日本の映画監督たちが「鬼滅の刃」の大ヒットに苦言を呈している理由wwwww
http://www.vipnews.jp/archives/7778373.html
現状、結果的な面白さでいうと、
邦画<鬼滅だと思うよ。
なぜ邦画が面白くないかというと、オリジナルに投資が集まらず、
すでにヒットしたものを実写化しかしてなくて、
「しょぼい予算でしか出来ないオリジナル」しか作ってないからだ。
僕は投資や会社の仕組みに詳しくないから解説できないが、
今の邦画が、
・投資を集めやすい原作ものを、学芸会みたいな枠組みでつくる
・しょぼい予算でなんとか成立させたオリジナル
の二種類しかないことは火を見るよりあきらかだ。
・そこそこ潤沢なオリジナル
・一点豪華予算のオリジナル
・ものすごい金かけた原作もの
が欠けていると思う。
それはすでに邦画業界が自転車操業に入っていることを意味する。
90年代、フジテレビが踊るを当てたことで、
ドラマからの映画化ビジネスが金鉱脈をつくった。
それは、オリジナルドラマ(そこそこ潤沢な)が面白かったからできたこと。
だけどテレビの凋落で、
オリジナルドラマを作らなくなり、
予算も縮小して行って、
このビジネスの継ぎ手がいなくなった。
本来ならば、
そこで儲けた回転資金で、
次世代の才能を育て、
まあまあの予算でオリジナルを沢山つくり、
何回かそこそこ潤沢なオリジナルを作らせて、
次の柱を育てるべきだった。
だが映画業界は、
○○実写化の枠組みで、延命することしか出来なかったといえる。
まともなスタッフならば、
爆死しまくる実写○○の脚本を渡されて、
面白いわけないだろと断るに決まっている。
だから表舞台から有能なスタッフが一人二人去り、
志を低予算で灯し続けているに過ぎない。
僕がひどいと思ったのは、
低予算「カメラを止めるな!」を作った監督に、
同じ予算でもう一本、と仕事がきたことだ。
なんのためにギリギリでやったと思うんだ。
未来への投資として今を犠牲にしたんだろ。
普通は桁を一つ増やしますので、という仕事の頼み方のはずだ。
低予算で成功した男は、
「低予算で成功する」スキルしか買われない。
買うやつは目が腐ってると思う。
そもそも「カメラを止めるな!」は、
キャスト全員が無料だ。
なぜなら監督の生徒だからだ。
監督は生徒に演技を教える代わりに、
ただで出てもらい、低予算をカバーした。
本来ならば出演者は半分、尺も半分以下の予算な訳だ。
こうした、作品をつくるための遠回りがうまいやつが、
今低予算映画でなんとかしている。
とても本末転倒である。
おそらく全滅ではないにせよ、
邦画のシステムは壊滅状態だと思う。
オリジナルを沢山作っていたころの、
次々に新しい作家を輩出し、
次々に世代交代していくような、
すなおな邦画モデルは保てていない。
それはおそらく投資会社(銀行など)に、
融資を受けてるせいで、
自分たちで資金を回転しなくなったからだと思う。
「面白いからやってみよう」ではなく、
「それは儲かりますか?にエビデンスを示すこと」が、
ビジネスの根幹になってしまったからだ。
じゃあ、エビデンスを持ってこれるスキルだけが上がり、
面白さへの嗅覚や、微妙なものを面白く作り替えるスキルなどは、
退化していくと思う。
邦画以外の漫画やアニメの売上グラフを見て、
買い注文が出来るトレーダーが、出世するだけの世界になったわけだ。
ということで、
鬼滅はオリジナルのアニメ化とはいえ、
一方のしょぼい邦画が束になって勝てるわけがない。
三谷幸喜みたいな作家をあと10人は育てなければ、
邦画に活気は戻らないだろう。
僕は鬼滅のヒットは眉唾ではあるが、
有難いものであるとは思っている。
コロナ禍の映画館を救い、
次への投資の回転資金になったことはたしかだ。
これで儲けた金を、
「エビデンスのある儲け話」に再投資するのではなく、
「志ある面白いオリジナルを作ろうとしている人」に、
分け与えてほしい。
それで全員爆死したら、まあ笑ってすますだけさ。
笑って済まされない社会になってしまったことが、
日本の先行きの硬直化、不安感に繋がっている。
焼け跡から立ち上がる志の者はもういないのかもしれない。
まあ全員焼け跡スタートじゃないからだろうなあ。
会社を回転させるのに、
どれくらいの規模のヒットが年何本必要で、
そのうち何億を新人の投資のために回せるのだろうか?
最低でも1本製作費1億あれば、新人でもそこそこ回せるはずだ。
そうした収支計算を知るには、
自分が映画会社(プロデューサー職)に回るしかないのだろうかね。
黒澤明を輩出した邦画界は、少なくとも今はない。
2020年11月04日
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