2020年11月09日

第一ターニングポイントをずらすレッスン

自分の原稿を用意しよう。
120分想定で、最低でも45分くらいまで書かれたもの。
25分前後に第一ターニングポイントが来てないとする。

これを、前記事の方法で、
第一ターニングポイントをずらしてみよう。


具体的には、
無理矢理25ページに当たるシーンを、
第一ターニングポイントに仕立ててみる。

会話をいじって、
どうにかして、
主人公の口からセンタークエスチョンを言わせるのだ。

宇宙人を倒す話なら、
会話の流れをコントロールして、
「あいつらを倒そう」とシーンのラストに言う流れに持っていこう。

法廷闘争劇ならば、
「法廷に持ち込むんだ」
「長い戦いになりそうだ」
で終わらせると良い。

手紙を届ける話なら、
「必ず届ける」
で終わらせていい。

ラブストーリーならば、
「あの子を振り向かせて見せるぞ」
で終わらせる。
(勿論そんなこと滅多に言わないが、
とりあえず第一ターニングポイントをわかりやすくしてみて、
あとでセリフは練ればいい)

さて、
当初の(遅れてしまった)第一ターニングポイントのときと比べてどうか?

現状第一ターニングポイントが二つある状態で構わないので、
一読してみようというわけだ。

たしかに、
25分前後に第一ターニングポイントがある方が良くないか?


「なぜ25分あたりに、
センタークエスチョンを提示する第一ターニングポイントがあるべきか?」
について、
明確な回答はない。

僕の仮説は、人間の集中力は15分一単位なので、
2ロール目で「このストーリーの意義」がわかると、
その先を楽しめるようになるのでは、
と考えている。
1ロール目ではまだ早く、
3ロール目では遅いと言う程度のことだ。
集中力の切れ目は15分でやってくるため、
15分ごとにまとめていくと、
意識の中に構造化しやすいのだ。


構成論は、テンポに関する法則である。
ページ数、すなわち分数でどういうテンポがあるべきか、
ということの経験則だ。

25分前後(誤差は3〜4分)あたりでセンタークエスチョンが提示されると、
テンポのいいストーリーを見ている気分になる、
というだけの話である。



さて、次の段階にいく。

一旦前の原稿に戻る。

先程は無理矢理25ページ目のシーンとしたが、
その前のシーン、または次のシーンを、
第一ターニングポイントに書き換えられるか、
試してみよう。

あるいは、前の前のシーン、次の次のシーンも、
やってみよう。

つまり、25ページ目のシーンを含む、
計5シーンの、どれが第一ターニングポイントに相応しいかを、
書き換えることで実験してみるのだ。

それが妥当かどうかは、
5バージョンの原稿を最初から読み返すことで、
自然と明らかになるだろう。

観客には気持ちのテンポというものがある。
天ぷらをカラッと揚げるタイミングというものがある。

それは何分あたりなのかを、
見比べて判断するといいだろう。


さて、タイミングが明らかになれば、
また大元の原稿に戻して、
「大元の第一ターニングポイントシーンをそこへ持っていく」か、
「新しい第一ターニングポイントを採用し、
元の第一ターニングポイントは変更する」
のどちらかを選択しなさい。

無理矢理第一ターニングポイントの、
センタークエスチョンを言わせるよりも、
ドラマチックな第一ターニングポイントが書かれていれば、
それを使った方が気持ちいいだろう。
あるいは、そんなに大袈裟に組む必要はなく、
サラリとセンタークエスチョンを認識する程度が良いのなら、
新第一ターニングポイントを採用した方がいいかもしれない。

面白い方を選びなさい。
くれぐれも「あなたが書きたかったこと」という主観で選ぶのではなく、
「面白い方」という客観で選ぶこと。

仮に第一ターニングポイントが35分だとしても、
退屈やテンポの悪さがあったとしても、
なお面白いのならば、
元でいいかも知れないよ。

何が面白いのか、何が面白くないかを決めるのは、
あなたの中の客観的判断力だ。

(もし自分の判断力に自信が持てないならば、
25分という数字を信用しなさい。
これは確率をあげる経験則だ)


第一ターニングポイントの面白さの基準は、

・これは面白そうな話だぞ、と期待できること
・話の全貌が見えて、ここで座り直して正座すること
・これからこうなり、クライマックスはこうなるのだろうか、
 と想像が膨らむこと
・これまでの約30分のまとめになっていて、
 これまでの意味が整理されて、脳の作業領域が空くこと
・主人公の行動力に感心し、彼/彼女のこれからの行動に期待できること
・感動や爆笑や恐怖や熱い心などで、観客の心が震えること
・絵的に印象的で、記憶に残りやすいこと

などだろうか。
なるべくこうなるように、
リライトしていくとよい。


そして、第一幕を何度リライトしても、
このシーンが先ほど決めたテンポにくるようにしよう。

ここはストーリーのアンカーなので、
外してはいけないポイントである。



第一ターニングポイントは、
長編でおおむね1/4、
短編でおおむね1/3、
というのが僕の経験則だ。
どのへんに位置するべきか、検討してみよう。
posted by おおおかとしひこ at 00:24| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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