている側の事情からものをいう人。
観客の立場からものを見て感想をいう人。

こういう風にその問題や登場人物を整理してみようということだ。

登場人物は、
ある目的をもってストーリーに登場し、
サブプロット(その人物の目的を達成させるストーリー)に参加する。

それはその人なりのストーリーとして面白く書ければよいのだが、
「それってこのメインストーリーに対して、
どういう役割があるんだっけ?
是非とも必要なんだっけ?」ということが分らなくなってしまうことがある。

まあ、詰まらなければカットすればいいんだが、
せっかく何か面白そうな芽が出ているというのに、
刈り取ってしまうとストーリーがやせて感じることだろう。

ということは、サブプロットが存在することで、
ストーリーが豊かになればいいのだ。


で、メインに扱っている問題は、
様々な視点から語ることができるだろう?
ということを考えるとよい。


敵味方という単純な二項対立であっても、
敵方の事情、味方の事情と、ふたつの視点があるだろう。

味方だって、大義名分の視点だけでなく、
ぶっちゃけた台所事情の視点や、
呉越同舟の視点もあるに違いない。
それぞれのキャラクターは、それぞれの事情や目的でそれに参加しているわけだから、
それぞれは、
そうした「その事件に対する、複眼的な視点」で、
ものを語らせると、
ストーリーが重厚に見えるわけなのだ。

あることに対して、
経済的な意義、
芸能界に与えた影響、
文化的進歩、
新技術の実戦投入、
などの複数の意義があるならば、
サブプロットはこの4本書けばよくて、
それぞれの視点を持つ、4人の登場人物にまとめられる、
ということである。

ストーリーを圧縮して3本のサブプロットにすることもできる。
その場合、メイン登場人物は3人になる。
サブプロットを足して、
5本の同時進行にすることも可能で、
そうするとメイン登場人物は5人に増やし、
それぞれの目線や事情から、事件を語るとよいわけだ。
(同じ人物に複数のサブプロットを背負わせる方法もある)


そうすると、それぞれの視点からのテーマが存在するので、
それがメインテーマに対しての、サブテーマになるという構造だ。


サブ登場人物は、いてもいなくてもいいんじゃないか、
ということを時々思ってしまう。

その時、いや、こういう意味で、このストーリーには必要なのだ、
ということを確認したい。

その時、この人物は、
こういう立場、視点で事件を見るのだ、
ということを考えておかないと、
じゃあやっぱり無駄だな、となってしまう。
もちろん、無駄ならばカットするという選択肢もある。

しかし全部カットして、
主人公一人のメインプロットになってはシンブルすぎるので、
もっと複眼的に事件を捉えたほうが面白い。
その第二、第三の眼が、二人目、三人目の登場人物だと考えると、
彼らのストーリー全体での役割が整理しやすいのではないだろうか。


今書いている話では、
男の立場、
妻の立場、
金貸しの立場、
興行師の立場、
野良の立場、
などの5つのストーリーが交錯して、それぞれのサブプロットを形成していて、
それぞれがその事件全体を構成する要素である、
というような全体になっている。

だから、ひとつそれを削っても痩せるし、
それらは同じ登場人物に重ねられないなあ、などとも考えている。


その事件は、いくつの視点から多角的にみると面白いか?

そういう逆算で、じゃあ、サブ登場人物は、
どういう視点の代表者としてこの事件にかかわるのか、
ということを考えると、
サブプロットの役割や意義について整理しやすくなるはずだ。
posted by おおおかとしひこ at 02:52| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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