2020年11月11日

裏ビート理論

というものを考えだしたので。

よく知られた三幕構造のビートは、
一幕、二幕、三幕であり、
第一ターニングポイント、ミッドポイント、
第二ターニングポイントである。
これらは30分単位のビートを刻んでいる。

その裏拍、15分のビートを、
裏ビートと呼ぶことにしよう。


すなわち、
ストーリー開始15分、
45分、75分に何が起こるべきか?
ということに関する理論だと言える。


45分、75分は、
シドフィールドによれば、
第一ピンチポイント、第二ピンチポイントと呼ばれ、
「ストーリーが脇道にそれていないことを確認するポイント」だと言われている。
危機一髪大ピンチとかのピンチではなく、
挟むほうのピンチだ。
第一第二のピンチポイントで二幕を挟むイメージである。

しかし、その機能については分るが、
実際何をするべきかは明らかにされていない。
ピンチポイントに関する理論は、
いまだ確立されていないとすら言えようか。

ということで、僕が考案してみた。

00分 オープニング
15分 ★
30分 第一ターニングポイント
45分 ★
60分 ミッドポイント
75分 ★
90分 第二ターニングポイント
120 エンディング

の全体構造において、★が裏ビートという考え方だ。


★1 自分ではいかんともしがたい力による事件

一幕の役割はセットアップだ。
こういう登場人物が、
こういう事件を解決する話なんですよ、
ということが分れば一幕は終わりである。

ストーリーとは大きく言うと、
「事件を解決すること(センタークエスチョンが果たされること)」
である。
しかしその事件そのものは、
いきなりは起こらない。

小さな事件、異変からはじまり、
そのうち大きな事件へ発展し、
決定的な事件発生へと繋がっていくものだ。

で、最初は、
ほぼ主人公の、「自分と関係あるところに起こる事件」が起こるはずだ。
自分のせいか他人のせいかはおいといて、
主人公の身近なところに事件は起きる。
だからなんとかしようとしておはなしが始まるのだ。

これを解決しようとしている文脈で、
30分はもたないと思う。
どこかで大きな事件へ発展しないといけない。

そこで、半分の15分の裏ビートで、
大事件への発展が期待されるわけだ。
で、単純に大事件が起きても面白くない。
「主人公の力の至る責任範囲でない、
もっと大きな範囲で事件が発生」
が、話を大きくしていくこつだと思う。

もちろんそれは最初の事件とまったく関係ないのではなく、
密接に関係している。

それがあったからこそ、
主人公は、
最初に起こった事件から、直近に起こった大事件まですべて含めた、
一連の事件の解決へ乗り出すのである。
(第一ターニングポイント)

つまり、★1は、
オープニングと第一ターニングの丁度中間点には、
何があるべきか、
ということを予言している。

もちろんこれに限る必要はないのかもしれない。
100%これに従う必要もない。
しかし、何か困ったらやってみてはどうだろう。


★2 テーマに絡む場面

事件が起こった。主人公はその解決に乗り出した。
そしてセンタークエスチョンは見えている。
二幕に入り、
特別な非日常世界へ突入して15分。
ここで何をするべきか。

僕は、テーマに絡む場面であるといいと思っている。
最終的に結論づけられる何かを、
ここで触っておくといいと思う。

それは主人公に欠けた、乾きのようなことかもしれないし、
最終的に争われる価値のことかもしれない。
どうあるべきだ、なんて議論するわけではない。
しかし、主人公が今やっている事の価値はなんだろう、
と疑問に思ったとき、
それはこういうことなんじゃないか、
ってシーンはあると思う。


★3 死からの復活

ボトムポイントとも呼ばれる。
主人公は一度敗北し、
死と同様の状態になる。
しかしそこから復活することで、
一端死んだことを克服し、
復活する意義を見出した。
「洞窟」に入り、「宝」を持って帰って来る、
ともいわれる。
もちろんそこで見出した宝は、必ずテーマと関係あるはずだ。

それが明らかになるのはラストシーンかもしれないし、
クライマックスかもしれない。

つまり★2と3はピンチポイントだが、
どちらもテーマと絡むべきだというのが僕の主張である。


これらのことを表にすると以下である。


00分 オープニング
15分 ★ 自分ではいかんともしがたい力による事件
30分 第一ターニングポイント
    (センタークエスチョンの提示)

30分 非日常世界への突入
45分 ★ テーマに絡む場面
60分 ミッドポイント
    (中ヤマ。かりそめの勝利または敗北)
75分 ★ 死からの復活、テーマに絡む場面
90分 第二ターニングポイント
    (センタークエスチョンの提示)

    クライマックス、直接対決
    事件解決の瞬間
120 エンディング

(きっちりこの分数でなくともよい。
5分くらいは誤差があるかも)


人間の集中力は15分である。
そのたびに目先を変えていかないといけない。
どこへ向かっているか、
30分単位では、目先のことがぼやけてしまう。
この裏ビートを意識していくと、
ストーリーにまとまりや方向性が生まれると思うよ。

もちろんこれと違うビートでもいい。
決まり切ったテンポになる危険もある。
しかし自然なテンポにしていると、ここに終着するように思えるので、
結構使えると思う。
困ったら、やってみてはどうだろう。
posted by おおおかとしひこ at 01:03| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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