特に前半はそうしたことが多い。
初登場をバーンと作ったものの、あとでそれほど活躍しなかったりする。
初登場はちょろっとその辺にいただけなのに、あとで全然活躍したりする。
つまり、後半のキャラクターが最初から出来てれば、
といつも思うものだ。
連載ものと違って、
脚本ではそれを統一することができる。
あるいは、
後半を踏まえたうえで、
前半をその逆にするとか、隠すとか、
狙いを作ることができる。
作者の本音でいうと、
最初はこうしようかなあなんて思いながら書いてたけど、
書いてるうちにこうなったんだよね、
なんて感想があるものだ。
だけど観客にはそれは関係がない。
そういうキャラクターでいくなら、
最初からそういうキャラクターであるべきだ。
あるいは、そのキャラクターに相応しい、
印象的な登場シーンをつくり、
のっけからそれはそのキャラクターで生きているべきである。
そうした、
初期キャラクターのブレを、
整えていくこともリライトの仕事である。
後半悲しみが襲うなら、
わざと明るいシーンを作っておく。
ハッピーエンドで終われるならば、
わざと辛いシーンを作っておく。
そうやってキャラクターを統一しながら、
振り幅を作っていくとよいだろう。
リライトにおいては、
ストーリーの不備や展開をコントロールすることが一つあるが、
こうしたキャラクターに関することもきちんとやるべきだ。
なぜなら、
観客はストーリーを、
キャラクターたちを通して体験するからだ。
キャラクターへの愛情や愛着や憎しみが、
ストーリーの迫真性を高める。
同じ隕石落下でも、
愛着のない人に起こる事件と、
愛着のある人に起こる事件では、
入れ込み方が変わってくるものだ。
殺人事件の被害者が知らない人なら痛ましい事件で終わるが、
それが知人や身内だったら、我が事になる。
そのように、キャラクターを作っていくべきである。
つまりは感情移入だ。
感情移入する最も大きな相手は主人公だ。
主人公に関してそれがまずやれていないと話にならない。
しかしその他の脇キャラ一人に至るまで、
そうなっていると最高だ。
沢山の人に感情移入して、
その人たち全員の願いを叶えたい、
そのためにはこの悪役一人を倒さなければ、
と観客が思うと、
ストーリーがパワフルに見えてくる。
身内化、我が事化が起こるわけだ。
こうした巻き込みを巧みにするためにも、
キャラクターの初期のブレは、
なるべく取り除く。
あるいは、初登場シーンから親しまれ、
感情移入できる方法はあるか、
などと初手から考え直すことだって、
やってもいいのだ。
初期のキャラのブレは、
何回も書き直すことでなくなっていくだろう。
うまく観客を巻き込むこと。
初登場から強烈なキャラクターを押していってもいいし、
初登場は何者でもない距離感だったが、
知っていくと徐々に分かってくる感じにしても良い。
それが全てあなたの思うベストの巻き込み方になっていれば良い。
書きながら考えた、曖昧なところはすべてなくなり、
すべてが計算され尽くした自然になっていることが、
リライトのゴールだと思う。
2020年11月06日
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