自分の原稿を用意しよう。
120分想定で、最低でも45分くらいまで書かれたもの。
25分前後に第一ターニングポイントが来てないとする。
これを、前記事の方法で、
第一ターニングポイントをずらしてみよう。
具体的には、
無理矢理25ページに当たるシーンを、
第一ターニングポイントに仕立ててみる。
会話をいじって、
どうにかして、
主人公の口からセンタークエスチョンを言わせるのだ。
宇宙人を倒す話なら、
会話の流れをコントロールして、
「あいつらを倒そう」とシーンのラストに言う流れに持っていこう。
法廷闘争劇ならば、
「法廷に持ち込むんだ」
「長い戦いになりそうだ」
で終わらせると良い。
手紙を届ける話なら、
「必ず届ける」
で終わらせていい。
ラブストーリーならば、
「あの子を振り向かせて見せるぞ」
で終わらせる。
(勿論そんなこと滅多に言わないが、
とりあえず第一ターニングポイントをわかりやすくしてみて、
あとでセリフは練ればいい)
さて、
当初の(遅れてしまった)第一ターニングポイントのときと比べてどうか?
現状第一ターニングポイントが二つある状態で構わないので、
一読してみようというわけだ。
たしかに、
25分前後に第一ターニングポイントがある方が良くないか?
「なぜ25分あたりに、
センタークエスチョンを提示する第一ターニングポイントがあるべきか?」
について、
明確な回答はない。
僕の仮説は、人間の集中力は15分一単位なので、
2ロール目で「このストーリーの意義」がわかると、
その先を楽しめるようになるのでは、
と考えている。
1ロール目ではまだ早く、
3ロール目では遅いと言う程度のことだ。
集中力の切れ目は15分でやってくるため、
15分ごとにまとめていくと、
意識の中に構造化しやすいのだ。
構成論は、テンポに関する法則である。
ページ数、すなわち分数でどういうテンポがあるべきか、
ということの経験則だ。
25分前後(誤差は3〜4分)あたりでセンタークエスチョンが提示されると、
テンポのいいストーリーを見ている気分になる、
というだけの話である。
さて、次の段階にいく。
一旦前の原稿に戻る。
先程は無理矢理25ページ目のシーンとしたが、
その前のシーン、または次のシーンを、
第一ターニングポイントに書き換えられるか、
試してみよう。
あるいは、前の前のシーン、次の次のシーンも、
やってみよう。
つまり、25ページ目のシーンを含む、
計5シーンの、どれが第一ターニングポイントに相応しいかを、
書き換えることで実験してみるのだ。
それが妥当かどうかは、
5バージョンの原稿を最初から読み返すことで、
自然と明らかになるだろう。
観客には気持ちのテンポというものがある。
天ぷらをカラッと揚げるタイミングというものがある。
それは何分あたりなのかを、
見比べて判断するといいだろう。
さて、タイミングが明らかになれば、
また大元の原稿に戻して、
「大元の第一ターニングポイントシーンをそこへ持っていく」か、
「新しい第一ターニングポイントを採用し、
元の第一ターニングポイントは変更する」
のどちらかを選択しなさい。
無理矢理第一ターニングポイントの、
センタークエスチョンを言わせるよりも、
ドラマチックな第一ターニングポイントが書かれていれば、
それを使った方が気持ちいいだろう。
あるいは、そんなに大袈裟に組む必要はなく、
サラリとセンタークエスチョンを認識する程度が良いのなら、
新第一ターニングポイントを採用した方がいいかもしれない。
面白い方を選びなさい。
くれぐれも「あなたが書きたかったこと」という主観で選ぶのではなく、
「面白い方」という客観で選ぶこと。
仮に第一ターニングポイントが35分だとしても、
退屈やテンポの悪さがあったとしても、
なお面白いのならば、
元でいいかも知れないよ。
何が面白いのか、何が面白くないかを決めるのは、
あなたの中の客観的判断力だ。
(もし自分の判断力に自信が持てないならば、
25分という数字を信用しなさい。
これは確率をあげる経験則だ)
第一ターニングポイントの面白さの基準は、
・これは面白そうな話だぞ、と期待できること
・話の全貌が見えて、ここで座り直して正座すること
・これからこうなり、クライマックスはこうなるのだろうか、
と想像が膨らむこと
・これまでの約30分のまとめになっていて、
これまでの意味が整理されて、脳の作業領域が空くこと
・主人公の行動力に感心し、彼/彼女のこれからの行動に期待できること
・感動や爆笑や恐怖や熱い心などで、観客の心が震えること
・絵的に印象的で、記憶に残りやすいこと
などだろうか。
なるべくこうなるように、
リライトしていくとよい。
そして、第一幕を何度リライトしても、
このシーンが先ほど決めたテンポにくるようにしよう。
ここはストーリーのアンカーなので、
外してはいけないポイントである。
第一ターニングポイントは、
長編でおおむね1/4、
短編でおおむね1/3、
というのが僕の経験則だ。
どのへんに位置するべきか、検討してみよう。
2020年11月09日
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